自己研鑽とは?
学校と違い、社会人になると自分の力で成長していかなくてはなりません。会社も研修やeラーニング、あるいは仕事に関係する書籍購入費用の補助などを通じて、社員の成長を促進してくれます。しかし、企業を取り巻く環境が厳しくなり、また、終身雇用制が崩壊しつつある中で社員は自立的に成長を遂げる必要があり、自己研鑽の必要性は増していきます。
自己研鑽の意味・読み方
自己研鑽の自己は自分自身、そして研鑽は学問などを究めることという意味です。したがって、自己研鑽は自分自身を鍛えることという意味で使われます。読み方は「じこけんさん」。ビジネスでは、キャリアアップや成果達成のために自分自身を鍛えるという意味で自己研鑽が使われます。
キャリアアップや成果達成は、いきなり成果が出てくるものではありません。こつこつと時間をかけて業務遂行や研究を重ねていくことで、徐々に成果が表れてくるものです。自己研鑽に励むには根気が要るため、誰でもできることではありません。その代わり、継続すれば他者と自分を差別化することもできるでしょう。
自己研鑽と自己啓発との違い
自己研鑽と類似の言葉に自己啓発があります。両者の意味の違い、ビジネスでの使われ方を確認していきましょう。
自己啓発とは?
自己啓発とは、自分の意思で能力・技術の向上、精神的成長を目指すことを意味します。精神的成長という言葉が入っているところが自己研鑽との大きな違いです。仕事の上での能力向上やスキルアップ、成果達成といったことにも精神的成長は関係します。
ただ、自己啓発の場合は人生における精神的成長という意味で、幅広く使うことができます。仕事だけでなく、自分探しのために旅をしたり芸術を鑑賞したりすることで精神的成長を図るという意味でも、自己啓発が使えます。
ビジネスで使える自己研鑽と自己啓発
ビジネスにおける自己研鑽と自己啓発の違いを確認してみましょう。自己研鑽では、「ITエンジニアとしてのレベルを上げるために、自己研鑽を怠らない」のように使います。あくまでも、自己研鑽はキャリアアップや成果達成を目的として、自分自身を鍛える時に使えます。
一方、自己啓発は「自己啓発として経理の資格取得に余念がない」のように使える他、「自己啓発のために毎週、テニスに打ち込んでいる」とも使えます。前者は自己研鑽に置き換えることも可能です。後者は自己啓発ならではの使い方で、テニスを通じて精神的成長を遂げ、仕事に限らず人生の上での成長に結びつけるのです。
自己研鑽の使い方
ビジネスのどんなシーンで自己研鑽が使えるでしょうか。具体的に使い方を確認していきます。
自分を成長させる時に使える
自己研鑽はスキルアップ、成果達成を目的として自身を鍛える時に使う言葉です。資格取得、ビジネス書や専門書の読書、難易度の高い仕事への取り組みなどを通じて、自己研鑽に励むという使い方ができます。
または、1つの仕事をこつこつと極めていく時にも使えます。経理の仕事を極めるためにスクールに通って税法の勉強をしたり、決算業務に携わったりして自己研鑽に励むというように使います。
就職活動で使える
自己研鑽という言葉は就職活動でも使えます。履歴書や職務経歴書にある自己研鑽欄において、学生時代や前職で自身を鍛えたエピソードを書くと採用担当の目に留まりやすくなります。履歴書や職務経歴書に書いたことは面接でも尋ねられますから、自己研鑽のエピソードを用意します。
会社に頼るのではなく、自分の力で自己研鑽に励んでいける人は会社にとって必要な人材です。入社してからも自己研鑽に励んでくれると思われれば、内定も近付いてくるでしょう。
自己研鑽の例文
自己研鑽には「励む」「図る」などの述語を使います。自己研鑽の例文を見ていきましょう。
・金融のスペシャリストになるために自己研鑽に励んだ
・自己研鑽を怠らなかったから、彼女は同期の中で早く出世したんだ
・A社長は今も自己研鑽を欠かさない
自己研鑽に励むためのポイント
自己研鑽の意味や使い方、例文を見てきました。自己研鑽に励むにはどうしたら良いのか、4つのポイントを押さえていきます。
強い目的意識を持つ
スキルや仕事を遂行する力、成果達成などは日々の自己研鑽を通じて獲得できるものです。例えば海外赴任をするため、英語を習得したいとします。語学はすぐに習得できるものではありませんから、強い目的意識を持っていないと途中で挫折してしまいます。
「1か月までに単語をいくつ覚える」「半年で英字新聞を読めるようになる」といった目標を掲げ、毎日、欠かさずに英語学習の自己研鑽を重ねることによって語学を習得できるようになります。ですから、自己研鑽に励むには強い目的意識を持ち、挫折しないように努力を重ねることが大切です。
自分の弱点を見極める
自己研鑽に励むには、自分の弱点を見極めることがポイントとなります。自己研鑽は自分自身を鍛えることですから、自分の弱点を知り、弱点を改善していくことで自身を鍛えられるからです。例を挙げて説明しましょう。例えば、経理のスペシャリストになりたい人が自身を振り返った時、税法が弱点だとします。
最初は、苦手な税法を見るのも嫌かもしれません。しかし、弱点を克服するために税法を学習していくことで、徐々に弱点が改善されます。税法を理解している経理担当は多くありませんから社内で重宝され、弱点が強みにも変わっていきます。弱点を見極め、弱点に向き合って弱点を克服していくことで、自己研鑽を重ね、経理のスペシャリストへと成長することができるでしょう。
小さな成功体験を積む
自己研鑽に励むには継続性が求められます。小さな成功体験を積んでいくことで物事を継続することができます。小さな成功体験を積めば、自分は行動を実行できるという自信を持て、自己効力感が高まっていきます。自己効力感が高まれば、目の前に立ちはだかる壁を乗り越えることができるので、自身が磨かれ自己研鑽に繋がっていきます。
他者から学ぶ
自己研鑽に励むポイントの最後は他者から学ぶというものです。自己研鑽にまつわる他者の成功体験、失敗談などを聞くことで自己研鑽に励むための道筋ができてきます。
自己研鑽に励む方法
自己研鑽に励むためにどういう方法を取ったら良いのか、具体例を3つ紹介します。
ビジネススクールに通う
ビジネスの実践で役立つ経営学を学習できるのがビジネススクールです。ビジネススクールに通うと、経営学者だけでなく、ビジネスの最前線で活躍してきた実業家から実践的な教育を受けることができ、また、MBA(経営学修士)の学位を取得できます。学位を取得できなくても、日経ビジネススクールのように世界に通用する人材育成を目指す場を提供しているスクールもあります。
ビジネススクールは、会社を辞めずに通えるスクールが多いです。ですから、会社帰りや休日に通って、ディスカッションやレポート作成に挑戦することで、自己研鑽に励むことができるのです。
資格取得に励む
仕事に直結する資格を取得することも自己研鑽に励む方法の1つです。経理なら日商簿記検定、人事なら社会保険労務士、IT系職種ならネットワークスペシャリストなどがあります。資格取得の勉強をすると体系的な学習ができますので、キャリアアップや成果達成に繋がりやすいです。資格を取得して終わりではなく、次に説明する仕事に関係する書籍を読み込んでいくと、さらに自己研鑽に励めるようになります。
仕事に関係する書籍を読む
スクールに通ったり、資格を取得したりしなくても、仕事に関係する書籍を読み続けることで自己研鑽に励めます。1冊や2冊の読書で終わるのではなく、知識を深め、仕事の理解に繋がるまで読み込んでいくことが自己研鑽に繋がります。
まとめ
自己研鑽は、キャリアアップし、成果達成をしていくために行うものです。経済が右肩上がりに上がる時代は過ぎ去り、大企業も安泰ではなくなりました。ビジネスパーソンは、会社から成長させてもらうのではなく、自己研鑽に励み自身を鍛えて成長していくことが大切です。記事で紹介した自己研鑽のポイントや方法を参考にして頂きながら、自己研鑽を励む時の参考にして頂ければと思います。