労働生産性とは?日本の現状と向上に成功した事例

低い経済成長率、少子高齢化などに伴って日本でも労働生産性が重要な指標となっています。政府で推進している働き方改革にも労働生産性は深く関わっています。本記事では日本の労働生産性の現状や向上するための事例などについて、丁寧に解説していきます。

目次

労働生産性とは?わかりやすく解説

労働生産性とは?わかりやすく解説
労働生産性はよく聞く言葉ですが、その具体的な意味が分かっていなかったり、どう使うのが良いかが分からなかったりしますよね。労働生産性とは何か?計算式はどうやるのか?などについて見ていきたいと思います。

労働生産性は大事な指標!計算式は?

労働生産性とは投入した労働量に対して、労働の成果がどれくらいだったかを示します。より具体的には、労働者1人あたりもしくは1時間あたりにどれくらいの成果があったかを示します。つまり収益の向上に密接に関係するために、労働生産性は重要な指標であるといえますね。労働生産性の計算式は次の通りになります。

労働生産性=付加価値(労働の成果)/労働投入量

分母の労働投入量は労働者数や労働者数×労働時間を示します。

なぜ労働生産性が重要な指標だと言われるようになったのでしょうか。それは日本企業の労働生産性に対する意識に起因すると思います。

例えば同じ労働時間なのに、Aさんの成果が80でBさんの成果が100の場合、Bさんの方が労働生産性が高いといえます。あるいはAさんもBさんも成果が100で、Aさんの労働時間が8時間でBさんの労働時間が12時間もある場合、Aさんの方が労働生産性が高いといえますね。

従来の日本企業では長時間残業する方が是とされてきました。残業代ももらえますし、人事評価でも「あいつは遅くまでがんばっている」と評価されてきました。でも、低い経済成長率、少子高齢化、そして日本企業の停滞を見るにつけ労働生産性の重要性が増しているんです。

労働生産性と付加価値の関係について

労働生産性は、労働投入量によって労働の成果がどれだけだったかを示し、利益の向上に関わる指標です。労働の成果は付加価値額でも言い表せます。つまり労働生産性とは、労働投入量によってどれくらいの付加価値額があがったかを示す指標でもある訳ですね。

付加価値額といわれてもちょっとピンとこないかもしれませんので、計算方法を見てみることにしましょう。

付加価値額=売上高ー売上原価

売上原価以外がその企業の付加価値を生み出しているという考えです。

あくまでも労働生産性を計算した後が大事!

労働生産性は収益と密接に繋がる指標。即ち、労働生産性が低いということは、収益が低い企業と言える訳です。ですので、労働生産性が高かったか、低かったかを計算することに留まらず、もし低かったならいかにして来期は労働生産性を向上させなければならないか、真剣に考え施策を練る必要があるんですね。労働生産性は、計算して終わりなのではなく計算した後が大事だと言えるゆえんです。

日本の労働生産性について

日本の労働生産性について
続いては「日本の労働生産性」について具体的に解説していきましょう。

日本の労働生産性の推移と現状

日本は労働力人口が長期的に減少していく傾向にあります。ですから、そもそも労働投入量を増やそうと思っても労働力が足りません。従って、少ない労働投入量でいかに付加価値額を高めていくか、即ち労働生産性をいかに高められるかが重要になってきます。

日本の労働生産性の直近のデータは2017年に計算されています(公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較」)。それによると日本はOECD加盟国36か国中なんと21位!下から数えた方が早いんですね。

米国との比較でみると、1990年代には米国の3/4程度だった労働生産性は、2010年代には2/3まで落ちています。バブル崩壊後のデフレによる低い経済成長率を見れば、米国との労働生産性の差が拡大するのも当然の結果かもしれませんね。

労働生産性の国際比較!ランキングを紹介

労働生産性の日本の現状を見ましたが、次に国際比較を見てみましょう。

1位はアイルランド。アイルランドの労働生産性は1,641万円で、日本の労働生産性が837万円と比べると2倍の差が出ています。

2位はルクセンブルクです。ルクセンブルクは人口60万人程度の小国ですが、金融業で高い成果を挙げていました。

3位は米国です。それでは、労働生産性の国際比較ランキング10位まで紹介します。

  • 1位:アイルランド
  • 2位:ルクセンブルク
  • 3位:米国
  • 4位:ノルウェー
  • 5位:スイス
  • 6位:ベルギー
  • 7位:オーストリア
  • 8位:フランス
  • 9位:デンマーク
  • 10位:オランダ

日本の労働生産性が低い理由

日本の労働生産性が低い理由として、GDPが上昇しなかったり、製造業の生産性が大きく低下(国際比較で、2000年には1位だった日本の製造業の生産性が2016年には15位)したりしたことが挙げられます。

業種・企業別の労働生産性ランキング

業種・企業別の労働生産性ランキング
業種・企業別の労働生産性ランキングを見ていきます。

製造業は労働生産性が高い

日本のお家芸である製造業の労働生産性は、業種別で1位とはいえませんがベスト10内に入り高い水準を誇っています。

不動産業も労働生産性が高い

業種別(就業1時間あたり)に見ると不動産業の労働生産性が非常に高く、全業種で1位となっています。2位は電気・ガス・水道などのインフラ、3位は情報通信業、4位は金融・保険業、そして5位は教育となっています。業種別(就業者1人あたり)で見ても同じ傾向ですが、5位だけは教育ではなく製造業となっています。

サービス業は労働生産性が低い

サービス業の労働生産性は低い傾向にあります。なぜサービス業の労働生産性が低いかというと、多くの「人手」を有するからです。

労働生産性が低い企業の特徴

業種別の労働生産性を見て分かることがあります。それは、労働投入量が少なくても高い付加価値額を上げられる業種で労働生産性が高いということ。従って労働生産性が高い企業の特徴は、従業員が多いけれども高い収益を上げられない企業ではなく、従業員が少なくても高い付加価値額を上げることができる企業ということになりますね。

労働生産性を向上させるために

労働生産性を向上させるために
労働生産性を向上させることは企業の収益性を上げることに繋がります。向上させた事例や施策などについて見ていきたいと思います。

労働生産性を向上させた3つの事例

労働生産性を向上させた3つの事例を紹介します。

1.ロボットの導入

労働生産性の分母は労働投入量です。ですから、例えば工場で人が作業する手間をロボットが行えば労働投入量が減り、労働生産性を向上させる要因になります。もちろんロボットを導入するということは投資するということ。投資に見合った労働生産性が可能なロボットを選別し導入する必要があるでしょう。

2.アウトソーシング化

定常業務を効率化させるためにアウトソーシング化(外注化)すれば、労働投入量が減ります。その分、社員は他の仕事に労働時間を使うことができます。ロボットの導入と同様にコストがかかりますので、費用対効果をしっかりと見極める必要があります。

3.本社への集約化

全国展開している事業所で、事業所ごとに行っている同じような仕事を本社業務に集約化することで労働生産性の向上に寄与します。集約化すれば各事業所で行っていた仕事がまるまるなくなりますので、他の仕事に注力することができます。そういった仕事が定常業務であればあるほど、生産性の高い仕事に労働時間を使えますので生産性の向上に繋がりますね。

向上させるためのポイントや注意点

労働生産性を向上させるためのポイントは、労働生産性の計算式を正しく理解することです。分子である付加価値額(労働の成果)を高め、分母である労働投入量を減少させれば労働生産性は向上します。そして付加価値額は何を意味し、労働投入量は何を意味するかを正しく理解すること。それができていないと具体策に移ってもうまくいきません。

労働生産性を向上させるための注意点として、長時間残業を減らすことに本気になれるかということが挙げられます。日本企業では長時間残業が当たり前でしたし、今も長時間残業を是とする会社がまだまだ多いと思います。既に長時間残業が文化にさえなっている企業において、長時間残業を減らすためには、トップダウンで意識改革をしないと長時間残業を減らすことができません。労働生産性の分母は労働投入量です。少ない労働時間で高い成果を出すことで、労働生産性が向上します。長時間残業を減らすために全社一丸となって取り組まないと、労働生産性を向上させることは、絵に描いた餅になってしまいます。

労働生産性を向上させる方法や施策

労働生産性を向上させる方法・施策についてフローで見ていきます。

1.業務の棚卸

自分の業務量がどれだけあるか分からない。もしくは、管理職から見てメンバーがどんな仕事をしているのか、優先順位はどれだけかが分からない。日常業務を淡々と行っているだけだと、こういった「分からない」事態が発生します。分からない事態を放っておくと労働生産性を向上させることはできません。なぜなら、仕事の中にムダがあったり、優先順位を付けようとしても、業務の棚卸ができていなければムダを見つけて排除したり、優先順位を付けられない訳です。まずは業務の棚卸をして労働生産性を向上させるための準備をして下さい。

2.業務の標準化

業務の棚卸ができたら、ムダを排除したり優先順位を付けたりして業務を効率化させることができます。効率化の先にあるのが業務の標準化ですね。誰がその仕事を担当してもできるようにしておくこと。マニュアルを用意しておくことが標準化の例として挙げられます。

3.業務の自動化

最後は業務の自動化です。Excelで行っていた仕事をプログラミング化して自動化したり、社外で自動化のソフトやアプリを購入したりすることで、労働時間を削減することができます。

まとめ

生産性のまとめ
いかがでしたでしょうか?労働生産性は企業の収益性を向上させるための重要な指標でした。また、日本の労働生産性の現状を見ると、向上させることは急務であることが分かりますよね。本記事では事例や施策などについても触れていますので、労働生産性の向上のために参考にしてみて頂ければと思います。

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