企業内保育所とは?
企業内保育所とは、企業内に用意された保育所のことです。社員の福利厚生のために設置されています。企業内保育所が求められる背景や現状を説明します。
企業内保育所が求められる背景
労働力人口が減少傾向を続ける中、企業にとって女性は貴重な戦力となっています。一方で待機児童問題があり、2012年~2017年の間、待機児童数は2万人台を推移していました。子どもを保育園に入れることができなければ、女性は安心して働くことができず、企業は戦力を失うことになりかねません。待機児童問題を解消するため、政府は2016年に企業主導型保育事業を開始し、企業向けの助成制度を始めました。
企業主導型保育事業の中には企業内保育所支援があり、施設の運営費・整備費の女性が行われます。待機児童問題を解消したい企業・政府双方のニーズから、企業内保育所が求められるようになっているのです。ちなみに2019年4月1日時点の待機児童数は1万6,772人で過去最少となっています。
企業内保育所の現状
2016年に企業主導型保育事業もあり、企業内保育所の数は増加傾向にあります。2016年に4,561か所だった数が翌年2017年には4,766か所まで増えました。
企業内保育所の種類
企業内保育所は、以下の3種類に分かれます。それぞれ説明します。
・企業主導型保育所
・認可外保育所
認可保育所
認可保育所とは、施設の広さや保育士などの職員数等、国が定めた基準を満たし、各自治体に認可された保育所のことです。自治体に認可されるには厳しいハードルをクリアする必要があります。一方で、認可保育所になると助成金も出ます。
企業主導型保育所
企業主導型保育所は内閣府主導で行われる保育所です。企業内保育所はこれに該当します。複数の企業が共同で保育所を運営したり、保育所の開所時間を柔軟に設定することも可能です。企業主導型保育所には助成金は出ません。
認可外保育所
認可外保育所は、自治体の認可を受ける認可保育所の基準を満たす必要がありません。そのため運営の自由度が高くなります。認可外保育所には助成金は出ません。
会社が企業内保育所を設置するメリット
会社が企業内保育所を設置するメリットを4点、紹介します。
社員のエンゲージメントが高まる
勤務先に企業内保育所が設置されれば、子どもの様子を容易に見に行けますし、自社が用意した企業内保育所なので社員は安心感を持ちます。女性社員にとっては、企業内保育所を用意してくれる自社は女性社員を大切にしてくれる会社だと思うため、企業は社員のエンゲージメントを向上させることができます。
エンゲージメントは、社員が会社に対して愛着や帰属意識を持つことで、社員と企業が一体となり相互に影響を与えあう関係を言います。つまり企業は、社員にエンゲージメントを向上させることで、企業のために貢献したいと思ってくれるようになります。企業内保育所がることで社員のエンゲージメント向上に繋げられるのです。
社員の定着率が高まる
企業内保育所が設置されることで、社員の定着率を高めることができます。企業内保育所を設置することで、社員のエンゲージメントが向上しますから定着率も向上させることができます。
その他、待機児童問題も定着率に関わります。待機児童数が減少傾向にあるとはいえ、2019年4月1日時点でも待機児童数は1万6,772人います。子どもを保育園に入園させることに苦労している社員にとって、企業内保育所が設置されていることは保育園探しの負担を軽減することに繋がり、社員の定着率を高めることができます。
優秀な人材を採用しやすくなる
企業内保育所を設置していれば、保育園に子どもを入園させられないため働けない優秀な人材を採用しやすくなります。育児と仕事の両立を考えている優秀な人材は、企業に対し「働く女性にとってサポートしてくれるか」を見ています。企業内保育所があれば、そういう人材に働きたいと思ってもらえることでしょう。
社員のワークライフバランスを維持できる
企業内保育所を設置することで、育児と仕事の両立をしたい女性社員のワークライフバランスを維持できます。企業は、企業内保育所により社員のワークライフバランス維持に貢献することで、社員の社員満足度強化や定着率の向上に繋げることができるでしょう。
社員が企業内保育所を利用するメリット
次に、社員が企業内保育所を利用するメリットを紹介します。
職場から企業内保育所が近い
社員にとっては職場から企業内保育所が近いことがメリットです。企業内保育所は企業内に設置されているので、職場から子どもの様子を見に行くことも可能です。通常の保育園は自宅近くにあるので、子どもの体調が悪くても直ぐに駆け付けられません。しかし、企業内保育所なら直ぐに引き取ることができます。
利用者が同僚なので安心感がある
企業内保育所は利用者が同僚であることも安心感があって、社員にはメリットです。同僚ならお互いのことも分かっているため、気を使わずに接することができるでしょう。
会社が企業内保育所を設置するデメリット
会社が企業内保育所を設置するデメリットを紹介します。
運営費用がかかる
企業内保育所は運営費用がかかります。企業内保育所がビジネスになっている訳ではありませんから、企業の業績次第でサービスが縮小したり閉鎖されたりすることもあります。企業内保育所は福利厚生なので、経営が悪化すれば業績の足かせになり得ます。
社員が企業内保育所を利用するデメリット
今度は社員が企業内保育所を利用するデメリットを説明します。
通勤時に子どもを職場まで連れていかなくてはならない
自宅近くの保育園なら子どもを預けた後で通勤すれば良いですが、企業内保育所は通勤時に子どもを職場まで連れていかなくてはいけません。電車やバスに子どもを連れて行くことで感染症に罹るリスクもありますし、子どもが車内で騒いだ時に周りの目が気になります。通勤ラッシュの時に子どもを職場に連れて行くことは、社員にストレスを感じさせてしまうのです。
イベントが少ない
企業内保育所は通常の保育園に比べてイベントが少ないようです。敷地面積が限られている場合があるので、大々的なイベントを行うことが難しい面があります。
企業内保育所を利用する時の費用
企業内保育所を利用する時の社員の費用負担はどのくらいでしょうか?平均的に3万円程度が相場です。企業内保育所は社員の福利厚生の一環として設置されているため、通常の保育園よりも利用料は安めに設定されています。また、内閣府から助成金が出されているため利用料を安く設定できるという事情もあります。
まとめ
企業内保育所は企業内に用意された保育所のことで、社員の福利厚生のために設置されています。働きながら仕事と育児の両立をしたいと思っている社員にとって、企業内保育所があることで安心して働くことができます。仕事を探している求職者にとっても、企業内保育所があることは入社意欲を高めてくれます。