キャリアパスってどういう意味?
キャリアパスとは、簡単にいうと「出世するための道筋」のことです。
例えば、ある社員が課長・部長といった職位を目指す場合、昇進するために必要な業務経験や昇進の順序、異動のルート、道筋がキャリアパスに該当します。
自分の目指すべき場所に行くためには、どういった経験、スキルが必要なのかを明確にすることが大切。社員も目的達成に向けて邁進しやすくなります。
キャリアパスとキャリアプランの違い
「キャリアパス」と似たような言葉の一つに「キャリアプラン」があります。
キャリアパスは先述の通り、出世のための道筋となる指標のこと。具体的な出世ルートとして、会社で指定されている場合が多いです。
一方でキャリアプランは、自分がどういった仕事に就きたいのか、仕事を通してどういった人生を歩んでいきたいのか、といった計画を立てることを意味します。
会社の制度や出世ルートだけでなく、転職なども視野に計画するため、より広い範囲で人生の計画を立てることになります。
キャリアパスの具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- 「うちの会社は45歳まで現場で働き、その後は管理職になるのが基本的な流れです」
- 「年齢や性別に関係なく成績を残せば出世できるが、部長以上の役職は、40歳までに◯◯の資格を取得する必要がある」
一方のキャリアプランの具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- 「今勤務している会社で業界や仕事の基本知識を学び、30歳になる頃をめどに家業を継ぐ」
- 「今の会社で人脈とスキルを身につけ、○○年までに起業する」
「キャリアパス」、「キャリアプラン」どちらもキャリアに関する言葉ですが、具体的な道筋と大まかな計画ということで別のものと考えることができます。
ただし、人によっては同じ意味の言葉として利用しているケースもあるので注意が必要です。
キャリアパスが明らかになることで得られる4つのメリット
キャリアパスを明確にすることで、さまざまなメリットを得ることができます。ここでは代表的なメリットを4つご紹介します。
働く目標が明確になる
自分の目指すべき場所に行くための道筋がはっきりとするため、自分が仕事においてやるべき目標が明確になります。
何歳までに何をして、どういった資格を取得するのか、何年計画で取り組んでいくのか、といった点が予測がしやすいので、短期目標、長期目標も立てやすくなるでしょう。
専門知識・スキルが身に付きやすい
そのキャリアを歩むに当たって必要なスキルや資格の勉強に取り組むことになるため、少しずつ専門的な知識、能力が身につきます。
専門知識やスキルの獲得はキャリアパスの一環ですが、学んだことが業務にそのまま活かせるため、仕事の幅を広げることも可能でしょう。
モチベーションが上がる
キャリアパスが明らかになる前は、自分が目標とするキャリアに向けての道筋がぼやけている状態です。
キャリアパスが明確になることで、自分のやるべきことと成長度合いがはっきりとわかるため、モチベーションを高めることができます。
採用のミスマッチが起こりにくい
人によっては、入社面接の段階から自分の理想とするキャリアを持っている可能性もあります。
そういった人材に対しては、採用時に具体的なキャリアパスを伝えておくことで、自分が入社してからどういった働き方をするのかがわかるため、採用のミスマッチを防ぐことができます。
キャリアパスの描き方と手順
では、実際にキャリアパスを描くに当たってはどういった手順を踏めばいいのでしょうか。確認していきましょう。
1.自己分析を徹底的に行う
まずは、どういったキャリアを歩んでいきたいのか自己分析を行うことが大切です。人によってはデスクワークが苦手で、現場で体を動かす方が向いているという人もいます。
自分がどういったことが好きで、どういったことにやりがいや面白さを感じることができるのかをよく考えましょう。
自分の強みや特徴、好きなことを分析することで、具体的で実現可能性の高いキャリアパスを描くことができます。
2.最終的なゴールを設定する
キャリアパスは、キャリアの道筋となるものであるため、ゴールを決める必要があります。
自分のキャリアは最終的にどのようなものにしたいのか、どういった職位につき、どういった職務を行っているのか、具体的にゴールを設定することで、その道筋が明らかになってきます。
3.達成までの課題を明確にする
自身のキャリアのゴールが決まったら、次はそのゴールから逆算して課題や必要なスキルを明らかにしておきましょう。
大雑把にするのではなく、可能な限り具体的に、細かく課題を設定することで、自分のやるべきことがより明確になります。
キャリアパスの書き方と例文を紹介
例えば、サラリーマンとしての最終的なゴールが部長になるということであれば、以下のようなイメージです。
- 部長になるためには◯◯の資格が必要
- ◯◯の資格は取得までに時間がかかるので、××歳ごろから勉強を始める
- 勉強を始めるまでは現場で様々な業務を経験してスキルを磨く
上記は非常にシンプルなものとなっていますが、ゴールがなんなのか、そこまでに必要なスキルや経験はなんなのか、今自分がすることはなんなのかといった点を含めながらより具体的なものにするようにしてください。
注意点:時には道から逸れる勇気も必要
キャリアパスを描くことは、自身のキャリアを歩む際に大いに役立ちますが、キャリアパスにとらわれ過ぎてもいけません。
時には道筋を外れ、自分のやりたいことに挑戦したいときもあるでしょう。
キャリアパスから外れることは、決して悪いことではありませんし、キャリアを歩んでいくうちにゴールが変わってくる可能性もあります。
キャリアパスに囚われすぎると、自分の夢や本来やりたいことを犠牲にしてしまう可能性があります。あらゆる可能性を模索しながら、より自分が輝ける人生計画を立てましょう。
キャリアパスの具体例を紹介
ここからは、職種別のキャリアパスの具体例について紹介します。
今回は下記の3つの職種の例を取り上げます。
- 営業職
- 事務職
- エンジニア
営業のキャリアパス事例
営業職の場合、以下のようなキャリアパスが考えられます。
- 管理職になる
- 商品企画・開発に取り組む
- 営業現場に残り続ける
1つ目の管理職は一般的なキャリアパスだと言えます。現場で経験を積み、ゆくゆくは営業職の社員を管理する立場として、営業方針を設定するなどして、組織を束ねていくというものです。
2つめは営業の現場で把握したお客様のニーズを自社の商品やサービスに反映させていくというものです。部署が異なるケースもあるため、必要に応じて自ら異動の希望をだすようにしましょう。
3つめについては、営業現場のスペシャリストを目指すというものです。管理職などへの出世は一切考えず、自身の営業スキルを磨き、より高い成果を残すことを目指します。
事務職のキャリアパス事例
事務職といっても、その職務範囲は非常に多岐に渡ります。ただ、そのキャリアパスとしては以下のようなものが考えられます。
- 1つのスキルの質を磨く
- スキルの幅を広げる
1つめに関しては、例えば、経理であれば、伝票の入力や計算をとにかく素早く行うようにする、簿記の上位資格取得を目指すなど、自身のスキルを磨き続け専門性を深めていくというものです。
他の人には真似できないくらいのレベルになれば、会社に欠かせない存在になるでしょう。
2つめに関しては、自分にできることの幅を広げるというものです。例えば、営業事務を行っている人でも、人事や経理、マーケティング分野の事務に挑戦してみることで、他の分野の知識やスキルを身につけることができます。
また、その分野での経験を積んでいくことで、事務職から別の職種にチャレンジできる可能性もあります。
エンジニアのキャリアパス事例
エンジニアの場合、以下のようなキャリアパスが考えられます。
- 上流工程のマネージャーを目指す
- 将来の独立を見据えて多角的なスキルを身に付ける
企業に所属するエンジニアの場合、システムエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーといったように社内で出世していくというケースが考えられます。
一方で、エンジニアは専門知識や経験が必要となる職種であるため、独立してフリーランスとして仕事をすることも可能です。そうった場合は、独立までに一通りの業務を経験し、スキルを磨き、人脈形成に取り組むといったことが必要になります。
まとめ
今回は、キャリアパスについてその意味から具体的なキャリアパスの描き方、キャリアパスの事例について紹介しました。
キャリアパスはその人のキャリアの道しるべになるものであり、出世やキャリアアップを目指す際には欠かすことができないものです。
自分のキャリアパスがまだ見えていないという人はまず、キャリアパスを描くところから始めてみてください。