近年は、新入社員の離職率、少子高齢化による若手人材の確保が困難な時代に突入しています。
そこで注目されているのが組織の一体感を高める新しい人材定着プロセス「オンボーディング」です。
今回は、オンボーディングを導入するメリットや注意点、事例などをご紹介しましょう。
on boardingとは
オンボーディング(on boarding)とは、新入社員が新しい責務を遂行するために適切な知識とスキルを身に付ける育成プログラムです。
組織に新しく加わった人材が組織全体と調和できるように順応させることが目的です。
on boardingの意味
オンボーディング(on-boarding)は「機内」や「乗船」といった意味があり、ビジネスにおいては、新卒社員や若手社員の人材育成や人材定着のための育成プログラムのことを言います。
新規社員を組織に定着させて、早く即戦力化となってもらうことを目的としています。
on boardingが重要視される背景や理由
オンボーディングが注目されている背景には、人材育成の費用対効果が低い、新人の定着率の悪さを何とかしたいという人事の悩みが挙げられます。
時間とコストをかけて、新規採用、中途採用を募集して人材を採用しても早期退職してしまう…と悩む人事担当者は多いです。
新人教育をしても数年後には退職してしまい、定着率が下がっているのです。
オンボーディングは新規採用者の早期戦力化、人材の定着率アップに繋がるとして注文されています。
on boardingのメリット・デメリット
ここからは、企業がオンボーディングを導入するメリットとデメリットについて見ていきましょう。
on boardingのメリットや効果
新規採用者は業務の仕方を学習していく一連の流れを体系的に覚えることができ、業務の効率改善に繋がるのがメリットです。
近年は、新卒者の3人に1人は早期退職していることが分かっています。
オンボーディング導入後は、社員の採用や教育に要したコストが無駄にならず、採用コストを抑えることができるのがポイント。
社員は悩みや不安が減り、新入社員の定着率が上がるのは大きなメリットと言えるでしょう。
on boardingを行う際の注意点
オンボーディングを実施する際は、行動規範の設定を言語化することが大切です。
各部署がオンボーディングとしての一連の流れを意識せずに単独で行うと、サポート体制にバラツキが出てしまうのでNGです。
また、オンボーディングの考え方としてはスキルを持って入社した即戦力のある中途社員であっても職場への順応にはサポートが必要であることです。
中途社員の中でもポテンシャル採用の若手社員と即戦力となる人材では大きく異なるため、どの層の定着が優先課題か検討することも重要です。
on boardingに関する事例
ここからは、オンボーディングを導入している企業の事例を参考に見ていきましょう。
1. 日本オラクルの事例
クラウド事業を展開する日本オラクル株式会社は、毎年全体の1割にあたる約100名を中途採用しています。
社員にとって働きやすい会社を実現するためにオンボーディングを導入し、社員満足度85%を目指しています。
社員の働きがいを高める専門チーム「社員エンゲージメント室」を結成。
中途入社の社員向けに5週間にわたる研修プログラムを実施し、中途入社の全員をフォローしています。
2. 株式会社メルペイ
メルカリグループの金融事業、株式会社メルペイは
オンボーディングを導入した社内制度により組織が急成長した成功例です。
組織の状態を可視化する「組織スコアリング」の仕組みを独自で開発・運用し、社内制度に対する理解度・納得度を高めています。
メンター同士の交流や同期意識を強めるための施策
など、横のつながりを強化しているのが特徴です。
3. 株式会社POL
理系学生のダイレクトリクルーティングサービスLabBase(ラボベース)を運営する株式会社POL。
「社会人インターン制度」を取り入れ、早期退職者を防いでいる成功例です。
「社会人インターン」に社員と同等の権限を与え情報をオープンにすることで、柔軟な働き方を実現しています。
他にも色々ある! on boarding 施策の例
ここからは、具体的なオンボーディングの施策例をご紹介しましょう。
1. 業務遂行に必要な知識・ノウハウ・人脈の共有
新入社員は職場に馴染めるようになるまで時間がかかり、業務遂行に必要な知識・ノウハウが分からないといった悩みを持っています。
上司は進捗報告会、会議の中で知識・ノウハウを共有できる環境を整えることで、中途入社者は自分から進んで吸収できるようになります。
2. 学習棄却にも目を向ける
中途入社者の場合、過去の会社で培った知識や信念や仕事の仕方を棄却できない悩みがあります。
現在の組織では通用しないものは捨てる必要があり、それを「学習棄却」と言います。
上司は学習棄却のために、率直に指摘したりアドバイスをしながら、今後の行動計画を支援をすることが大切です。
3. 専用のサービスカウンターの設置
社内に困った時に気軽に相談できる専用のサービスカウンターを設置することで、新入社員のストレスを軽減することができます。
社内制度の利用ルール、備品の管理場所といったちょっとした困ったことは受付窓口を利用してもらいます。
デパートのサービスカウンターのように気軽に聞ける場所があるのはとても便利です。
オンライン上でバックオフィス部門が新メンバーの疑問に回答する方法もおすすめです。
4. フラットに意見を共有しあえる環境作り
フラットに意見を共有しあえる横の繋がりを強化するため、チャットツール上で同期グループを作ると効果的です。
社内コミュニケーションツールのチャットワークやスラック上に「同期のチャンネル」を作成します。
人事が同期の食事会(ランチ代2,000円まで補助)を開催するコミュニケーション施策も試してみると良いでしょう。
5. 入社3ヶ月後のゴールとアクションプランの意思表明をしてもらう
新入社員に入社3ヶ月後の目標とそれを達成するためのアクションプランを表明してもらいます。
オンボーディングでは、上司がサポートするだけでなく、早期に成功経験をしてもらうために本人のコミットと行動を促す必要があります。
上司が目標を与えるのではなく、新入社員が自分で
目標と具体的なアクションプランを設定することでモチベーションアップに繋がります。
入社時の意思表明を残すことで、数ヶ月後に思いを振り返ることができて、自己成長を目で確かめられるのがメリットです。
まとめ
今回は、企業がオンボーディングを導入するメリットや事例について見ていきました。
近年は、多くの業界において、若年層の早期退職や少子高齢化による人材の確保が課題となっています。
新入社員が抱える問題や悩みは、組織全体や制度にも原因があることもあります。
今後、優秀な人材を逃さないためにも、人事担当者がオンボーディングを導入して、サポート体制を強化することが重要であると言えるでしょう。