メラビアンの法則をわかりやすく解説!ビジネスシーンでの活用術や間違った解釈を紹介

メラビアンの法則とは、非言語コミュニケーション(言葉以外の手段を使った意思疎通)の重要性を説いた法則の一つです。

対人コミュニケーションの基本を学べる法則であることから、日常生活はもちろん、ビジネスシーンでも多くの人に認知されている法則です。

メラビアンの法則を簡単に説明すると…

発する言葉や内容はもちろん大切だけど、声のトーンや大きさ、表情・身振り手振り・姿勢など、相手の目・耳から入る情報でも受ける印象が大きく変わってしまう」

ということなのですが、実験結果の一部分のみを拡大解釈してしまい、「人は見た目が9割」「言葉よりもテクニックに気を配ろう」などと間違った解釈をしてしまう人がたくさんいます。

この記事では、メラビアンの法則の実験内容や、間違った解釈が広まった原因、実験を通じて伝えたかった本当の意味、ビジネスシーンでの活用方法についてわかりやすく解説します。

目次

メラビアンの法則とは

メラビアンの法則とは、1971年にアメリカ合衆国の心理学者「アルバート・メラビアン」が発表した心理法則です。

対人コミュニケーションにおける情報取得の優先度や、情報を伝える手段によって受け手が感じる印象がどう変わるのか…などのデータは心理実験によって明らかにしました。

ジョブくん
実験の結果は非常に応用性が高いため、仕事・恋愛・子育て・人材育成・人間関係…など、さまざまなコミュニケーションに応用されています。

実験の内容

実験の内容は自体は非常にシンプルです。

「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つが矛盾する組み合わせ作り、さまざまなパターンを見せて実験対象者がどんな印象を受けたかを記録するというものです。

  1. 「好意」「中立」「嫌悪」を表す言葉を設定する
  2. 設定したそれぞれの言葉に対して、「好意」「中立」「嫌悪」の3つのイメージで言葉を録音する
  3. 「好意」「中立」「嫌悪」を表す顔写真を用意する
  4. 上記1〜3の情報をわざと矛盾させたパターンを複数作り、被験者の反応を見る

ジョブくん
「怒った顔と好意的な言葉を一緒に見せる」「楽しそうな表情で悲しい言葉を言う」…などのパターンを見てもらい、最終的に被験者がどう感じたのかを記録しました。

実験の目的

実験の目的は、「人間がコミュニケーションをとるときに、どんな情報を優先して取得しているのか」を測るためです。

「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つは、人と人との会話において全て使われる情報です。最も強く印象を残す情報がわかれば、コミュニケーションを磨くときのヒントになると考えたわけです。

言語情報のみ 手紙・メール・本
言語情報+聴覚情報 電話・ラジオ・音楽・ポッドキャスト
言語情報+聴覚情報+視覚情報 日常会話・プレゼンテーション・テレビ・映画
ジョブくん
「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つについては、「3Vの法則」の章で詳しく解説します。

実験から分かること

実験結果から導き出された結論は、人が会話によって受ける印象は、視覚情報>聴覚情報>言語情報の順番で優先順位が付くというものでした。

一見重要そうに思える言語情報の影響度はわずか7%しかなく、聴覚情報・視覚情報が90%以上を占めるという意外なデータが実証されたのです。

ジョブくん
実験結果の数字だけを見て、間違った解釈をしてしまう人が非常に多いです。こちらもあとで詳しく解説します。

「3Vの法則」とは

メラビアンの法則は聞いたことがなくても、「3Vの法則」という言葉は聞いたことがある人がいるかもしれません。

「3Vの法則」とは、メラビアンの法則の別名です。

3Vの法則と呼ばれる理由は、メラビアンの法則が言語情報(Verbal)と聴覚情報(Vocal)、視覚情報(Visual)の3つに着目しているためです。

コミュニケーションにおいて話し手が聞き手に与える影響は、上記に挙げた3Vで構成されていると考えられています。影響力は、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%です。

ジョブくん
「7・38・55のルール」と呼ばれるケースもあります。

【7%】言語情報(Verbal)

言語情報とは、言葉そのものが持つ意味や情報のことを指します。手紙・メール・本などは文字のみで情報を得るため、これに該当します。

電話などの音声情報は、言語情報に加えて、声のトーン・喋り方・声の大きさ・話すスピードなどの聴覚情報が加わるため、純粋な言語情報を扱うコミュニケーションではありません。

会話における影響度は7%しかないので、言葉でいくら取り繕っても…

  • 「話している態度に自信がない」
  • 「常にキョロキョロしていて挙動不審」
  • 「声が弱々しく、魅力を感じない」

といった態度であれば、相手に信じてもらえる可能性が極端に下がってしまいます。

【38%】聴覚情報(Vocal)

聴覚情報とは、耳から入る全ての情報を指します。言葉自体の意味はもちろんのこと、相手の話し方や声色によっても感じ取れる情報が変わってきます。

対人コミュニケーションにおいては2番目に影響度が高いため、喋り方や会話の流れを工夫するだけでも相手に与える印象をポジティブなものに変えることができます。

印象を大きく左右する要素

  • 声のトーン
  • 声の大きさ
  • 喋るスピード
  • 口癖や言葉使い
  • 話し方

【55%】視覚情報(Visual)

会話において最も大きなウェイトを占める視覚情報は、文字通り目から入る全ての情報を指します。

会話における影響度は最も高いため、話すときの姿勢・身振り手振り・表情・姿勢などを磨き込むことで、会話テクニックを飛躍的に向上させることができます。

  • 論理的には筋が甘いけど、なぜか説得させられてしまう人
  • 感情のみで突っ走っているのに、なぜかプレゼンが上手い人

こういう人はビジネスシーンでよく見かけますが、これは天性の会話テクニックを持っている天才肌タイプである場合が多いです。

メラビアンの法則でよくある間違いを紹介

メラビアンの法則は、間違って解釈されることが多い心理法則です。

ビジネスシーンよく聞く間違った解説や、拡大解釈について学んでおきましょう。

人は見た目が9割!

メラビアンの法則で、「人の印象はほぼ見た目で決まる」という解説をよく見ますが、これは間違った解釈です。

確かに見た目は大切ですが、メラビアンの法則はコミュニケーションをとるときの情報優先度測る実験。「どんな状況においてもまずは見た目だ!」と決めつけてしまうのは、やや強引な解釈です。

ちなみに、100万部のベストセラー書にもなった「人は見た目が9割」という本がありますが、こちらも非言語コミュニケーションの重要性や実践方法を紐解く名書であり、単純な見た目の良し悪しだけを指しているのではありません。

ジョブくん
タイトルだけを見て内容を勘違いしてしまう人が非常に多いので、こちらも合わせて覚えておきましょう。

第一印象が一番大切

第一印象が大切という考え方も、よくある拡大解釈の一つです。

第一印象の重要性は確かに高いですが、メラビアンの法則とはあまり関連性がありません。

また、よく認知されている第一印象は見た目のごく一部のみを指すことが多く、3Vの情報交換が基本となるメラビアンの法則には当てはまらないケースが多いです。

話の内容よりテクニックが大事

「話の内容よりも話術を磨け!」といった主張もよく聞きますが、話の内容を雑にしていい理由にはなりません。

前述の通り、対人コミュニケーションにおいて聴覚情報・視覚情報が与える割合はかなり多いですが、肝心の内容(言語情報)がイマイチなら、信用してもらえる可能性は低くなります。

会話ならテクニックだけで乗り切れてしまう場合も多いですが、プレゼンテーションでは録音や動画記録が残る場合が多く、あとで情報のみを分析されてしまうと、「喋りは上手いけど、冷静に考えたら言っていることが無茶苦茶だな…」という判断を下されることもあります。

ジョブくん
話術のスキルを常に磨きつつ、話の内容も論理的に筋が通ったものにしておくのが最強の戦術です。

メラビアンの法則をビジネスで活かすには?

メラビアンの法則をビジネスシーンで活かすには、言語情報・聴覚情報・視覚情報の方向性を全て一致させることが非常に大切です。

この章では、比較的すぐに実践できる3つのテクニックについて紹介します。

感情と態度を一致させて話す

感情と態度を一致させることを意識して話してみましょう。

自分が伝えたい感情と情報が一致するように、自分が話している姿を客観的な視点で見つつトレーニングすることが大切です。

感情と態度を一致させることで、話の内容が伝わりやすくなるとともに、その内容に信頼感や説得力を与えられるのです。

例えば、未来を切り開くためのイノベーションについて話しているのに、未来を切り開けていない現状に悩んだ暗い顔をしていては、良いイメージを与えることができなくなります。

自分の言葉で分かりやすく伝える

話の内容をしっかり伝えたい場合は、自分の言葉で分かりやすく伝えましょう。

どれだけ態度や雰囲気が話の内容に合っていても、専門用語を並べて難しく話すと、相手に要点が伝わりにくくなります。

普段使い慣れていない専門用語などを連発すると、自然と相手にもチグハグさがバレてしまうもの。自分の言葉で分かりやすく伝えることを意識したほうが、相手に感情が伝わりやすくなります。

話し方・声のトーン・雰囲気に気を配る

話し方や声のトーン、雰囲気などに気を配りましょう。話し方には、声のスピードや滑舌、身振り手振りなどが含まれます。

熱意を伝えたいときは真っ直ぐ前を見つめてハキハキと喋る、重要な言葉にはアクセントをつけてゆっくりと話す…など、内容に応じて話し方を変化させてみるのも良いでしょう。

また、喋り方には表情や姿勢も含まれます。背中が丸まっていると自信がないように見えてしまうため、背筋を伸ばして前を向いて話すことを心がけましょう。

職場で実践したいコミュニケーション例

アイスブレイクの意味とは?

会社でコミュニケーションをとるときにも、メラビアンの法則が役に立ちます。

就職や転職の面接時や社員研修、上司や部下と接するとき、取引先へのプレゼンを行うときなど、さまざまなケースでメラビアンの法則を意識することが大切です。

面接や社員研修を受ける場合

面接や研修のときには、自分の伝えたいことをしっかり伝える必要があります。

うまく伝えられないと、本当は採用基準を満たしているのに採用担当の目に止まらないといった事態にもなり得るでしょう。

また、コミュニケーションの質も採用基準に含まれているため、メラビアンの法則に基づいた非言語コミュニケーションを意識することが大切です。

面接官に信頼感と説得力を与えるために、背筋を伸ばしハキハキとした話し方を心がけましょう。

社員研修で営業などの練習をする場合には、教わったことを実践するだけではなく、より成約率が高まるように、信頼感と説得力を与えるための態度や話し方を意識することが大切です。

上司・部下と接する場合

上司や部下と接する際にも、メラビアンの法則が役立ちます。

上司に今後の計画を伝える際には、自分を信頼して仕事を任せてもらえるように、相手の目を見て強い意志を伝えることが大切です。

「頑張ります」と言っても、下をむいてぼそぼそと話すようでは、「本当に頑張るのか?」と思われてしまいます。

また、部下を褒める場合には、褒めている意思が伝わるように、相手の目を見て話しましょう。パソコンで作業しながら部下の顔も見ずに褒めても、その気持ちが伝わりません。

それどころか、「こんなに頑張ったのにこの程度しか褒めてもらえないのか」とモチベーションが下がる可能性があります。

取引先にプレゼンを行う場合

取引先にプレゼンする際には、企画や商品の魅力が伝わるように、話す順番や身振り手振り、キャラクターの設定などを意識しましょう。

例えば、企画や商品が将来の介護に関するものの場合、明るすぎるキャラクターは違和感を与えてしまいます。

この場合は、信頼感や誠実さを与えられるように、落ち着いた口調でわかりやすく伝えることが大切です。

また、相手の態度や表情にも注目し、そのときの態度や話し方、雰囲気などを改めましょう。

メラビアンの法則を意識して会話を円滑に

今回はメラビアンの法則の概要と、ビジネスシーンでの活かし方について解説しました。

抑えておきたいポイントをまとめると、以下の通りになります。

  1. コミュニケーションにおける情報の影響度は、「言語情報7%:聴覚情報38%:視覚情報55%」である。
  2. 言語情報がいくら正しくても、聴覚情報・視覚情報で良い影響を与えられなければ、相手に与える印象は悪くなる。
  3. 伝えたい情報と感情を一致させ、3Vの方向性を正しく揃えることが、コミュニケーションを円滑にする秘訣である。

メラビアンの法則を正しく活用すれば、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションを円滑に進めることができます。

ジョブくん
自分の会話スキルに自信がない人は、ぜひ非言語コミュニケーションのテクニックを磨いてみてくださいね。

※非言語コミュニケーション(聴覚情報・視覚情報)についてより詳しく書いた記事もあるので、興味がある人はこちらもご覧ください↓

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