アビリティの意味とは?使い方・エンプロイアビリティについても解説

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職場で耳にするアビリティという言葉。アビリティは能力と訳され、ビジネスでは「アビリティを伸ばす必要がある」「専門技術のアビリティに長けた人を採用したい」等のように使われます。アビリティにはスキルというよく似た言葉がありますので、スキルとアビリティの違い、そしてエンプロイアビリティについても解説します。

アビリティの意味とは?

アビリティは英語でいうとabilityとなります。abilityはable(できる)から派生した言葉なので、できることという意味があります。できることから転じて、能力という意味として使われます。

ビジネスにおけるアビリティ

ビジネスにおけるアビリティは、職務を遂行する上での総合的な能力と考えられます。

例えば人事労務職なら給与計算・社会保険等の実務ができる能力をアビリティといいます。給与計算・社会保険の仕事は労働者の給与に直結するため、正確に遂行しなくてはなりません。また、全国に事業所がある会社では各所と連携するコミュニケーションも求められます。正確に給与計算するための性格であることも重要となります。このようにアビリティは、職務を遂行する上での総合的な能力をいうのです。

アビリティとスキルの違い

アビリティと似た言葉にスキルがあります。スキルも日本語では能力という意味がありますが、ビジネスではアビリティと明確に区別されます。

ビジネスにおけるアビリティが職務を遂行する上での総合的な能力であるのに対し、スキルはトレーニングによって習得できる高度な技能ということができます。つまりアビリティは広い概念ですが、スキルはもう少し狭い概念なのです。

例えば、ビジネスでスキルを表す時に、問題解決スキルという熟語で表されることがありますね。人事という職務を遂行するための総合的な能力がアビリティだとすれば、問題解決スキルは問題解決にフォーカスしたスキルということになります。人事として問題解決する時にスキルを使うこともあれば、人事マネジャーとして使う問題解決スキルということもあります。

スキルは熟練した能力

スキルはトレーニングによって習得できる高度な技能なので、鍛えることができます。問題解決は論理的思考を用いて問題の原因を究明し、解決策を導いていくスキルです。

問題解決を上司に任せていた人が自分の責任で問題解決することになったとします。問題解決の当事者としての意識が芽生え、問題解決を自分の責任で行うことがいかに難しいかを痛感します。失敗を繰り返しながら問題解決を実践することで、問題解決スキルが鍛えられていきます。

アビリティの使い方の例文

ビジネスにおけるアビリティの使い方の例文を紹介します。

・営業のアビリティには、話術やプレゼン力だけでなく、意欲や朗らかさ等の性格も必要とされる。
・新規事業を開設するにあたり、技術開発のアビリティに長けた人材を登用したい。

例文では、職務を遂行する上での総合的な能力=アビリティという意味で使っています。

人材マネジメントにおけるエンプロイアビリティの概念

人材マネジメントにおいては広くアビリティというだけでなく、労働者が雇用される能力、あるいは雇用され続ける能力としてのエンプロイアビリティの考えがあります。経営学者の山本寛氏は、エンプロイアビリティには絶対的なエンプロイアビリティと相対的エンプロイアビリティの2つがあるといいます。絶対的なエンプロイアビリティはどこの企業でも通用する汎用性の高い能力です。

一方、相対的エンプロイアビリティは、労働市場の需要と供給のバランスによって変動し、業務を遂行するために相対的に優先度が変化する能力をいいます。マクロ環境に変化が起き続ける中で、自身の仕事・専門分野の将来性やニーズが高まる職業や仕事への知識を持ち、雇用されるための知識・経験への知識を持つことです。

エンプロイアビリティが生まれた背景

エンプロイアビリティは1980年代のアメリカで生まれた概念です。長期雇用が保証されなくなった代わりに、他社でも通用するエンプロイアビリティを開発する場を企業が提供する意味で使われるようになりました。

企業にとってのエンプロイアビリティ

2019年5月13日、日本自動車工業会の会長会見においてトヨタ自動車の豊田章男社長は「終身雇用を守るのが難しい」と発言しました。終身雇用は定年まで社員の雇用を維持する人事制度です。日本の労働者は労働法によって解雇が制限されており、簡単に解雇することはできません。「仕事ができない」「成果が低い」程度の理由では解雇できないのです。終身雇用は労働法に合致した制度ということができるでしょう。

しかし、AIの進展やSNSの発達による消費者の嗜好の変化、新型コロナウイルスのような感染症対策等、企業のマクロ環境が変化し、対応に変化することの難しさが増す中で、事業スピードは迅速化し、複雑な問題に確実に対処しなくてはなりません。企業は、今後、当たり前のように終身雇用を維持していくことは難しくなるでしょう。企業には、労働者の雇用され続ける能力としてのエンプロイアビリティを開発することが求められるのです。

企業が労働者のエンプロイアビリティを開発すれば、雇用の流動性を促すことが期待できます。仮に労働者が転職することになっても、他社で使える能力としてのエンプロイアビリティが高まっていれば、人材が自社では活用できない場合でも転職しやすくなる訳です。

労働者にとってのエンプロイアビリティ

労働者にとってのエンプロイアビリティを考えるには、2つのエンプロイアビリティを考える必要があります。

・内的エンプロイアビリティ
・外的エンプロイアビリティ

内的エンプロイアビリティは、現職で評価されることで企業に雇用され続ける能力をいいます。内的エンプロイアビリティを高めておけば昇進や昇格に有利になりますし、希望退職を行う際にも対象とはなりにくいでしょう。内的エンプロイアビリティを高めるには、業務に精通し階層に応じた能力を身に付けることです。

外的エンプロイアビリティは、転職する時に現職と同等以上の処遇で転職できる能力をいいます。外的エンプロイアビリティを高めるには、自分の専門領域において処遇の高い企業が求める知識・経験・スキルの情報を収集することが必要です。

企業がエンプロイアビリティを見定める時の基準

企業が労働者にエンプロイアビリティがあるかどうかを見定めるために、基準を設定する必要があります。エンプロイアビリティを設定する時の基準は、業務遂行能力・人間関係力・性格適性の3つです。

業務遂行能力

エンプロイアビリティの業務遂行能力は思考的な能力です。計画性・問題解決力・意思決定力・論理的思考力・業務への知識等が業務遂行能力の要素として必要です。業務遂行力は、相対的エンプロイアビリティのニーズが高まる中で必要性が高まります。自分の職務の将来性へのアンテナを張っておき情報収集に努めることも、業務遂行力の1つです。

人間関係力

エンプロイアビリティの人間関係力は対人関係を円滑に整え、他者を動機付けたり、他者や集団と合意形成したりする能力をいいます。職場で他者と仕事をしていく中で、人間関係力は時代の変化や役職の有無にかかわらず必要です。人間関係力の要素として、リーダーシップ、コミュニケーション等があります。

性格適性

エンプロイアビリティの性格適性には、職務を遂行するための意欲や自信等が挙げられます。性格適性は個人に備わっているものです。

まとめ

アビリティは「できること」を意味する言葉で、ビジネスでは職務を遂行する上での総合的な能力という意味で使われます。アビリティとスキルとの違いは、スキルはトレーニングによって習得できる高度な技能という違いがありました。アビリティに関連するビジネスの言葉としては、エンプロイアビリティというものがあり、労働者が雇用される能力・雇用され続ける能力という意味があります。