サプライヤーとは?意味・ベンダーとの違い・自動車業界での使い方を解説

供給業者や納品業者を意味するサプライヤー。サプライヤーは製造業で広く使われる言葉ですが、小売、流通業などでも幅広く使われています。具体例を元にサプライヤーの意味を確認しましょう。記事では、混同しがちなサプライヤーとメーカー、ベンダーとの違い、自動車業界でのサプライヤーの使い方についても解説します。

目次

サプライヤーとは?

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製造・小売・流通など業界を問わず使われているサプライヤー。サプライヤーにはどんな意味があるか、また、業界ごとに異なる使い方も確認します。

サプライヤーの意味

サプライヤーとは供給業者、納品業者を意味する言葉です。英語のsupply(供給する)が語源となったカタカナ語です。製造業でよく使われる言葉ですが、小売・流通業などにも幅広く使用されています。サプライヤーの意味について、例を用いて確認しましょう。

例えばパソコンを製造している企業がありますね。パソコンを作るにはディスプレイや電源、マザーボード、CPU、メモリ、HDDなどが必要です。部品を組み立てることでパソコンができ上がります。 パソコンの製造業者は部品を自前で作るわけではありません。部品メーカーから仕入れるのです。つまり部品メーカーがサプライヤーです。

サプライヤーは、ディスプレイや電源、マザーボードなどを供給する業者、納品する業者となります。 サプライヤーには供給業者、納品業者という意味がありますから、サプライヤーと呼ばれる企業は多く存在します。

パソコンの事例では部品メーカーをサプライヤーと呼びましたが、供給・納品業者であればあらゆる企業・個人がサプライヤーとなります。部品、製品、そしてサービスを供給・納品する業者がサプライヤーと呼ばれます。サプライヤーからサプライヤーへと供給・納品するケースもあります。

業界ごとに異なるサプライヤーの使い方

業界ごとにサプライヤーの使い方は異なります。製造業者が部品を作り、顧客に納品すればサプライヤーと呼ばれます。また、小売業者にとって、商品を納品してくる製造業者はサプライヤーです。

もちろんスーパーにとって、野菜や果物を納品する農家もサプライヤーです。また、旅行業界では、宿泊業、電車や航空などの運輸業、レストラン業などに対してサプライヤーと呼びます。

サプライヤーとメーカーの違い

サプライヤーとメーカーの違いについて確認しましょう。

メーカーは製造業者

メーカーは材料を加工して製品を生産する製造業者のことを指す言葉です。製品を製造している業者は全てメーカーです。部品を集めてパソコンを作る業者、パソコンを作るために部品を作る業者は全てメーカーと呼びます。

何らかの製造を行っていないとメーカーとは呼ばないため、材料を提供しているだけではメーカーではありません。

サプライヤーとメーカーの違い

メーカーが製造業者であることが理解できました。次はサプライヤーとメーカーの違いです。サプライヤーとメーカーは混同しやすいので、違いを理解しましょう。

例を用いて説明します。パソコンの材料を販売するX社、材料から部品を製造するY社、そして部品からパソコンを製造するZ社を考えます。X社はY社に材料を販売するのでサプライヤーです。そして、Y社は部品を製造するのでメーカーです。さらにZ社はパソコンを製造するのでメーカーです。

そしてメーカーとサプライヤーを混同しやすいのは、メーカーがサプライヤーを兼ねている点です。つまりY社はメーカーですが、パソコンを製造するZ社に部品を供給しているため、サプライヤーでもあるのです。さらにZ社もメーカーですが、家電量販店などの小売店にパソコンを納品すればサプライヤーとなります。

このように、メーカーはサプライヤーにもなるため使い分けに注意しましょう。

サプライヤーとベンダーとの違い

サプライヤーとベンダーとの違いも確認しましょう。

ベンダーは販売業者

ベンダーとは販売業者のことです。ベンダーの語源であるvendorは売り手を意味します。製造会社から製品を購入して販売する業者をベンダーといいます。販売代理店や商社がベンダーの代表例です。

製造業者は状況に応じてメーカーやサプライヤーと呼ばれますが、製造しているだけで販売しない業者はベンダーではありません。販売すればメーカーでもベンダーと呼ばれます。

IT業界の中のベンダー

ベンダーはIT業界で使われることが多い言葉です。IT業界でベンダーを使うときは、ソフト、ハード、システムを売る業者という意味です。

ITベンダーということもありますが、同じ意味です。ITベンダーはソフトやハード、システムなどを売ったら終わりではありません。販売後のアフターケア、売る前のコンサルティングなど多岐にわたる役割を担います。

自動車業界のサプライヤー

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自動車業界ではサプライヤーという言葉がよく使われます。自動車業界のサプライヤーについて、掘り下げて考えていきましょう。

自動車業界では部品メーカーのこと

自動車業界でいうサプライヤーは部品メーカーをいいます。自動車は約3万個の部品でできています。部品1つにつき1社が作っているわけではありませんが、3万個という部品数からは、いかに多くのサプライヤーが関わって自動車を生産しているかが分かると思います。

メガサプライヤーとは

部品メーカーというと小規模なイメージを持つかもしれません。しかし実際は、メガサプライヤーといい、グローバルな規模で部品を製造、供給しているメーカーも部品メーカーの1つです。メガサプライヤーには、日本のデンソー、アイシン精機、ドイツのボッシュ、ZFなど知名度が高い企業があります。

メガサプライヤーの企業規模も確認しましょう(2020年3月)。デンソーは、売上高5兆円、資本金1,875億円、従業員数17万人を超えるグローバル企業です。アイシン精機は、売上高3兆円、資本金450億円、従業員数11万人です。メガサプライヤーはグローバル企業というだけあって、企業規模も大規模であることが分かります。

メガサプライヤーは企業規模が大きいですが、経営が安泰かというと必ずしもそうではありません。自動車業界全体でCASEという技術革新に伴う環境変化が起こっているからです。CASEとはConnected、Autonomous、Shared、Electricの頭文字を取った造語です。CASEはケースと呼びます。それぞれ次のような意味があります。

・Connected:コネクティッド(繋がり)
・Autonomous:自動化
・Shared:共有化
・Electric:電動化

人をA地点からB地点へと移動させる手段としての役割を超え、自動車はネットワークと繋がり、自動で運転し、ライドシェアによる相乗り・配車サービスの事業化、電動自転車の推進といった技術革新が起こっているのです。

CASEに乗り遅れてはグローバル展開するメガサプライヤーも安泰ではありません。CASEという環境変化に直面し、メガサプライヤーは自身のあり方が問われているのです。

サプライヤーの類語・対義語

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サプライヤーにはセラーという類語、バイヤーといった対義語があります。それぞれの意味を確認します。

セラー

セラーには売り手という意味があります。サプライヤーがメーカーや小売業者に製品を販売すれば、セラーになります。サプライヤーとセラーは関係性の深い類語なのです。セラーが売る相手は企業だけでなく、個人でも構いません。

バイヤー

バイヤーは買い手という意味です。サプライヤー、セラーの対義語です。サプライヤーも部品メーカーや材料の販売業者などから買うことがあります。ただ、サプライヤーは購入したものを加工していますから、加工しないバイヤーとは違うのです。バイヤーが買う相手は企業だけでなく個人でも構いません。

まとめ

供給業者や納品業者という意味を持つサプライヤーは、製造業をはじめ多くの業界で使われます。製品を製造するメーカーは、顧客に製品を納品するとサプライヤーとなります。メーカーとサプライヤーを混同しがちですので、違いを理解しましょう。自動車業界のサプライヤーには、メガサプライヤーと呼ばれる企業規模が大きいサプライヤーもあります。

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