コーピングとは?意味や種類、コーピングリストの作成方法などについて
コーピングについて
まずは、コーピングとはどのような意味で、どのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
コーピングとは?どんな意味?
コーピングとは、ストレス反応の中でも望ましくない反応だけを回避したり減らしたりする手法です。人は、ストレスを受けたときにさまざまな反応が起こります。これは、ストレスに対抗するための反応のため、基本的には問題ありません。
しかし、中には心身に悪影響を及ぼす反応も含まれており、そのような反応をできるだけ回避することが大切なのです。
コーピングが重要視される背景
ストレス社会とも呼ばれる現代では、仕事だけではなく私生活でも慢性的なストレスに悩まされがちです。悪いストレス反応が継続的に起こることで、より一層心身の状態が悪くなる可能性があります。ストレス反応をうまく処理できないと、生活の質や仕事の質の低下に繋がるのです。
コーピングを行うことのメリット
人は、ストレスを一切感じずに生活することは不可能です。コーピングによって、悪いストレス反応に対処できれば、ストレスを受けてもうまく処理できるようになります。そのため、ストレスをうまく処理することが重要と言えます。
コーピングスキルの種類について
コーピングの方法には、いくつかの種類があります。どのような種類があるのか詳しくみていきましょう。
1.問題焦点型コーピング
問題焦点型コーピングは、ストレスの原因を解消すべく、周囲からのサポートを得たり自分で解決したりしようとする手法です。例えば、許容量を超えたタスクを抱えている場合は、自分の許容量を把握したうえで、できることとできないことを明確にします。
2.情動焦点型コーピング
感情発散型と抑圧型があります。感情発散型は、ストレスの原因を解消する手段がない場合に、怒りや悲しみなどの感情を発散させることでストレスを和らげます。抑圧型は、ストレスを心の中で抑え込むことが特徴です。
コーピングを特に意識していなくても、愚痴をこぼすようになったり、気持ちを我慢したりするようになったりすることがあります。
3.認知の歪みを修正する
人は、強いストレスを受けると「認知の歪み」が生じやすくなります。例えば、上司に強く怒られると、「仕事をすると怒られるのではないか」と思うようになり、最終的に「仕事をすること」が恐くなる場合があります。
上司が怒ったのは、仕事すべてに対することではなく、一部に対することのため、仕事そのものが恐くなることは「認知の歪み」によるものと言えるのです。このような認知の歪みを修正することが大切です。
4.ソーシャルサポートを作る
ストレスを改善するために、ソーシャルサポートを作る必要があります。ソーシャルサポートとは、「社会的関係の中でのコミュニケーションによる支援」のことで、家族や友人、専門家など自分をサポートしてくれる人やものを指します。
5.身体的コーピング
感情と身体は密接に関係しており、運動によってストレスを発散させることを身体的コーピングといいます。適度な運動をしている方は、うつ病になりにくいともいわれています。そのため、普段から定期的に運動しておくことが大切です。
6.気晴らし型コーピング
遊びや趣味でストレスを解消する方法を気晴らし型コーピングといいます。習慣的に楽しめる趣味を見つけることが第一歩です。近所の公園など、身近な場所への散歩でも気晴らしになる場合があります。
アンガーマネジメントとは?
ストレスが溜まると感情が爆発しやすくなりますが、ここで覚えておきたいのがアンガーマネジメントです。コーピングとの違いや具体的な方法について詳しくみていきましょう。
アンガーマネジメントとコーピングの違い
アンガーマネジメントとは、怒りの感情やイライラする気持ちをコントロールすることです。このような感情や気持ちをコントロールできれば、ストレスの原因を見極め、根本的な解決を図ることに繋がります。コーピングのうち抑圧型と似ていますが、アンガーマネジメントは抑え込むのではなくコントロールします。
アンガーマネジメントのやり方について
怒りやイライラを感じたときに、6秒数えて気持ちを静めましょう。これは、感情のコントロールを困難にするアドレナリンが約6秒で全身をめぐるためです。
また、怒りスコアをつけて、怒る必要がないことの線引きをしましょう。客観的に物事を見やすくなります。
コーピングマントラについて
コーピングマントラは、ストレスを感じたときに唱える自分を落ち着かせて客観的な視点を持たせるための言葉です。例えば、怒りやイライラの感情が現れた際には、「大丈夫」、「大したことはない」などと唱え、気持ちを落ち着かせます。
コーピングリスト・コーピングレパートリーとは?
コーピングリスト・コーピングレパートリーとは、ストレスに対処するための行動の種類のことを指します。例えば、ストレスを感じたときに運動する、本屋に行く、散歩する、カラオケに行くなど、多くのコーピングレパートリーを持つことで気持ちが楽になり、ストレスを受けにくくなります。
なぜコーピングレパートリーを持つことが重要なのか
「これをすればストレスが和らぐ」、「これをすれば大丈夫」と思えるコーピングレパートリーを持つことで、ストレスを受けたときに認知の歪みが生じにくくなります。ストレスを重く受け止めすぎなくなり、適切に対処しやすくなるのです。
コーピングリストの作成方法
コーピングリストには、「できるだけお金を使わず」、「人を巻き込まず」、「時間がかからない」コーピングを加えましょう。手軽に実践できることが重要なポイントです。100個程度リストアップして、検証しつつ減らすことをおすすめします。
検証方法について
実際に試してみて、お金を使いすぎないか、人を巻き込んで迷惑をかけないか、時間がかかりすぎないか検証しましょう。継続的に実践できるコーピングかどうか十分に見極めることが大切です。
コーピングを行っても効果が感じられない場合は?
コーピングの効果を感じられない場合は、次のように対処しましょう。
病院に行こう
ストレスが溜まりすぎると、うつ病になる可能性があります。そのほか、さまざまな心身への悪影響が懸念されるため、心療内科などを受診することが大切です。
薬をもらって眠れるようになるだけでも気持ちが変わる
医療機関を受診して薬を処方されることで、ストレスによる不眠が解消する可能性があります。それだけでもストレス状態が改善され、気持ちが前向きになるため、早めに受診することをおすすめします。
無理をしてこじらせないことが大事
ストレス状態が悪くなり、うつ病になってしまった場合は、復帰までに時間がかかるでしょう。無理をしてこじらせることで、結果的に大きな問題に繋がるため、決して無理はしないことが大切です。
まとめ
ストレス社会である現代では、コーピングによるストレスケアが欠かせません。慢性的なストレスを抱えると、うつ病などの問題が起こる可能性があるため、コーピングで可能な限りストレスを発散させましょう。自分に合ったコーピングを見つけて、ストレスに強い心を目指してください。