内製化とは?製造業における内製化のメリット・デメリットを解説

内製化の記事

外部委託してきた日本の製造業。コスト削減の元に委託生産を進めてきた製造業が内製化に向かって舵を切ろうとしています。内製化すると製造業にとってどんなメリット・デメリットがあるのか、そして内製化のポイントとは何かについて、分かりやすく解説します。

目次

製造業における内製化とは

製造業は完成までに多くの部品を要することが多く、他社に委託生産することによりコスト削減を図ってきました。

委託生産した方がコスト削減に繋がるので内製化する必要がないように思えますよね。それなのに、なぜ、製造業に内製化が求められるようになったのでしょうか?

委託生産が進んだ理由(コスト削減)

製造業において委託生産が進んだ理由として、コスト削減が挙げられます。

例えば、自動車1台作るにしても大小の様々な部品を用いて作り上げる訳ですが、全て内製化したらどうなるでしょうか?

巨大な工場の敷地が必要になりますし、製造費や人件費も膨大なコストになるなど、継続的に固定費がたくさんかかってしまいます。そのようなコストを抑えるために委託生産を行い、コスト削減に繋げているのです。

内製化が求められる背景とは

コスト削減に繋がるはずなのに製造業で内製化が求められるのには、どんな背景があるでしょうか?

1つには、内製化しないと製品の品質を改善できないという背景が挙げられます。

委託生産すれば、確かにコストは減るでしょう。固定資産を持たなくて済みますし、人件費を負担する必要もありません。一方で、自社でモノを作っていないため、技術力や知識・ノウハウの蓄積ができません。そのため、品質の改善は委託生産している他社に任せきりとなってしまいます。

2つ目の背景として、内製化しないと管理が難しいという背景が挙げられます。

委託生産することで、業務の進め方・人材育成など全て他社に任せることになり、管理することが難しいです。自社に効率的な業務の進め方やイノベーティブな開発方法などを構築したとしても、委託生産では他社にお任せなので管理できません。

製造業における内製化のメリット

製造業が内製化するとどんなメリットがあるか解説します。

意思決定の浸透が迅速

製造業で内製化すれば、会社で意思決定した内容が組織・メンバーにまで浸透するスピードが速くなります。

例えば、部品Aを委託生産していた会社が内製化することに決めたとしましょう。話をシンプルにするために、前工程が部品B、後工程に部品Aが新たに追加されるものとします。

単純に考えれば、部品Aが後工程に追加されることで固定費は上がります。しかし、技術革新により、後工程を生産しても、尚、コストが削減される技術ができたとすれば、どうでしょうか?

さらに、その技術革新のおかげで部品Aの品質が改善されたなら、質が良くなり、コストも削減されることになりますよね。技術革新を進めるには会社の意思決定がかかせませんので、内製化のメリットに繋がります。

しかし、部品Aを委託生産していたら、技術革新が発生しても影響を受けるのは部品Bだけ。部品Aは他社で生産されているので、会社の意思決定が及ばないのです。

ノウハウが自社に残り技術力が向上する

製造業が内製化するメリットとしては、自社にノウハウ・知識が残る点が挙げられます。自社にノウハウや知識が蓄積されれば、先に見たように技術革新に繋がり、また、技能の伝承、組織全体の業務改善・品質改善など、様々な効果を生みます。

しかし、委託生産していると、ノウハウ・知識の蓄積は、自社で生産している製品についてのみ影響を及ぼします。つまり、どれだけノウハウ・知識を貯めこんでも、委託生産している製品にかかる技術力を向上させることはできないのですね。

技術力の流出を防げる

製造業が内製化すると、技術力の流出を防ぐことができます。委託生産するということは、自社と他社の製品との関わりを持つということ。

製造業の委託生産とは、工程のどこかで使う製品を他社に作ってもらうことなので、自社の技術力を他社が知らなければ、製品が作れません。

すなわち、知らず知らずのうちに技術力が流出している可能性があるのです。 その点、内製化すれば自社で1から10まで作るのですから、ノウハウ・知識を蓄積し、さらに他社に技術力を流出させないのでメリットになります。

内製化すればコスト削減に繋がることも

委託生産のメリットはコスト削減でした。内製化すれば、人材も工場も材料も全て自社でまかなわなくてはならないので、基本的にはコストが上昇する傾向にあります。

しかし内製化することで、条件次第でコスト削減に繋がることもあります。例に挙げた技術革新もそうですし、自社で生産していく中で効率的なやり方を生み出せば、コストを抑えて生産することができる可能性があります。

製造業における内製化のデメリット

製造業が内製化することでデメリットもあります。

短期的にはコスト増になる

製造業の内製化のデメリットとしては、真っ先に短期的にはコスト増になるという点が挙げられます。これまで、委託生産してきたのに自社で生産する訳ですから、短期的にはコストが上昇します。

もちろん、委託生産してきた他社工場と同じ規模の敷地・設備が自社でも必要な訳ではありません。既存の自社工場で共有できる部分はあるでしょう。

それでも、自社工場では既存の製品を作ってきたのですから、工程をスムーズに進めるために既存の敷地では間に合わない場合があります。

その場合、工場敷地の拡張、設備の増設などが必要になり、短期的には、どうしてもコストが上昇することになります。

離職率が高まる可能性も

内製化することで、製造業では新たな専門性が必要になることがあります。既存のやり方では生産できないと分かっている時、新たな人材を採用したり、社内の人材を育成したりしなくてはならないでしょう。

すんなりと人材を採用でき、また、人材が育ってくれれば良いのですが、うまくいかなければ既存の人材が疲弊して離職してしまうこともあります。

内製化のメリットだけを見て安易に内製化を決定してしまうと、既存の人材の離職率を高めることになるので注意が必要です。

早期の内製化は難しい

工場の敷地拡張・設備の増設、人材の確保・育成などを見てきたことで分かるように、早期の内製化は難しいことがデメリットです。内製化は、自社工場で委託生産してきた部品を作るという単純な問題ではありません。

部品を新たに作るには、コストがかかるだけでなく、そもそも、仕事の進め方を抜本的に変えなくてはならないのです。

既存の仕事の進め方を踏襲するだけでは、いたずらにコストが上がるだけであり、人材は疲弊し、組織風土も悪化してしまいます。

技術革新やノウハウ・知識の効果が直ぐに得られるとも限りません。したがって、内製化した後をしっかりと見据えないと、「早期の内製化が難しい」ことが尾を引いて、「やっぱり委託生産が良かった」という後悔をすることになりかねません。

内製化を進めるためのポイントを紹介

内製化は多くのメリットもありますが、早期の内製化が難しく、短期的なコスト増は避けられないなどのデメリットもあります。どうすればうまく内製化を進められるでしょうか?ポイントを紹介していきます。

内製化すべき業務を選定する

まずは、内製化すべき業務を選定しましょう。委託生産してきたどの部品を内製化するのか?を選定します。

「早期の内製化は難しい」でも触れたように、内製化した後を見据えたシミュレーションを行わないと、内製化のメリットを受けられません。

内製化できない業務は委託生産のままとする

内製化した後のシミュレーションを行い、内製化のメリットを受けられなさそうだなと思ったら、思い切って委託生産のままとしましょう。

内製化のコストメリットを算出する

内製化すれば短期的にはコスト増となることは避けられないので、どの程度、内製化のコストメリットがあるかを算出して下さい。

内製化すれば技術力の流出は避けられ、ノウハウ・知識を蓄積することができます。コストに見合ったメリットがあるか、数字で確認しておくことをおすすめします。

研修を通じて人材開発を進める

内製化することで、社員は新しい製品を扱うことになります。機械そのものが新しくなったり、操作が違ったり、設計図が難しかったりといった大変な局面に出会うことでしょう。

内製化に対応する社員を育てるためには、現場にお任せではなく、会社が率先して研修を開催し人材開発を進めることが大切ですね。 専門的なスキルを養える研修に出向いたり、あるいは、他のメーカーで行っている研修に参加したりすることも人材開発の手段の1つといえます。

まとめ

コスト削減のために進んできた製造業の委託生産。内製化することで、技術力の流出を防ぎ、自社内にノウハウ・知識を蓄積させることができます。技術革新に成功すれば、製品の品質改良に繋がることもあるでしょう。

一方で、内製化したからといって直ぐに内製化のメリットが得られる訳ではありません。しっかりと、内製化の後のシミュレーションを行って、賢く内製化を進めていきたいところですね。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる