運送業界の現状や今後の成長性は?運送企業の売上高ランキングを紹介

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私達の生活は運送業者の物流によって支えられていると言っても過言ではありません。

近年は、オンラインショップの急速な普及や運輸業者の人手不足などが話題となっています。

物流業界に携わっている方やこれから転職される方は現状と将来性を知っておく必要があります。

そこで今回は、物流業界の今とこれから、そして業界の売上ランキングをご紹介しましょう。

目次

運送業界の景気動向など

運送業界の景気動向など
運送業界全体の市場規模は12兆1,006億円、126業界中27位となっており、労働者数は9万人以上、中規模程度の業界です。

伸び率は+6.7%(29位)、収益性は+3.0%(99位)、運送業界全体の従業員の平均年収は570万円、88位です。

物流業界は、近年の傾向としてAmazonや楽天市場といった大手のネットショッピングの需要拡大により、個人向け配送が好調です。

2017年は運送業者の人手不足が深刻化しており、運送料の値上がりしたことが話題となりました。

EC(電子商取引)市場は、スマホやタブレットによる個人向け配送の高い需要により、市場規模は毎年拡大しています。

国土交通省のデータによれば、2007年から2012年は5年間で15%も宅配便の取り扱いが増加しました。

しかし、2019年3月の運送業界全体の市場は、景気DIを見ると、前月比0.3ポイント減の46.9となり、4 か月連続で悪化しています。

軽油価格の上昇と燃料費負担が増えたことにより一般貨物自動車運送や倉庫業などの景況感が悪化したと見られます。

一般貨物自動車運送は人手不足の影響により、運営が厳しく売り上げに直結しない、港湾運送は中国との物流が減っているとの声がありました。

中国景気の減速、製造業の悪化、コスト負担増、輸出低迷や設備投資の鈍化も影響しているかもしれません。

運送業界の現状や課題

運送業界の現状は対個人の配送は増加傾向にありますが、今後の課題は小口配送増加による負担、人口減少による人手不足が挙げられます。

物流業界全体の業務負担が増えすぎており、一人の従業員に対して負担が大きくなっているのです。

少子化高齢化による労働人口の減少、運送ドライバーの高齢化は物流で働く人の負担を確実に影響しています。

運送業界の今後

運送業界の従業員の平均年齢は41.2歳、平均勤続年数は13.3年、男性の中高年層が多くを占めています。

長時間労働と過酷な勤務にも関わらず、低賃金という厳しい条件のため、人手不足の解決策が難しいのです。

従来は日通や佐川急便でベテランドライバーになると比較的安定した収入を得られていましたが、近年はそれ程稼げない業界となっています。

物流業界では今後も人手不足による人員確保が難しい状況が続き、従業員の高齢化もさらに深刻化するでしょう。

運送業界は法改正の影響により、競争が激しく、需要が拡大しても収益に直結しにくい点も課題といえます。

運送業界 売上高ランキング( TOP10 )

運送業界 売上高ランキング( TOP10 )
ここからは、運送業界の売上高ランキングをご紹介します。

企業の業績を知ることで、運送業界全体の現状や動向、傾向が見えてきます。

運輸業界は、業界トップの日本通運、日本郵政、ヤマトホールディングスの3社が業界をリードしています。

1.日本通運

日本通運の売上高は1兆7,524億円、シェア率23.2%の業界トップです。

日通は個人宅の引越しや様々な物の運送を請け負っており、売上とシェアにおいて、常にトップの総合物流会社です。

総合物流には生活品、美術品などの特殊な物の輸送、国際貨物、現金、重量品など多岐にわたります。

日通は元々国営企業のため基盤が安定しており、国際物流では世界第4位のグローバル企業でもあります。

2.日本郵政

日本郵政公社を前身とした日本郵政は2006年に設立された日本郵政グループ持株会社です。

「郵便、銀行、保険」の3事業を中心に、物流事業、金融窓口事業、国際宅配便は51の国・地域に展開しています。

日本郵政グループは190以上の国・地域に郵便ネットワークを持ち、19,738億円の売上高があります。

2018年には「日本郵政不動産」を設立することを公表し、将来のグループ収益の柱にする予定です。

日本郵政グループは、全国2万4000局の郵便局ネットワークを活かした総合生活サポート企業を目指します。

3.ヤマトHD

日本の宅配業界では最大手のヤマトホールディングスは、アマゾンの配送を一手に引き受け、物量を確保し安定的なシェアをキープしています。

東証1部上場のヤマトの売上高は1兆3,746億円、シェア率18.2%、宅配便市場でトップシェアです。

ヤマトの宅配事業は電話一本で翌日配達、クール宅急便など斬新なサービスに定評あり。

気になるのは、2018年度業績の下方修正と決算の営業赤字により、ヤマト運輸の株価が2019年に入ってから40%以上下急落しました。

4.SGホールディングス

SGホールディングスは純粋持株会社、連結子会社100社、持分法適用の関連会社8社により構成されています。

SGホールディングスは法人顧客中心に日本全国を網羅するネットワークを駆使した物品輸送サービスを得意とし、売上高は10,450億円です。

物流ソリューションの「デリバリー事業」、「ロジスティクス事業」、「不動産事業」などの事業を展開し、物流附帯サービスにも注力しています。

5.日立物流

日立物流はシステム物流(3PL)、一般貨物・重量品などの輸送・搬入・据付作業、工場・事務所などの大型移転作業、国際物流事業を展開。

日立物流はスマートロジスティクスを推進し、競合他社と差異化を図っており、売上高は7,003億円です。

日立物流の強みは、生産、販売、リサイクルまで一連の物流の合理化を提案し、包括した物流業務を受託する「3PL事業」です。

物流センターの徹底された管理運営、物流コスト低減、環境にも配慮した良質な物流サービスを推進しています。

6.セイノーHD

セイノーホールディングス株式会社(セイノーホールディングス)は、業界最大手・西濃運輸を中核会社とするトラック輸送サービスです。

トラックに真っ赤なカンガルーが目印のセイノーホールディングスは5,961億円です。

長距離路線トラックの業界のパイオニア的存在の西濃運輸のモットーは「物流を通じてお客様に喜んでいただける最高のサービス」です。

7.近鉄エクスプレス

近鉄グループの構成会社は144社、近鉄エクスプレスは近畿日本鉄道・近鉄グループホールディングス株式会社のグループ会社です。

近鉄エクスプレスは鉄道、バス、タクシー、国際貨物、海上輸送などの運輸部門を展開し、売上高は5,531億円です。

その他にも、ホテル、ゴルフ場などのレジャーサービス、デパート、ストア、自動車整備、石油製品販売、不動産部門などを幅広い事業展開をしています。

航空貨物輸送では、エレクトロニクス品、自動車関連品、高級ブランド品、生鮮品など、海上貨物輸送では、大型機械、設備、原料、衣類、雑貨等を輸送しています。

8.山九

山九のプラント・エンジニアリング事業は、鉄鋼・石油・石油化学・電力・エネルギー・環境などの分野におけるトータルエンジニアリングです。

巨大なプラントの建設工事・メンテナンス、設計・製作・据付を得意としており売上高は5,319億円。

山九の特徴は、設計・製作から輸送、建設・据付工事、メンテナンスに至るまで、徹底した「一貫責任施工体制(EPTC)」を実現することです。

トータル管理することにより、高い品質を確保して
作業の効率化、工期短縮を可能にします。

9.センコーグループHD

センコーグループホールディングス株式会社は物流と商流の事業を拡大し続ける戦略により、売上高は4,921億円、14期連続で増収を達成。

物流・商流の拡大を目指し、売上7000億円を目標に挑んでいます。

海外にも物流センター、事業拠点を有しており、国内外の一貫物流や海外ビジネス展開の効率化を提案しています。

10.鴻池運輸

海外・国内の一環物流を担う鴻池運輸は24時間稼動の特徴を持つ国立流通センターが特徴です。

国内物流事業はドライ倉庫や冷凍冷蔵倉庫を拠点とした物流業務、流通加工業務を得意としています。

鴻池運輸の売上高は2,767億円、主な取引先は食品、鉄鋼、ガス、化学、日用品メーカーです。

今後は海上貨物、航空貨物のフォワーディング業務、輸出入貨物の倉庫業務までの一貫輸送、国際物流事業にも期待できます。

まとめ

運送業界のまとめ
多くの運送業者は、ここ数年で成長著しいアジアを中心とした海外展開が加速しています。

宅配便の高い需要により堅調な推移が見られますが、将来はネット通販のみでは厳しくなるでしょう。

今後もアジア市場への開拓が激しくなり、競争は本格化される見込みです。

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