自社製品・サービスのマーケティング戦略において、4P分析を取り入れるケースが多く見られます。
今回は、マーケティング担当者に向けて市場の戦略に役立つ4P分析のポイントを解説していきます。
実際の4P分析の成功事例も参考にしながら、4P分析を実践するコツを掴みましょう。
4P分析とは?
4P分析とは、4つの視点からターゲット市場を分析して課題や強みを発見する戦略的な分析手法です。
「マーケティングミックス」とも呼ばれており、具体的な施策を引き出すことができます。
▼4Pとは以下の4つの領域の言葉の頭文字のPを表しています。
Product(製品)…提供する商品・サービス
Price(価格)…価格設定や支払いのこと
Place(流通)…流通経路・販売場所
Promotion(プロモーション)…販促・プロモーション戦略
4P分析は、自社製品・サービスの売上が思うように伸びない場合、市場展開の戦略を打ち出す際に役立ちます。
4Pはマーケティングのフレームワークの1つ
4P(Product、Price、Place、Promotion)はマーケティングのフレームワークの1つです。
どんな製品・サービスを、いくらで、どこで、どのようにして売るかといったマーケティングを4つの視点から企業戦略を策定する分析手法です。
製品・サービスが売れるための仕組みを4Pで考えて
マーケティング戦略を実践し、課題を解決します。
7Pとは?
主に製造業では、4P分析を元にマーケティング戦略を改善するやり方が主流でした。
しかし、近年の事業多様化に伴い、同業他社との差別化が難しい時代になってきたのです。
そこで考えられたのが、自社の業種だけなくもっと幅広い視点で全体を見直す7P分析です。
▼7Pとは以下の7つの領域の言葉の頭文字のPを表しています。
Product(製品)
Price(価格)
Place(場所)
Promotion(プロモーション)
Personnel(人)
Process(業務プロセス)
Physical Evidence(物的証拠)
Personnel(人)を満足させるためにスタッフ教育を徹底したり、Physical Evidence(物的証拠)は安心・安全かどうか設計・点検を強化します。
顧客に満足感を与えられるサービスを追求するために、7P分析を活かすと効果的です。
4C分析との違い
4C分析は、買う側の視点・消費者のメリットのことであり、以下の要素を表しています。
▼4C分析
Customer Value(顧客価値)
Cost(顧客にとっての経費)
Convenience(顧客利便性)
Communication(顧客とのコミュニケーション)
「4C分析」は、消費者の目線でサービスのメリットを整理して、商品の開発や改善に役立てることができます。
買う側の視点から見る「4C分析」に対して、「4P分析」は売る側の視点です。
自社の製品・サービスのメリットを売る側の視点と買う側の視点に分けて整理することで、販促に役立てることができます。
4つの「P」について
ここからは、4C分析の4つの「P」について詳しく見ていきましょう。
Product(製品)
Product(製品)は、製品、色、パッケージデザイン
品質、パッケージデザイン、特長、ブランド名、大きさ、保証体制、アフターサービスが挙げられます。
機能性やアフターサービス、保証も含めた見直しが必要です。
製合にはどんな特徴があり、自社の強みは何か分析をして、必要に応じて商品開発や研究などを行う必要があります。
Price(価格)
Price(価格)は定価、割り引き、利益幅、支払い条件などがあります。
価格設定は、価値やブランド、認知度や人気、希少性などを分析し、適切な金額を設定します。
Place(流通)
Place(流通)は流通経路、商圏、店舗の立地、品揃えなどです。
ターゲット顧客の特性を意識した適切な流通戦略は
量販店、コンビニ、直販、問屋を介在するなど様々な選択肢があります。
Promotion(プロモーション)
Promotion(プロモーション)はテレビCM、広告、キャンペーン、販促イベント、ダイレクトメールなどが挙げられます。
多くの人に知ってもらうためにそれぞれの製品・サービスに合わせたアプローチ方法を分析します。
4Pの事例を紹介
では、実際にビジネス戦略で4P分析を取り入れた成功例を見ていきましょう。
スターバックスの事例
スターバックスは単なるコーヒー専門店としてではなく、自由な時間を過ごせる場所を提供するサードプレイスとしてサービスを提供しています。
地域に合わせた店舗スタイルが個性を発揮しており全国で店舗数を拡大中です。
スターバックスの4P戦略をそれぞれ整理
▼スターバックスの4P戦略
▽Product(製品)
コーヒーは国によってサイズと味が異なる
家でも職場でもない、第3の場所(サード・プレイス)という場所の価値を提供する
▽Price(価格)
1杯あたり300円~500円
コンビニコーヒーや缶コーヒーより高い、ホテルラウンジや喫茶店よりは安い
▽Place(流通)
1号店の場所は銀座
直営店
ターゲットは高めのコーヒーを好む人やビジネスマン
▽Promotion(プロモーション)
広告宣伝なし、口コミ、店頭看板のみ
スターバックスは1996年に東京・銀座に日本1号店を出店してから1,300店を超える店舗数を持ちます。
人が多い中心街に集中的に出店する立地戦略は、店舗そのものが広告になっているのです。
ヘルシア緑茶の事例
販売会社の花王「ヘルシア緑茶」は2003年5月の発売後、経った約10ヵ月間で約200億円の売上高を達成しました。
新規参入となる飲料市場でしたが、4P分析を徹底したビジネス戦略が上手く行った事例の一つです。
ヘルシア緑茶の4P戦略をそれぞれ整理
▼ヘルシア緑茶の4P戦略
▽Product(製品)
厚生労働省から特定保健用食品(特保)の許可
体肪燃焼効果が期待できる
高濃度茶カテキンが豊富で、味は苦い緑茶
▽Price(価格)
350ml入りペットボトルで180円
通常の緑茶より高価格
プレミアム感を出して効果を引きつける
▽Place(流通)
飲料市場は初のため自販機はなし
コンビニエンスストアに販売経路を限定
▽Promotion(プロモーション)
テレビ広告の販促に力を入れる
花王「ヘルシア緑茶」は高価格な緑茶飲料でありながら健康志向やビジネスマンをターゲットにヒットしました。
ユニクロの事例
ユニクロは、売上高1兆6,000億円、店舗数3,000店舗を超えたグローバル企業へ成長しています。
単なる低単価の服ではなく、高品質で洗練されたデザイン、優れた機能性を意識した製品開発を行っています。
ユニクロの4P戦略をそれぞれ整理
▼ユニクロの4P戦略
▽Product(製品)
高品質で着心地が良い
シンプルながらファッション性が高い
ヒートテックのような機能性に優れた製品
▽Price(価格)
低価格
製品の企画、原材料、生産、販売を自社で請け負う
▽Place(流通)
流通コストを削減
店舗とECサイトの連携も強める
▽Promotion(プロモーション)
シーズン毎のメイン商品を大々的に広告
製品毎に特化した広告戦略
世界中でブランディング
ユニクロは、着やすさをアピールするためにテレビCMではいつも動きが印象的な作りを意識しています。
まとめ
4P分析はマーケティングミックスとも呼ばれているマーケティング戦略です。
製品・サービスの販売促進をするために4つのマーケティング要素の組み合わせて分析をします。
ぜひ、今後のマーケティング戦略の参考にしてみてください。