目標管理とは?制度の問題点や管理シートの活用ポイントなど

目標管理の記事
目標管理は各人が目標を設定し、目標達成のためにセルフマネジメントしながら実行していくマネジメントシステムのこと。目標管理をすることで能力開発や組織目標との連動につながります。記事では目標管理とは何か、また目標管理制度の問題点、管理シートの活用ポイントについて紹介します。
目次

目標管理について

目標管理について
目標管理とは、ひらたくいうと目標によるマネジメントをいいます。限られた期間の中で従業員に目標を設定させ、各人がセルフマネジメントしながら実行していくマネジメント手法の1つです。目標管理を行う目的や目標管理を導入しても失敗することについて説明します。

目標管理を行う目的

目標管理を行う目的は以下の2つです。それぞれについて解説します。

1.従業員の能力開発のため
2.個人目標の設定・管理が組織目標と連動するため

目標管理は、従業員が自ら目標を設定し、目標達成を目指して主体的に進捗管理して、実行していくセルフマネジメントの手法です。目標管理は会社や管理職から「目標を設定しろ」と言われてやらされ感によって目標を立てるのではなく、主体的に目標を立て、また、目標を主体的に実行していきます。

なお目標管理は「目標設定理論」によって理論的位置付けがなされていますが、目標設定理論では、曖昧な目標よりは明確な目標、そして優しい目標よりは難易度の高い目標を達成することで成果を上げることができるといわれています。明確かつ難易度の高い目標を達成すれば個人の能力は上がりますね。従って、目標管理は、目標を立てて進捗管理して実行していくという一連の流れの中で、従業員の能力開発につなげることができます。目標管理はセルフマネジメントですから、目標管理を通じて主体的に取り組み自分の能力開発に役立てることができます。

次に「個人目標の設定・管理が組織目標と連動するため」について。組織目標と個人が目標を設定する際、闇雲に設定するのではなく組織目標と連動した目標を考えて設定します。そうすることで、各人が立てた目標を設定し管理することが組織目標の成果につながります。ですから、個人が銘々に立てているように見えても、しっかりと組織目標とつながっている訳です。

目標管理で失敗する例は多い

目標管理はうまく運用しないと失敗することがあります。具体的には、目標管理は形骸化したり過剰な成果主義に陥ったりします。運用を誤ると管理職が従業員に目標設定を強制したり従業員が毎回同じ目標を設定したりして、目標管理が形骸化していきます。また、目標管理を人事評価と連動することで起こりがちですが、成果を急ぐ余り過剰な成果主義に陥り従業員が疲弊することがあります。

目標を設定・管理する際のポイント

目標を設定・管理する際のポイント
目標設定し、管理する際のポイントを4つ紹介します。

具体的な数値とセットで設定する

目標設定は具体的な数値で設定する方が効果的です。目標設定時の達成基準に数値を設けることで、目標期間が終わり達成度を計った時にどれくらい達成しているかをチェックすることができるからです。

目標設定時の達成基準の数値が曖昧であったり、そもそも数値化されていなかったりすると達成したのか否かが分かりません。目標期間が終わった後にしっかりふりかえるためにも、数値化が必要です。もちろん無暗に数値化するべきではなく、数値化できない場合は定性的な目標設定が適当です。

期限を決める

目標設定時は目標期間という期限を決めます。例えば半年後まで、1年後という期限を設けることで、その目標期間中に目標を目指して何をするのか、もし未達成の場合はどう挽回するか等、PDCAを回しやすくなります。

実現方法がイメージできるかどうか

目標管理は目標設定がその後の目標期間中の個人の行動を左右します。従って、目標設定した時に実現方法がイメージできるかどうかをチェックすることは極めて重要です。なお、この際、立てた目標が組織目標と離れていたとしても、組織目標との離れ過ぎていなければ良いです。

高すぎず低すぎずな設定にする

目標管理は目標設定理論に理論的位置付けがなされていると書きました。そこでは難易度の高い目標を設定する方が成果達成に好影響を与えます。しかし、だからといって闇雲に高い目標を掲げて結果的に達成できないようでは目標管理の意味がありません。高過ぎず、だからといって低過ぎない程度の目標を設定することが目標管理をうまく運用していくポイントとなります。

目標管理シートとは

目標管理シートとは
目標管理シートは、目標管理をする個人がセルフマネジメントをしていくために必要なシートです。シートを作成する目的、目標管理に便利なアプリ等について紹介していきます。また、目標管理シートは採用する企業によって書き方が様々ですので、書き方・記入例についても具体的に説明します。

目標管理シートを作成する目的

目標管理シートの作成目的は、個人がセルフマネジメントをしやすくするためです。設定した目標の進捗を管理したり、計画通りに実行したりするにあたって、目標管理シートは便利なマネジメントツールになります。いくら具体的で個人の成長を促す目標を設定したとしても、運用を効果的にできなければ目標管理がうまくできません。従って、目標管理シートを作成することで、達成度はどれくらいかが分かり、遅れていれば挽回策を講じることができるのでセルフマネジメントがやりやすくなります。

目標管理シートの書き方や記入例

目標管理シートには、「目標」「達成基準」「目標期間(期限、スケジュール)」等を記入します。目標には、個人が目標達成を通じて能力開発できる目標を記入します。また、目標を通じてどうなっていたいかを記述します。

注意したいのは目標に手段を書いてしまうことですね。例えば、営業なら「受注額1,000万円を獲得する」という目標にすべきところ、「新規顧客を10社開拓する」という書き方にすることをいいます。新入社員なら別ですが、本来、営業担当にとって後者はあくまでも目標達成の手段(達成基準)になります。

達成基準には具体的な数値、そして何を・どのように・いつまでにといった具体的内容を記述します。目標期間は具体的なスケジュールを書けば良いです。

それぞれの記入例は以下の通りです。営業担当を事例としています。

・目標:受注額1,000万円を獲得する
・達成基準:毎日電話営業を50本かけて、新規顧客を毎月10社開拓する
・目標期間:9月末日

目標管理シートを活用する際のポイント

目標管理シートを活用するポイントは、以下の4点です。

・目標は各人が主体的に立てる
・設定した目標および達成基準は作成者と上司の間で共有する
・組織目標に連動した個人目標を設定する
・スケジュール終了後、上司からシートの作成者(部下)に対してフィードバックする

目標管理に便利なアプリやツールも

目標管理に便利なアプリとしては、以下のものがあります。アプリなのでスマホを起動すればサッと使える便利さが魅力です。

・継続する技術
・ジェイスコア
・日課や習慣をサクサク記録!Habit Keeper Free

目標管理制度(mbo)とは

目標管理制度(mbo)とは
目標管理制度(MBO)はアメリカの経営思想家ピーター・ドラッカが提唱したマネジメントの仕組みです。これまで述べてきた目標管理を制度化したものと認識して頂ければ良いでしょう。人事評価制度に目標管理制度を採り入れる企業もあります。目標管理制度のメリット・デメリット、記入例等について紹介します。

目標管理制度のメリット

目標管理制度はMBOとも呼ばれますが、英語ではManagement By Objectives through Self Controlと言います。「Self Control」という表記があるのがポイントで、目標管理制度には目標管理する人にセルフマネジメントすることが求められています。

つまり、これまで目標管理について説明してきたことと同様に、目標管理制度は主体的な目標設定と進捗管理、実行が要です。目標管理制度でも能力開発が可能ですし、また、目標管理制度を通じて個人はモチベーションを高められます。

目標管理制度のデメリットや問題点

目標管理制度のデメリットは、目標管理制度が人事評価制度に組み込まれることにより形骸化することです。尤も、形骸化しないように運用をうまくやれば良いのですが、運用に失敗すると、被評価者は評価を得るために難易度の低い目標にすることがあります。これではせっかく個人のモチベーションを上げる効果がある目標管理がその体をなさなくなります。また、目標管理制度は成果主義的側面がありますので、成果に至るまでのプロセスを見なかったり、研究開発のように上期・下期では結果が出ない部署を低く評価しがちな問題点があります。

mboの記入例やサンプル

目標管理制度を人事評価制度に組み入れた場合の記入例としては、前述の目標管理シートと類似しています。違うのは人事評価で使うので、評価者欄に一次評価者・二次評価者・人事などがある点です。自己評価欄がある企業もあると思います。

ただし目標管理制度を廃止する企業なども

目標管理制度は、形骸化、成果主義などの観点から廃止する企業も出てきています。

MBOとOKRの違い

MBOとOKRの違い
MBOと似た概念にOKRがあります。OKRとはObjectives and Key Resultsの略。Googleや日本のメルカリが採用していることで知られています。MBOとの違いは、MBOが基本的には上司・部下間で用いられるのに対し、OKRは会社のミッションを個人レベルに落とし込むので全社員まで広がりを持つ点です。その他、フィードバックのタイミングは、MBOが人事評価時期であるのに対しOKRは月に1度、四半期に1度等、時期が早い点が挙げられます。

OKRのメリット

OKRのメリットは、人事評価制度に組み込まれないので、個人はリスクを恐れずチャレンジすることができます。また、全社員がOKRを共有しているので、目標達成を全社員が目指すことで社内文化が構築されていくメリットもあります。

OKRのデメリット

OKRのデメリットは、ミッションに共感しない従業員がいると大きな効果を得られない点にあります。OKRとは要は全社活動ですので、全員が共感できるミッションでなければOKRの効果が減じられます。むしろミッションに反発する従業員がいるようであれば、組織のまとまりがなくなります。

まとめ

目標管理、そして目標管理制度を概観してきました。目標管理にはメリットもあればデメリットもあります。うまく運用することが重要です。

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