クリティカル・シンキングの意味は?例題やおすすめの本も紹介

クリティカル・シンキングの記事 育成

仕事に取り組む際、ただ言われたことをこなすだけでは質の高い成果を残すことはできません。その仕事を取り巻くあらゆる要素について考えること非常に重要です。
ビジネスにおいては物事の考え方に用いるさまざまな方法論が存在するため、それらを活用することは仕事を進める上でも大いに役立ちます。
この記事では、ビジネスの場面で使える考え方として「クリティカル・シンキング」について解説します。業種を問わず幅広い業務で活用できるものなので参考にしてみてください。

クリティカル・シンキングの意味は?

クリティカル・シンキングをそのまま日本語に直すと「批判的思考」という意味になります。
これだけ読むと、あらゆる物事に対して批判をする、粗探しをする、というイメージを持つかもしれませんが、ただ批判するというものではありません。

クリティカル・シンキングは、その事象や情報が本当に正しいのか、という疑問を持ちしっかりと考えた上で結論や解決策をだすという思考方法です。主観や思考の偏りを排除して可能な限り客観的に物事を考えます。

クリティカル・シンキングの重要性

クリティカル・シンキングは世界的な注目を集める思考方法でもあります。

実際に、ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)では2020年に必要なビジネススキルにおいて2位にランクインしています。

また、アメリカでは、クリティカル・シンキングが重視されていて、小学生の段階でクリティカル・シンキングを意識した勉強が行われているそうです。

演繹法とは?

演繹法(えんえきほう)とは、クリティカル・シンキングに取り組む際の思考法の1つです。

一般的なルールや事実など複数の情報を関連付けて結論を導き出すという特徴を持ちます。

例えば、「私は人間である」「人間はいつか死ぬ」という事実があったとしたら、この2つの事実を関連付けて「私はいつか死ぬ」という結論を導くというイメージです。

この例は、普遍的な事実に基づいているため、間違っていることはありませんが、前提とする情報を間違えてしまうと、結論も間違ったものになってしまうので注意が必要です。前提の情報をしっかりと選ぶことができれば、説得力のある結論を導くことができます。

帰納法とは?

帰納法(きのうほう)とは、演繹法に並んでクリティカルシンキングに取り組む際の思考法の1つです。

似たような事例に基づいて、一般的な法則やルール、原理原則を推論するという特徴を持っています。
例えば、以下のような推論が当てはまります。

・A銀行は業績が好調
・B銀行は業績が好調
・C銀行は業績が好調
以上のことから銀行業全体の業績がいい

上記の例では、3つの事実を元に銀行業全体の業績がいいというルールを導き出しています。ここで注意しなければいけないのが、帰納法によって求められるルールは1つではないということです。上記の例だと、業績の悪い銀行が出てくる可能性もあります。
また、事実を基にどういった結論を導き出すかはその人の知識によって違いが出てくるケースもあります。

そのため、帰納法はある程度の予測を立てるという側面が強い思考法だと言えます。

ロジカルシンキングとの違いは?

「クリティカル・シンキング」と似たような言葉に「ロジカル・シンキング」というものがあります。クリティカル・シンキングが批判的思考と訳すのに対して、ロジカルシンキングは論理的思考と訳されます。

ロジカルシンキングは、物事を整理したうえで分析を行い、解決策や結論を導き出す手法です。クリティカル・シンキングは物事に対して、客観性や疑問を持って分析を行い解決策や結論を導き出すものであるため、前提となる姿勢に違いがあります。

どちらが良くて、どちらが悪いというものではなく、両者の特徴を組み合わせながら活用することが大切です。

例えば、まず物事に対する情報をロジカルシンキングで整理し、ある解決策を導き出したとします。その解決策に対して、クリティカル・シンキングを活用して、本当にその解決策でいいのか考察を深めることで、解決策の精度をさらに高めることができます。

クリティカル・シンキングの手順

ここからは、実際にクリティカル・シンキングを行う際の手順について解説します。

手順①課題を抽出する

まず行うことは、課題の抽出です。
ここで間違った課題を設定してしまうと、その後行うクリティカル・シンキングも意味のないものになってしまうので、注意が必要です。

手順②課題の分解・現状分析

課題が設定されたら、その課題を細かい要素1つ1つに分解していきます。要素の分解ができたら、内容別などに分かりやすく並び替えを行います。

整理した情報を基に、課題の現状がどのようなものになっているのか分析するようにしましょう。

手順③仮説の立案および検証

現状を把握したら、課題の解決に向けた仮説立案と検証を行います。

一度現状把握をして、仮説を立てるところまで来ると、思考に偏りが出てくる可能性もあり「この仮説で間違いないだろう」と思い込んでしまう恐れがあります。

そのため、仮説立案の段階でも、常に本当にこれでいいのか問い続ける姿勢を忘れないようにしましょう。

もし、仮説の検証がうまくいかないようなら、もう一度現状把握の分析を行うようにしてください。

手順④解決策の実施

仮説の立案、検証によって導き出された解決策を実際に行うステップです。ここで注意して欲しいのが、解決策を実施したからといって、それで終わりになるというわけではありません。

実施結果の検証を行い、新たに出てきた課題などがあれば、ふただび仮説立案を行うなどして、しっかりとPDCAサイクルを回すようにしましょう。

クリティカル・シンキングの例題は?

ここからは、クリティカルシンキングの事例を紹介します。

例題1

1つ目の例題は、若手社員が育たないという課題に対する解決策を見つけるというものです。

まず、課題を要素に分解した結果、以下のような要素が出てきました。
・当社の若手社員は、入ってすぐ辞めるため、人材育成ができない
・近年の若者は離職率が高いので仕方ない側面もある
・すぐ辞める人材かどうかは、採用段階で見極めたい

以上の要素を分析し以下の仮説を導きだします。
・近年の若者は離職率が高い
・若手社員はすぐ辞めるので、教育する意味がないと思っている
・すぐ辞める人材は、採用時に見極められる

そして、以下のような結論に至りました。
・若者の育成よりも、すぐに辞める人かどうか採用時に見極められるような方針を強化すべき

これを解決策として、実施していくことになります。

例題2

2つ目の事例は、業績が低迷している営業部門の売上アップを目指すという課題に対する解決策を見つけるというものです。
まず、課題を要素に分解した結果、以下のような要素が出てきました。

・営業部門の売上低迷が原因
・営業部門だけでなく会社の業績も良くない
・取り扱い商品を増やして売上アップを目指したい

以上の要素を分析し以下の仮説を導きだします。
・営業部門の低迷が会社の業績に影響している
・営業部門は、現状維持の雰囲気があるが、何か変化を起こすべき
・取り扱い商品が増えれば、営業もしやすくなるだろう

そして、以下のような結論に至りました。
・取り扱い商品の拡大に取り組み、売上アップを目指す

ここからどういった商品を取り入れていくのかといった実施の部分へと移行していきます。

クリティカル・シンキングのおすすめの本は?

最後にクリティカル・シンキングを学ぶのにおすすめの本を3冊紹介します。

第3位クリティカルシンキングの教科書

この本では、若手社員から中堅社員、それ以上まで、幅広いビジネスパーソンに役立つビジネスの基本スキルを学ぶことができます。
内容はクリティカル・シンキングの基本的な内容を学ぶもので、事例も豊富に書かれているため、読みやすくなっています。

第2位クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則

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この本は、クリティカル・シンキングについて体系的に学ぶことができる入門書です。クリティカル・シンキングの大敵である、偏った思考やステレオタイプ的な考えに対する戒めを与えてくれるため、読んでいて得られる気づきも少なくないはずです。また、難しい表現を使っていないため、読みやすくなっています。

第1位グロービスMBAクリティカル・シンキング


この本は、豊富な事例と演習問題を通してクリティカル・シンキングについて学習を進めていきます。実践的な内容でありながら、基礎もしっかりと抑えており、ビジネスシーンはもちろん、普段の生活の中でも役に立つ知識を得ることができます。

まとめ

今回は、ビジネスシーンで活用できる思考法の1つであるクリティカル・シンキングについてその概要から、実施の手順、具体的な事例について紹介しました。
一見すると難しそうに見えるクリティカル・シンキングですが、実際には、目の前の事象が本当に正しいのかどうか、とことん考えるというもので、客観的な視点を用いて物事を考える思考法だと言えます。
実際に使用するにあたっては、知識や経験なども必要になってきますが、初心者向けの本などもあるので、ぜひ参考にしてみてください。