ゲームがビジネスに役立つ?ゲーミフィケーションの事例と基本を徹底解説!

ゲーミフィケーションの記事
ゲームに没頭している瞬間、私たちは我を忘れて楽しんでいます。そこにはやらされ感はありませんし、自ら進んでゲームを手に取り没頭しています。ゲームに没頭できる面白さ・楽しさをゲーム以外の領域に活用するのがゲーミフィケーションで、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略に応用されています。記事ではゲーミフィケーションの目的、ビジネスへの活かし方、企業事例等を幅広く紹介していきます。
目次

ゲーミフィケーションとは?

ゲーミフィケーションとは?
ゲームで遊んでいると、時間が経つのも忘れるほどに没頭してしまいますよね。ゲーミフィケーションはそんなゲームの特性をゲーム以外に活用すること。ゲーミフィケーションが持つ特徴と合わせて、ゲーミフィケーションとは何かを解説します。

ゲーミフィケーションの意味

ゲーミフィケーションとは、ゲームが持つ面白さ・楽しさを活用しゲーム以外の領域に活用するものです。例えばテレビゲームで遊んでいる時、ポイント稼ぎやレベルアップ、高い目標へのチャレンジ等を楽しみながら実行していますよね。これをゲーム以外の領域、例えばビジネスに応用するのがゲーミフィケーションなのです。ゲーミフィケーションは2010年頃から現在の意味で登場し始めました。

アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイは、我を忘れて没頭している状態をフロー状態と名付けました。飲食を忘れるほど仕事に没頭してしまうほど集中して仕事に取り組んでいる時、人は仕事をすることそのものに楽しさや面白さを感じています。ゲーミフィケーションでも、チクセントミハイが言うフロー状態が表れています。

続いて、ゲーミフィケーションの構成要素「ポイント」「バッジ」「リーダーボード」を見ていきます。これらは『ゲーミフィケーション集中講義』から参照しました。同書では、ゲーミフィケーションの実例では「ポイント」「バッジ」「リーダーボード」が構成要素として考えられると説明されています。

ポイント

ゲーミフィケーションのポイントとは、何か報酬をもらうためのポイントという意味合いです。テレビゲームでポイントを稼いでレベルアップしたりアイテムをもらえたりしますが、ゲーミフィケーションでは、例えば商品を買うごとにポイントを稼いでハワイ旅行チケットをもらえるようなマーケティングで使われます。

バッジ

ゲーミフィケーションのバッジとは、『ゲーミフィケーション集中講義』によれば「何かを達成したことを視覚的に示すもの」のことです。テレビゲームで、ある指標となるクエストを攻略するとトロフィーがもらえるものがありますが、ゲームにおけるバッジはこのようなイメージです。

ゲーミフィケーションでは、ポイントの例を使うなら稼いだポイントのお蔭でもらえたハワイ旅行チケットがバッジなのです。ハワイ旅行チケットが、チケットをもらえるほどのポイントを稼いだことの証=バッジになっています。

リーダーボード

リーダーボードは、ゲームの中で自分がどの位置にいるかを知るための方法のことを言います。営業成績を競うビジネスなら、受注額グラフを営業部内で共有することで、自分は営業パーソン10人の中でどのくらい稼いでいるかを知ることができます。

ゲーミフィケーションが注目される理由

ゲーミフィケーションが注目される理由は、ある対象者について、ゲームのように楽しんでもらってフロー状態にさせたりモチベーションを高めたりすることで、消費者にモノ・サービスを購入してもらい、あるいはビジネスパーソンに高い目標を掲げて仕事を達成してもらうため、という理由があります。退屈な仕事も、ゲームのように楽しくすれば目標達成してくれるというのがゲーミフィケーションの考えです。

ゲーミフィケーションの目的と意義

ゲーミフィケーションの目的と意義

ゲーミフィケーションの目的と意義について解説します。

モチベーションを高めることが目的

ゲーミフィケーションの目的とは、モチベーションを高めることです。モチベーションには外発的動機づけと内発的動機づけの2種類があり、前者は金銭や評価といった自分の外部にあるものの動機づけを言い、内発的動機づけは、自分の内面に動機づけられて、例えば「とにかくこの目標を達成したい」という動機づけのことを言います。

ゲーミフィケーションの目的として、外発的動機づけも求められますが、最終的には内発的動機づけによりモチベーションを高めることです。

目標設定理論から分かるゲーミフィケーションの意義

ゲーミフィケーションの動機づけの意義は、目標設定理論からも説明することができます。『ワーク・モティベーション』の中でゲイリー・レイサムは、目標設定理論を説明する中で、具体的で困難な目標を与えられた木こりと与えられなかった木こりを比較して、前者の方が生産性も出勤率も後者を上回ったと言います。

目標設定理論は、具体的で困難な目標があると人は動機づけられ高い成果を上げることを提唱する考えです。ゲーミフィケーションでもポイント稼ぎやバッジの獲得、リーダーボードによる自分の位置の確認等の構成要素を通じて、外発的動機づけや内発的動機づけを高め、目標を達成しようとするものです。

ゲーミフィケーションは、目標設定理論が明かした目標と成果の関連づけにプラスしてゲームの楽しさ・面白さを加え、目標達成行動そのものに深い動機づけを与えて取り組んでいくことを後押しします。

ゲーミフィケーションをビジネスに活かすには?

ゲーミフィケーションの概略を説明してきましたが、ビジネスに活かすにはどうしたら良いかを説明していきます。

報酬がもらえる

ビジネスで報酬がもらえるとは、ゲーミフィケーションで言うポイントのことですが、報酬とはお金や人事評価だけに留まりません。例えば、会社でコミュニケーション活性化を狙い、毎週、同僚同士で「あなたの良いこと」を発表し合う仕組みを作ります。発表を聞いた同僚が共感すれば、発表者との対象者の双方にポイントが割り振られます。半年ごとにポイントの発表があり、ポイントが高い人が表彰されるという仕組みです。

従業員はポイントを稼ぐために「あなたの良いこと」を探して発表する訳ですが、良いことを探すには相手と話さなくてはならないので、この取り組みに参画すること自体がコミュニケーション活性化に繋がっているのです。

ちょっとした課題を与える

目標設定理論でも述べたように、具体的で困難な課題を与えられた人はその達成に向けてがんばろうとします。目標達成のためにゲーミフィケーションにおけるポイント・バッジ・リーダーボードを使えば、目標達成行動そのものに人は夢中になって取り組みます。

ゲームをすることが楽しい

ゲーミフィケーションをビジネスに活かす時は、ゲームをすることが楽しい感覚を体験させることが必要です。「報酬がもらえる」で触れたように、あなたの良いことを探して発表し、ポイントを稼いで表彰を受けるという一連の流れを実行することに楽しさを感じさせることが重要なのです。

ゲーミフィケーションの企業事例

ゲーミフィケーションの企業事例

ゲーミフィケーションの概念やビジネス活用を説明してきましたので、ゲーミフィケーションのイメージがついたと思います。次にゲーミフィケーションの企業事例を紹介します。

くら寿司のビッくらポン

回転寿司を経営するくら寿司は、ビッくらポンというゲームをテーブルに設置しています。これは寿司を5枚食べるとゲームがスタートし、アタリが出るとオリジナルグッズ入りカプセルがもらえるというものです。5枚という設定がミソで、「あともう1枚食べてカプセルをもらおう」という消費者のインセンティブを刺激します。

ナイキのNIKE+

ナイキのNIKE+はゲーミフィケーションの代表例とも呼べるものです。健康管理をゲーミフィケーションに応用しており、記録を達成するとNIKE+からフィードバックを受けられますが、これがゲーミフィケーションで言うところのバッジになります。

ドクターシーラボの肌ポリー

ドクターシーラボの肌ポリーはすごろくゲームを応用し、ドクターシーラボの通販サイトに誘導するゲーミフィケーションの事例です。1日2回、無料でサイコロを振ると、出た目によっては通販サイトで使えるポイントがもらえます。

ゲーミフィケーションを良く知るための書籍を紹介

ゲーミフィケーションを良く知るための書籍を紹介

ゲーミフィケーションを良く知るための書籍を3冊、紹介します。

幸せな未来は「ゲーム」が創る

著者はゲームデザイナーであるジェイン・マクゴニガル。ゲームを使って現実の課題解決に活かすための仕組みが紹介されています。また、代替現実ゲームについても述べられています。

スーパーベターになろう!

『幸せな未来は「ゲーム」が創る』と同じジェイン・マクゴニガルによる本。ゲームを使って人間のポジティブ感情を探っています。著者本人が病気に罹った時の事例から、ゲーミフィケーションを活かした内容が盛り込まれています。

GAMIFY ゲーミファイ・エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来

『GAMIFY』はガートナー社のブライアン・バークによるゲーミフィケーションに関する解説書です。ゲーミフィケーションの最終目的は動機づけと看破していて、読者をゲーミフィケーションの世界へと誘います。ゲーミフィケーションの失敗例と成功例が書かれており、客観的な視点でゲーミフィケーションを捉えたガイドブックとなっています。

まとめ

ゲーミフィケーションのまとめ

ゲームは楽しく、面白く、いつまでもやり続けることができます。ゲーミフィケーションとは、ゲームに没頭できる楽しさをゲーム以外の領域に活かし、内発的動機づけに基づくモチベーション向上を目的とすることです。働き方、仕事に対する向き合い方、マーケティングまで、ゲーミフィケーションは様々な領域で活用されています。

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