レジリエンスとは?トレーニング方法や研修などを紹介


誰しも困難や逆境に直面します。
辛い・苦しいといったネガティブな心理状態に陥った時に、それに立ち向かい乗り越える力が必要で、それがレジリエンスという言葉です。

右肩上がりの時代と違って、ビジネスを取り巻く環境は不安定で何が起こるか分かりません。レジリエンスを活用して、困難・逆境を乗り越えていくプロセス、トレーニング方法などを解説します。

目次

レジリエンスとは何か?

レジリエンスとは何か?
レジリエンスとは、回復力や弾性を意味する言葉です。元は物理学の用語でしたが、心理学で使われるようになり、現在ではビジネスでも応用されています。定義・意味、レジリエンスをビジネスで活用することのメリットについて解説しましょう。

レジリエンスの定義や意味

レジリエンスは回復力や弾性を意味する言葉です。柔らかいボールを握ると潰れますが、元の形に戻っていきますよね。そのように人間の心理も、困難や逆境に遭っても立ち直り回復していく力をレジリエンスと言います。

グローバル化の進展や働き方改革による労働環境の急激な変化などで、レジリエンスはビジネスにおいても重要性を増してきています。職場におけるパワハラやセクハラなどのハラスメントの存在は労働者にストレスを与えます。こうしたことからもレジリエンスは価値を高めています。

レジリエンスのメリット

仕事における困難や逆境は苦しいものです。できるだけ回避したいところですが、困難や逆境から逃げ続けていてはいつまで経っても人は成長しません。困難や逆境に立ち向かい、ダメージを受けても立ち直っていく力が必要で、それこそがレジリエンスのメリットとなります。

レジリエンスがビジネスで重要な理由

レジリエンスがビジネスで重要な理由を企業・労働者側のそれぞれの立場について考えてみましょう。


・企業にとってのレジリエンス
日本は災害が多く発生します。東日本大震災で明らかになったように、災害が起きるとインフラや交通網がストップします。そのような災害に遭っても耐えられ、回復していけることが重要です。企業にとっては、災害に関わらずテロや金融危機などあらゆるリスクがありますよね。

そういったリスクに直面した時に企業が甚大な損害を被り、経営が傾く事態になっては大変です。といっても災害やテロなどのリスクを完全に防ぐことは不可能。そのため、リスクに直面しても復旧することができる耐久力、回復力を身につける必要があり、企業にとってレジリエンスの重要性がある理由になります。



・労働者にとってのレジリエンス
グローバル化の進展や働き方改革などにより、労働環境も変化してきました。労働環境に変化に対して柔軟に適応し、困難や逆境が生じたら立ち向かい回復していく力が求められます。労働者にとってもレジリエンスは重要な位置を占めます。

レジリエンスのトレーニング方法や鍛え方

レジリエンスのトレーニング方法や鍛え方
労働環境の変化の真っただ中にいる労働者にとって、レジリエンスが重要な役割を持つことが分かりました。レジリエンスをトレーニングしたり鍛えたりする方法がありますので紹介していきたいと思います。

レジリエンスはトレーニングできる

レジリエンスは新しい概念のように思えますが、実は人間がそれぞれ持っているものです。尚、トレーニングのためには書籍を読んで実践することで高めることも可能。効率的にトレーニングするなら外部研修が良いです。研修については後述します。

トレーニングの前に確認!レジリエンス1-2-3ステップとは?

レジリエンスには、3つのステップ「底打ち」「立ち直り」「教訓化」があります。この3段階を経ることでレジリエンスを鍛えることができる訳です。

ステップ1:底打ち

人は失敗したりストレスに遭ったりすると精神的に落ち込みます。この落ち込みを解消しないことには、ネガティブな心理状態が無限ループのように延々と続きます。従って「底打ち」は、このネガティブな心理状態の鎖を断ち切ることを意味します。レジリエンスをトレーニングするにはまず底打ちをしていくことが求められます。

ステップ2:立ち直り

続いては「立ち直り」。ネガティブな心理状態の鎖を断ち切ったら、立ち直りを進めます。鎖を断ち切っただけでは前に進めませんから、立ち直りを進める必要があります。

ステップ3:教訓化

ステップ3は「教訓化」。困難や逆境に遭いネガティブな心理状態を断ち切り、その状態から立ち直っていくこと。立ち直った後に振り返り、次はどうしたら良いだろうと内省することで次に繋がります。

レジリエンスを高める技術は大きく7つ

 レジリエンスを高める技術は大きく7つ
レジリエンス1-2-3ステップが分かってきたところで、レジリエンスを高める技術を解説しましょう。レジリエンス研究によると、レジリエンスを高める技術は7つあるといわれています。

1. ネガティブ感情の悪循環から脱出する

感情は目に見えないのでコントロールが難しく感じますね。一端、ネガティブな感情を持つと底なし沼のように深みにはまってしがいがち。それを防ぐために、感情を見える化するための「感情カード」を用います。

また、ネガティブ感情の鎖を断ち切るために、気晴らしを提唱しています。ネガティブな感情を持つ対象から注意をそらすため、別の対象に意識を移すことが気晴らしです。運動・音楽・呼吸(ヨガや瞑想)・筆記系などの4つのジャンルに分けています。

2. 役に立たない「思い込み」を手なずける

感情カードや気晴らしを使ったとしても、ネガティブ感情がしつこくあなたの気持ちを引きずらせることがあります。例えば上司に酷く叱られてネガティブ感情が起こったとします。気晴らしをしたが、ネガティブ感情が一向に晴れない状態が続きました。その際、実は上司に叱られたことが原因で、ネガティブ感情がしつこく続いていることも考えられます。いわば、過去に自分の心底に作られた思い込みがネガティブ感情を形成しているのです。そうした思い込みを手なずけることが求められます。

3. 「やればできる」と信じる自己効力感を身につける

「やればできる」と自己効力感を身につけることは、ネガティブ感情から脱し、レジリエンスを鍛えるための重要なファクターです。小さな成功体験を積み重ねればやればできると思えます。失敗やミスを取り返したいために、いきなり大きな成功体験を目指すと乗り越えるだけでも大変になるので、まずは小さな壁からこつこつと乗り越えるようにして下さい。

4. 自分を特徴づける「強み」を活用する

レジリエンスは困難・逆境に立ち向かう力を高めることです。従って自分を特徴づける「強み」を持つことはレジリエンスを高める上で重要です。自分の強みはこれだ!と言える人は常に自分のことを見ている証拠です。自分のことが分かり、自分はこの強みで仕事をしていることは自信になり、レジリエンスを高めることに繋がります。

5. 心の支えとなる「サポーター」をもつ

逆境・困難に対して、1人ではどうにも立ち向かえないことがあります。大きな逆境・困難であればある程誰かの支援が必要です。そんな時、心の支えとなる「サポーター」の存在は重要ですね。余裕のある時にこそ、心の支えとなる人は誰だろうと考えておきましょう。その時に1人もいなかったら、逆境・困難に耐えきれない可能性があります。今のうちにこそサポーターを見つけておきたいところです。

6. 感謝のポジティブ感情を豊かにする

日常的に感謝のポジティブ感情を豊かに育んでおくと、逆境・困難に遭っても打たれ強く立ち向かうことができるようになります。

7. 痛い体験から意味を学ぶ

負荷のかかるハードな仕事、難しい課題に直面すると、その時は大変ですが後で振り返ると「自分は成長した」とか「意味のある仕事だった」といったことを感じられると思います。痛い体験とは精神的に辛かったり苦しかったりする体験ですが、そうした体験を経て、自分はどんな風に成長したか、学べたことは何かを内省することが「教訓化」の重要なポイントとなります。

レジリエンスの研修について

レジリエンスの研修について
レジリエンスを高めるには外部研修を受講することが効率的です。ここでは「ザ・アカデミージャパン」および「ヒューマンブリッジ」の2つの研修について紹介します。

ザ・アカデミージャパンの研修

「ザ・アカデミージャパン」の研修では、レジリエンスを鍛える7つの技術(本稿で挙げた技術)を元にカリキュラムが作られています。レジリエンストレーニングを学ぶことができる研修となります。東京・大阪などで研修が実施されています。

ヒューマンブリッジの研修

「ヒューマンブリッジ」の研修では、レジリエンスが必要とされる理由を「リーダーシップ能力」「キャリア自律力」「ストレス対処力」に分けて説明しています。推奨カリキュラムは2日間ですが、要望に応じてカスタマイズ可能です。

まとめ

レジリエンスのまとめ
レジリエンスとは逆境・困難に遭遇した時に回復し乗り越える力を意味します。
人は逆境・困難に直面すると辛く、苦しいネガティブな心理状態に陥ります。その時に自分の心としっかりと向き合い、立ち直るためにネガティブな心理状態の連鎖を断ち切らなければなりません。

そして自己効力感やサポーターなどの力を経て、ネガティブな心理状況から立ち直っていきます。次に逆境・困難に直面した時にも、耐えて乗り越えられるよう教訓化することが求められています。

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