ワーキングプアとは?実態・増加した原因・高学歴ワーキングプア・対策を解説

ワーキングプアの記事
働いているのに生活が苦しい貧困層のことをワーキングプアと言います。ワーキングプアは、フルタイムで働いているのに貧困層に陥っているため社会問題となっています。記事では、ワーキングプアの実態・増加した原因・対策、そして高学歴ワーキングプアについて説明します。
目次

ワーキングプアとは?

ワーキングプアとは、「働く貧困層」を意味する用語です。

ワーキングプアの意味と年収の基準

ワーキングプアは、フルタイムで働き、あるいは正社員として働いているにもかかわらず、少ない年収しか稼げず貧困に陥っている層を指します。ワーキングプアの年収の基準は200万円以下と考えられます。賞与込みで月にならした賃金は、166千円程度です。

生活保護水準の低い収入しか得られない

ワーキングプアの年収の基準を200万円以下としているのは、生活保護水準に合わせて考えているためです。生活保護の年収水準は200万円ですから、ワーキングプアはフルタイムもしくは正社員として働いているのに、生活保護並みの年収しか稼げないことが問題となっている訳です。

ワーキングプアの実態

ワーキングプアの実態を見ていきます。まずは非正規雇用の割合から見ていきましょう。

非正規雇用の割合

非正規雇用の割合は、年々増加の一途を辿っています。厚生労働省の「正規雇用と非正規雇用労働者の推移」によれば、 1994年から緩やかに増加し、2018年では雇用者全体の37.9%が非正規雇用の割合となっています。働く貧困層であるワーキングプアの実態を見る上で、非正規雇用の増加は考慮すべき事象だと言えます。

ワーキングプアの人数

国税庁の民間給与実態統計調査によると、ワーキングプアの年収基準である200万円以下の人は、男性で給与所得者の10%程度を推移しています。女性では40%弱の人が年収200万円以下です。女性の場合、夫の扶養範囲内で働いている人がいるため一概には言えませんが、年収200万円以下で働く人の割合が一定数以上おり、男性は10人に1人、女性は2.5人に1人がワーキングプアになり得る年収水準にあることは理解して頂けるでしょう。

ワーキングプアが増加した原因

ワーキングプアはなぜ増加したのでしょうか?その原因を4つのポイントに沿って探ってみます。

非正規社員が増えたため

非正規社員が増えたことは、ワーキングプアが増加した原因と言えます。国税庁の民間給与実態統計調査によると、正規社員の平均年収は504万円であるのに対し、非正規社員の平均年収は179万円です。正規社員の年収の半分にも満たないのが非正規社員の年収の実態なのですね。ワーキングプアの年収水準は200万円以下ですから、非正規社員が増加したことはワーキングプアが増加した原因と考えられます。

企業が人件費を抑制したため

企業が人件費を抑制したことは、ワーキングプアが増加した原因と言えます。2003年の所定内給与額は302,100円でしたが、15年後の2018年の所定内給与額は306,200円と、わずか4,000円しか増えていません(賃金構造基本統計調査)。企業が人件費を抑制したことで低い年収でしか働けないワーキングプアが生まれる一因となります。

就活時期が就職氷河期にあたったため

新卒の就活時期が就職氷河期にあたったことも、ワーキングプアが増加した原因と考えられます。就職氷河期はバブル崩壊後の1990年代後半~2000年代前半頃に新卒社員として社会に出た層を指します。就職氷河期世代は、年収の低い企業にしか就職できなかったり、非正規社員としてしか就職できなかったりしました。就職氷河期世代は、新卒として社会に出た後も経済的に恵まれた企業に就職できず、大きな社会問題となっています。

デフレーションが改善されないため

バブル崩壊後の長引く不況を経て、景気が回復した現在でも尚、日本経済はデフレーションが続いています。デフレが改善されないと、企業は低い物価を人件費の抑制に転嫁せざるを得なくなります。

高学歴ワーキングプアになる理由

大学院や国立大学等の高学歴の人でも、ワーキングプアになる場合があります。なぜ高学歴でもワーキングプアになってしまうのか、その理由を解説します。

高学歴でも就職活動に失敗したため

国立大学や有名私大卒、大学院修了者であっても、ワーキングプアに陥る可能性があります。日本は新卒一括採用を導入していますので、高学歴でも就職活動に失敗すると高学歴ワーキングプアに陥ってしまうのです。高学歴の人が就職活動に失敗して非正規社員として就職すると、非正規社員から抜け出せないことがあります。そうなると、高学歴でも年収200万円以下のワーキングプアに陥ります。

博士号を持っていても研究者になれなかったため

博士号を持っていても就職できないことがあります。研究者の枠は限られており、企業の研究所や大学の研究機関で研究者として就職できないと、年収200万円以下のワーキングプアに陥る可能性があるのです。もちろん、博士号取得者が研究所や大学以外に就職することもできます。ただ、博士号を取得するには大学院に最低5年間在籍する必要がありますよね。

大卒の年齢が22歳とすると、博士号を取得した時には既に27歳。新卒として雇うには年を取っているので、企業も社会人経験のない博士号取得者を雇いたがらないのです。博士号を持った高学歴者なのに、どこにも就職することができずに、ワーキングプアに陥ってしまうのには、こういった背景があります。

ワーキングプアに陥りやすい業界・職種

ワーキングプアに陥りやすい業界・職種があります。

介護、保育

介護や保育業界は年収が低く、正規社員であっても年収が低い場合があります。特に介護、保育業界で非正規社員となると、ワーキングプアに陥りやすくなります。介護や保育業界は社会的に必要とされる業界でありながら、年収200万円以下のワーキングプアに陥りやすい業界なのです。

行政や大学の非正規職員

行政や大学の非正規職員はワーキングプアに陥りやすい職種です。行政や大学は、正規職員なら生活に困らない年収をもらえるのに、非正規職員となると年収が低く抑えられがちとなります。結果的に年収200万円以下のワーキングプアに陥りやすくなるのです。

相談員

相談員とは消費者問題・労働問題等について、人から相談されてアドバイスを行う職業のことです。相談員は非正規職員が多いため、ワーキングプアに陥りやすい職種と言えます。

自分でできるワーキングプア対策

年収200万円以下のワーキングプアに陥った時、どんな対策を講じたら良いでしょうか?具体的に3つのポイントで説明します。

ネットでできる副業を始める

ワーキングプアは年収が200万円以下と低いことが問題です。副業で低い年収を補いましょう。副業にも様々な方法がありますが、2つの職場で働くと肉体的に疲労しますので、インターネットでできる副業がおすすめです。ネットによる副業なら、パソコンやスマートフォン1台でできますので、隙間時間を活用する等、やり方次第で年収を補うことができるでしょう。

自分の強みを活かした転職活動を行う

ワーキングプアである現状を脱却するには、転職活動が効果的。ただしどんな職場でも良いのではなく、自分の強みを活かした転職活動を行うようにしたいところです。自分が経験してきた業務の中から何が強みなのかを見極め、自己分析を行い、転職活動に活かすのです。たとえ非正規社員だったとしても業務の中から強みを見つけることはできるはずです。

ワーキングプアになりやすい業界には転職しない

転職活動の際にはワーキングプアになりやすい業界には転職しないことも検討します。たとえ正社員として転職しても、年収が下がりがちの業界ではワーキングプアから抜け出すことができないからです。

まとめ

ワーキングプアは年収200万円以下で働く貧困層のことを指す言葉です。フルタイムや正社員で働いているのに苦しい生活に身を置いている労働者がワーキングプアです。年収200万円以下とは、生活保護水準ですからいかに貧困の度合いが大きいか分かります。ワーキングプアに陥らないために、あるいは陥ってしまった場合にどう対処して良いかが鍵となります。

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