ストーリー・テリングとは?意味や活用する際の注意点、関連する本などを紹介!

ストーリー・テリングの記事
人に伝える時、同じ内容なのに、Aさんは強い印象をもって内容を伝えているのに、Bさんはうまく伝えられていない。伝える時に相手に強い印象を与えるために、ビジネスの現場でストーリー・テリングが注目されています。人の印象に残るストーリー・テリングの活用や、どのようにして行うか、そして関連書籍について解説していきます。
目次

ストーリー・テリングとは?

ストーリー・テリングとは?
ストーリー・テリングとは、物語を語るということです。なぜビジネスの現場でストーリー・テリングが活用されているのか、その効果などについても説明していきます。

ストーリー・テリングの意味

ストーリー・テリングは物語を語るという意味ですが、ビジネスの現場では人に伝える時に効果的に使われます。特に多くの人を前にしてプレゼンテーションをする時に有用な手法となります。

ストーリー・テリングの活用例

プレゼンテーションにおいて、身ぶり手ぶりを交えて楽しく話しているのに、今一つ聴衆の心を掴んでいないと思ったことはないですか?そんな時に使えるのがストーリー・テリングです。

例えば、たくさんのメンバーがいる営業部で、トップを務めるあなたが今期の目標をメンバーに伝えるとしましょう。しかしその目標達成が困難でそのまま目標を伝えてもメンバーの士気が下がる可能性もあります。その時あなたは、過去に自分が達成困難な目標を掲げて達成した時のエピソードを、躍動感をもってリアルに話します。するとメンバーは既に目標を達成したかのような感覚になり、今期の目標達成に向けてがんばってみようと思います。

このように、ストーリー・テリングを活用すれば、プレゼンの時に物語を語って示すことで、聴衆の心を掴み強い印象を与えることができます。

ストーリー・テリングが効果的な理由

ストーリー・テリングが効果的な理由は次の2つが挙げられます。


1.印象に残りやすい
2.人を動かしやすい

1.印象に残りやすい

数字や抽象的な概念を伝えるより、数字・抽象的な概念に物語やエピソードを交えて伝えると、人の印象に残りやすいです。

2.人を動かしやすい

また、営業部の例で述べたように、物語を語ることで聞いている人も具体的なイメージが湧いて、自分も目標達成を果たしたつもりになります。物語を語ることは人の共感力を高めることに繋がるので、人に伝え、人を動かす時にも有効に働きます。

プレゼンでストーリー・テリングを活用する

プレゼンでストーリー・テリングを活用する
プレゼンテーションでストーリー・テリングを活用するメリット、そして活用する際の注意点について解説しましょう。

ストーリー・テリングを活用するメリット

プレゼンテーションでストーリー・テリングを活用するメリットには、次の3つがあります。


1.数字やデータを印象付けることができる
2.リーダーシップを発揮することができる
3.差別化を図ることができる

1.数字やデータを印象付けることができる

数字やデータは、それ自体では無味乾燥で退屈なものです。どれだけ精緻なロジックで組まれていてもプレゼンが退屈に感じますね。しかしエピソードを交えてプレゼンすれば、物語と繋げて数字・データを印象的に伝えることができます。

2.リーダーシップを発揮することができる

プレゼンを通じて、達成困難で高い目標を掲げ、チームで取り組んで欲しいと訴えた時、メンバーの反応がネガティブだったり消極的だったりすることがあります。その状態のまま仕事を進めても良い結果は得にくいでしょう。そうなってしまう前にストーリー・テリングを用いてプレゼンすると効果的です。

リーダー自身の苦労話、成功譚など、エピソードを交えて語ることでメンバーはリーダーの言うことを聞いて成果をあげようと邁進するでしょう。このようにプレゼンにストーリー・テリングを活用することでリーダーシップを発揮することに繋がります。

3.差別化を図ることができる

技術は模倣できますので、他社との差別化が難しいのはどの企業でも痛感することです。また、価格の低下については限界があります。しかし同じような品質で似たような価格の製品でも、プレゼンにおいてストーリー・テリングを使うことで他社との差別化を図ることができます。

ストーリー・テリングを活用する際の注意点

ストーリー・テリングを活用する際の注意点として、製品をアピールしたり相手を説得したりする場合は「数値やデータを入れる」ことが挙げられます。熱心に語り、聞いている人が共感する物語を語ったとしても、「数値やデータの根拠はどこにあるか?」と思われてしまうとプレゼン自体への信ぴょう性が低くなってしまいます。ですので、数値やデータに基づいてプレゼンをしていることを伝えるようにして下さい。

ストーリー・テリングを行う方法

ストーリー・テリングを行う方法
ストーリー・テリングを行う方法を見ていきます。

何を伝えれば相手の心に響くのか、目的や相手の状況などを整理する

ストーリー・テリングを行う時、伝える内容を考える必要があります。その際、プレゼンの目的は何か(製品のアピールか?主張を理解させたいのか?)、聴衆はどんな人たちか(属性は?年齢は?)を整理することが、ストーリー・テリングを始める際の重要な論点です。

伝えたいポイントを絞る

伝えたい内容が分散していると、魅力的な物語を語っても「面白い話だった」で終わってしまいます。そうならないためには伝えたいポイントを絞ることが大切です。例えば製品のアピールをしたいなら、製品の魅力を3~4つに絞ります。物語は魅力に繋げて考えるようにします。

伝えたい内容の説得力を高めるデータや根拠などを用意する

注意点で述べた通り、プレゼンに説得力を持たせるためにはデータや根拠が不可欠となります。製品のアピールや相手を説得する場合はデータや根拠が薄弱だと相手の印象に残りません。相手を説得するためのデータ・根拠は周到に集めておきましょう。

整理した内容をストーリーに沿って伝える

整理した内容に基づいて、実際にストーリーを盛り込みます。まずは相手が話に引き込まれるように起承転結に注意して考えてみます。

意外性やワクワク感など、心を動かす要素が入っているかチェックする

ストーリー・テリングでは、聞いている人が「なるほど」「それは面白い」と感情を動かされることで印象に残せます。従って、物語の起承転結は重要で、起伏がある方が相手は集中して聞いてくれるでしょう。

例えば新しい洗濯機をプレゼンしたい場合、次のような物語にするとどうでしょうか。

「親友からもらった衣服をひどく汚してしまい悩んでいた。どこのクリーニング屋に持っていっても、“この汚れは消せない”と言われて落ち込んだ。しかし当社の洗濯機で洗ってみたらきれいに落ちた。実はその親友はもう亡くなっていて、衣服も生産終了していて2度と手に入れられないものだったから、洗濯機で汚れが落ちて嬉しかった」

すると人は心を動かされ、親友は亡くなっているけれど衣服とともにプレゼンターの心の中に残っているような気になります。そして洗濯機は、単に汚れを落とす機械ではなく、洗濯機に感情が結び付いていくでしょう。

Amazonで評価の高いストーリー・テリングに関連する本

Amazonで評価の高いストーリー・テリングに関連する本
ストーリー・テリングを理解するために書籍を紹介します。

1. ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件

一橋大学の経営学者である楠木建による競争戦略の本。企業の戦略といっても様々な戦略がありますが、著者は、成功を持続させている企業は人に話したくなるような、流れ・動きを持ったストーリーとして語れると言います。単行本にして500ページを超える大著になりますが、軽快な語り口で語られているので一気に読ませてくれます。なお本書は2011年のビジネス書大賞を受賞しています。

2. 思いが伝わる、心が動く スピーチの教科書

ソニーにてスピーチ・ライティングを学んだ佐々木繁範によるスピーチの本。盛田昭夫や出井伸之につかえスピーチ・ライティングを経験。本書では、スライドではなく聴衆の心を動かすことを重視した内容でストーリー・テリングが語られています。

3.「物語」のつくり方入門 7つのレッスン

現役作家である著者が語る物語のつくり方のレッスンです。Amazonでのレビューでは小説を書くための指南書として捉えている人もいますが、読者を引き込む力は小説もストーリー・テリングも似ていることが分かります。

4.「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方

カール・イグレシアスは、米国のUCLAで脚本を教えている人気講師であり現役の脚本家です。本書は、UCLAの人気課外授業を書籍化したもの。感情的なインパクトを起こすための書き方とはどんな書き方なのか?が400ページを超える分量で余すところなく書かれています。名作の脚本を分析して、ストーリー・テリングの構造を知ることができるでしょう。

5. ロジックだけでは思いは伝わらない! 「共感」で人を動かす話し方

ロジカルに話すことは、ビジネスの話し方として基本であり是非とも体得しなければなりません。しかし、ロジカルだけで思いが伝わるかというと「?」が付きますね。本書は、ロジカルに話すことの一歩先を行くストーリー・テリングの書籍です。ちなみ著者は、フジテレビ系列のアナウンサーコンテストで日本一に輝いた実績を持っています。

まとめ

ストーリー・テリングのまとめ
いかがでしたでしょうか?ストーリー・テリングの重要性、必要性についてご理解頂けたと思います。関連書籍をご参考頂きながら、ストーリー・テリングを体得し、人を引き込み、思いを伝え納得させる話し方の技術を学んで頂ければと思います。

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