インテグリティーとは?意味・定義・企業の取り組み事例・トレーニングを解説

今や、企業は自社のサービスや商品を提供するだけでなく、社会的な責任を負うことが当たり前になりました。そういった時に覚えておきたい言葉が「インテグリティー」です。言葉自体は聞いたことがあるけど、どういったものなのかはわからない、という人も意外と多いのではないでしょうか。
今回は、このインテグリティーについて意味から企業においてなぜ必要なのか、といった点について解説します。

目次

インテグリティーとは

インテグリティーとは
まずは、今回のテーマでもあるインテグリティーがどういったものなのか確認していきましょう。

インテグリティーの意味

インテグリティーは、「誠実」「真摯」「高潔」といった意味を持つ言葉で、主に欧米の企業で使われる言葉です。インテグリティーのある企業とは、誠実で真摯な態度を持っている、ということになります。

インテグリティーを定義した人物

インテグリティーを定義したのは、アメリカの経営者ウォーレン・バフェットだとされています。また、バフェットの提唱した概念を経営学者のドラッカーが自身の著書の中などで使うことで普及させたと言われています。

バフェットは、インテグリティーは企業において大切なもので、特に人材を採用する際に欠かすことのできないものだと説明しています。

インテグリティとコンプライアンス

企業のコンプライアンスに対して厳しい目が向けられている昨今、企業が法律や規範、社会的責任に対して誠実で真摯な態度を持って対応し、コンプライアンスを遵守することはインテグリティマネジメントと呼ばれています。

かつての日本企業においては、成果主義が進行し、成果を残すために不祥事や不正を行うケースもありました。そういった不祥事が明るみになった時、その場しのぎの対応をしてしまったばっかりに社会的な信用を失った企業も少なくありません。

こういった過去の状況を踏まえて、現在ではコンプライアンスを遵守するためにインテグリティーが重視されているのです。

インテグリティはなぜ重要なのか

インテグリティーが欠けている、つまり不誠実な企業というのは、見えないところで不正を行ったり、目先の利益だけを追いかけたりする可能性があります。そのため、取引先や消費者、ユーザーが受ける印象は悪くなるでしょう。
また、会社の上司や経営者に誠実さや真摯さが欠けている場合も同様です。誠実さがないと部下や社員のモチベーションも下がり、結果的にその企業は腐敗してしまうかもしれません。
このように、インテグリティーを備えているということは、社内外における関係や信頼構築を考えたときに非常に重要になるのです。

インテグリティを持つ人の特徴

では、インテグリティさを持っている人とはどのような人なのでしょうか。一概に「◯◯の人はインテグリティーだ」と断言することはできませんが、共通している特徴があります。

例えば、正義感のある人は、インテグリティーがあると言えます。不正を働くといったことはせず、何が正しいことなのかを常に考え、公正に物事を判断しようとします。

また、自分のことではなく、周囲の人のことを優先して考えることができる人もインテグリティーを備えている人に見られる特徴です。例えばインテグリティーを備えた経営者の場合、自身の利益を追い求めるよりも、組織の利益を追求します。しかし備えていない経営者だと、会社よりも自身の利益を優先し、結果的に会社の経営が悪くなる可能性があります。
自分の持っている力を自分自身のためでなく、他の人、組織のために還元しようとするのです。そして、立場に関係なく常に相手のことを尊重した上で仕事に取り組むことができます。

さらに、高い倫理観を持っているのも特徴の1つだと言えます。法律に違反することはもちろん、少しでも倫理的に認められないようなことに対しては、徹底的に反対し、常にクリーンな状態を保つのです。

データインテグリティーとは

データインテグリティーとは
インテグリティーの中には「データインテグリティー」と呼ばれるものもあります。
これは、主に情報処理の分野で使われる言葉で、データに欠損や間違いがないことを保証する際に使われます。つまり、データの完全性を確保した誠実な状態であるというわけです。

かつては、医薬品業界で主に使われていましたが、様々なデータをデジタルで扱う現在では、どの企業の誰がデータを改ざんするかわからない状況です。そういった背景もあり、幅広い業界でデータインテグリティーの重要性が浸透してします。

データインテグリティーを導入するメリット

データインテグリティーを導入することによって、データの削除や改ざん、捏造ができなくなるため、データの安全を守ることができます。また、データ偽装や不正による企業の評価低下も防ぐことができるでしょう。

データの改ざんや不正をする背景には、必要なデータがない、納期に間に合いそうにないといった事情があると考えられますが、データインテグリティーを導入することで、データの改ざんができないため、仕事のやり方を見直す機会にもなることが期待されます。

データインテグリティーに対応するための課題

データインテグリティーに対応するためにはまず、データに対する従業員の考え方を教育することが大切です。従業員が「データを改ざんしてもいいや」と考えている企業では、データインテグリティーを導入することはできないでしょう。

また、データインテグリティーに対応するにはいたるところに存在するデータを集約して一元管理をしなければいけません。そのため、データ集約と一元管理ができるシステムの構築も必要です。

データインテグリティーに対応する方法

データインテグリティーに関しては、企業がソリューションを提供しているため、それを利用することで対応可能です。
企業によってサービス内容は異なりますが、データ様式にとらわれない一元管理ができたり、データアクセスの記録が残せたりするものもあります。

インテグリティーにまつわる企業の取り組み

インテグリティーにまつわる企業の取り組み
企業によっては、インテグリティーに関する取り組みを公表しているケースもあります。そこで、続いては企業のインテグリティーに対する取り組みを紹介します。

花王の場合

花王では、「花王ビジネス混濁とガイドライン」によって、社員に対してコンプライアンスに関する教育を継続して行なっています。また、コンプライアンス違反に対する通報や相談があった際にも適切な対応をとることで、社員の中に法律や倫理を遵守しながら日々の活動に取り組む意識を定着させています。

GEの場合

GEでは全ての企業活動の根底にインテグリティーがあり、社員の行動指針にもなっています。また、インテグリティーを備えたリーダーを育成することで、その部下にもインテグリティーの共有、つまり企業価値の共有を目指しています。
そして、インテグリティー違反を犯した社員に対しては会社から厳しい処罰が下され、その上司であるリーダーにも責任が問われることになります。
このように、インテグリティーを全ての活動、思考のベースにしているのがGEの特徴です。

ジョンソンエンドジョンソンの場合

ジョンソンエンドジョンソンでは、「企業が雇用、建設、販売、購入などを行う場合、その行為は常に人々のためであると同時に企業自身のためでもあり、その行為に対して完全な責任を負う用意がなければならない」という企業哲学があります。

これは、かつて30年以上にわたって会長を務めたロバート・ウッド・ジョンソンJr.という人物が強調していたことです。

この言葉にあるように、ジョンソンエンドジョンソンでは、企業に関わる全ての人に対して責任があるという考えのもと、日々の業務に取り組んでいることがわかります。
この考えはインテグリティーそのものであると言えるでしょう。

Integrity Award「誠実な企業」賞 を受賞した企業

企業がインテグリティーに対応することは重要なことですが、この企業のインテグリティーさを表彰する「誠実な企業」賞と呼ばれる賞があります。
これは、企業の社会的責任や企業倫理、コンプライアンスなどにおいて優れた取り組みを行なっている企業が表彰されるもので、2002年に創設され、2015年まで様々な企業が表彰されています。以下は一例です。

・伊藤忠商事株式会社
・株式会社滋賀銀行
・東レ株式会社
・式会社野村総合研究所
・アンリツ株式会社
・前田建設工業株式会社
など

インテグリティーが学べる研修

インテグリティーが学べる研修
誠実であること、つまりインテグリティーを備えることは簡単なようで意外と難しいものです。そのため、ビジネスパーソン向けにインテグリティーを学べる研修を展開している企業もあります。
続いては、インテグリティーが学べる研修がどういったものなのか3つの研修を取り上げて紹介します。

株式会社BEYONDのマネジメント研修「インテグリティ」

株式会社BEYONDの「インテグリティ」は、マネージャーとしてどうあるべきか、ということを徹底して議論し、考えていきます。また、クレームへの対応、顧客への応対、ミーティングなどビジネスにおいて発生する場面を取り上げて、ロールプレイングするなどしてマネージャーとしてのあるべき姿を追求していきます。
自分自身と向き合うことになるため、時には嫌な部分と直面するかもしれませんが、内省に次ぐ内省をすることによってインテグリティーを備えたマネージャーになることができるのです。

3Rock インテグリティ・プログラム

インテグリティ・プログラムでは、営業職の人が成績アップを目指してスキルの学習はもちろん、学んだ内容の実践を行うフォローアップも行われます。継続したフォローを約8週間続けることで、学びを実践する力へと昇華していくのです。
このインテグリティ・プログラムは、アメリカのIntegrity Solutionsというところで研究、開発されています。

まとめ

インテグリティのまとめ
この記事では、インテグリティーに関して、その概要からインテグリティーを備えている人の特徴、さらにはデータインテグリティとはなんなのかといった点などについて解説しました。インテグリティーは誰もが備えているようで、意外と持っていないものです。一方で企業活動に大きく影響することもあるものなので、必要に応じて研修を受けるなどしましょう。

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