人間力とはその名の通り「人としてあるべき感性や能力」のことを指します。
しかしビジネスシーンにおいては、より具体的な能力指標として語られるケースが多いです。
一見曖昧で分かりにくい意味を持つ「人間力」について、詳しく解明していきたいと思います。
人間力とは何か?
ここでは、そもそも人間力とはどういう意味なのか、そしてビジネスにおいて、なぜ人間力が重要視されるのかを説明していきます。
人間力の意味
内閣府の「人間力戦略研究会」で、人間力は以下のように定義されています。
人間力に関する確立された定義は必ずしもないが、本報告では「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義したい。
人間力戦略研究会報告書 より
ちなみにこの「総合的な力」は、以下のような要素に分解できるとされています。
・「知的能力的要素」:論理的思考力や創造力など
・「社会・対人関係力的要素」:コミュニケーションスキル、リーダーシップなど
・「自己制御的要素」:自分らしい生き方や成功などを追求したり、その過程で必要になる忍耐力など
これをふまえたうえで、今回は「ビジネスにおける人間力」について整理していきます。
なぜビジネスに人間力が必要なのか
一つの能力だけでこなせる仕事は、専門職などの場合でもほとんどありません。
突出したスキルや自分の強みを持ちつつも、他にも様々なスキルを出来るだけバランスよく持っておくほうが、仕事をよりスムーズに進められる可能性が高いです。
また仕事は自分1人だけでなく、様々な人と協力しながら進めていくものが多いので、柔軟性も必要です。様々なスキルをバランスよく持っておくほうが柔軟性も高くなり、より有利になります。
人間力が高い人の特徴
先ほど上で紹介した、人間力の3つの要素を、それぞれもう少し整理してみます。
1. 知的能力要素
どのような仕事でも、頭を使わない仕事というものはありません。無駄を少なくしてより早く仕事を終わらせる、仕事のクオリティーをアップさせるなど、生産性をUPさせるためには様々な工夫が必要になります。
また知的能力は、2つ目・3つ目の要素とも切り離せません。人間関係で悩んだり、自分の仕事を成功させるために、その都度様々な問題に遭遇することになりますが、そんな時に状況を打破して解決するためには、頭をつかって考えることが必要になります。
2. 対人間関係力要素
上でも触れましたが、仕事は多くの人と協力しながら進めるものが多く、コミュニケーションスキルは、仕事を円滑に進めるために必要不可欠なものです。また会社員として働く場合、チームのマネジメントを任されることも多いので、メンバー1人1人としっかり向き合う事や、リーダーシップなども必要になります。
3. 自己制御的要素
2つ目の対人間関係力要素に関連しますが、仕事には様々な人が関わることになるので、どうしても自分一人だけではコントロールできない部分が出てきます。よって理想通りスムーズに進まないことも多くなり、なにか問題が発生したら、その都度問題を解決したり、中には忍耐強く我慢することも必要になります。
人間力を高めるには
ここでは、人間力を高めるために特に意識したいポイントを5つに分けて説明していきます。
1. 相手を思いやる
相手を思いやるために、まずは出来るだけ「相手の立場に立って考えること」を意識してみましょう。
そのためには、相手がどういう考え・価値観を持っていて、仕事に対してどういうモチベーションを持って取り組んでいるのかを、コミュニケーションを通して事前にしっかりと理解しておく必要があります。まずはそういったことを理解しておかないと、その人に対してどういうコミュニケーションをとるべきか、マネージャーなどの場合であれば、どういったアドバイスをするべきかなど、最適な判断ができません。また相手のことを理解しようとしたり、その人に合った接し方をしようとする行為が、相手からの信頼につながっていき、結果的に自分にもいい形で返ってくるはずです。
もちろん一緒に仕事する相手全員に対して、このような姿勢で接することは難しいと思いますが、特に同じチームのメンバーや、普段頻繁に接する人とは、しっかりコミュニケーションをとっておく方が、仕事を進めやすくなるはずです。「どうせ仕事だから…」とドライに割り切りすぎず、お互いにとって程よい距離感で仕事をすすめられるように信頼関係を大事にしましょう。
2. 目標を設定し、実際に行動する
自分で目標を設定して、その達成に向けて実際に行動することは、人間力を高めるのに、ある意味効率のいい方法です。新しいスキルや経験を身につけたり、目標の数字などを達成するためには、ひとつひとつ様々な課題をクリアする必要があり、その都度自分なりに考えたり工夫しながら行動する必要があるので、目標に向かって努力しているうちに自然と人間力が高まっていくからです。
とはいえ、他人や上司から、無理やり強制的に課せられた目標だと、モチベーションがなかなかUPしないという人もいると思います。その場合は転職して環境を変えることを目標に設定したり、本業以外の副業で目標を設定して努力するのもひとつです。転職活動が成功すれば、新しい環境の中、自分の希望により近い形で働けるようになるので、その後も努力しやすくなりますし、副業である程度お金が稼げるようになれば、自信やスキルなども身につけられるので一石二鳥です。
3. 自分と向き合う
目標を設定して、そのために実際に行動するためには、まずは自分としっかり向き合う必要があります。いまの仕事は本当に自分がやりたい事なのか、3年後や5年後に自分はどうなっていたいのかなど、自分の考えや将来について、ゆっくりとまとまった時間を設けて一度整理してみるようにしましょう。
毎日の仕事が忙しくて疲弊していたりすると、自分の目標や、やりたい事などが見えにくくなり、そうなると目標を達成するために努力しようという気もなかなか起こらないかもしれません。しかし、時間をつくって自分の考えや将来の希望などを整理できれば、それによって気持ちがリフレッシュされて、そこからまた新しく頑張ってみようと思える可能性があります。
4. 読書をして知識や考え方の幅を広げる
読書を通して、知識や考え方の幅を広げることも、人間力を高める方法のひとつといわれています。直接自分の経験を通して得たことはその分血肉にもなりやすいですが、どうしても得られることの数や幅などは限定されてしまいます。しかし逆に本の場合は、自分にはない新しい考え方などを知ったりできるというメリットがあります。
また直接仕事に活きなくても、自分がまだ知らないことを知ることは、単純に知識欲を満たすことにもつながるので時間も無駄になりません。
5. 趣味の時間を大事にする
仕事で努力するだけではなく、仕事以外の趣味の時間も大切にしましょう。一緒に仕事をする相手と共通の趣味などがあれば、お互いの距離も縮まりやすいですし、趣味を深く追求していれば、その知識などが仕事につながったりもします。
あと単純に仕事だけしかしていないと、疲弊して仕事のパフォーマンスにも影響が出てしまいます。でも趣味があれば、仮に疲れがあっても楽しむことでリフレッシュできるので、そこからまたあらたに気持ちを切り替えて仕事ができるはずです。
人間力にまつわる本
Amazonで評価の高い本を4つピックアップしましたので、こちらも参考にしてみてください(評価の数字は2019年4月時点でのものになります。)
生き方 ― 人間として一番大切なこと
Amazonでのレビュー数490件、平均評価は4.3、刊行10年で100万部以上を売り上げた大人気の一冊です 。ちなみに著者の稲盛和夫さんは、京セラとKDDIを創業したり、JALを再生に導くことに成功したビジネス界の有名な人物ですが、こちらの本はサッカー選手や野球選手など、ビジネス以外の他のジャンルの著名人からも高く評価されています。
人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」
Amazonでのレビュー数31件、平均評価4.2の本で、kindle版もあります。欠点の多い人が好かれる理由や、人間力を高めるための7つの技法などについて紹介されています。
内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力
内向型人間の強みや魅力といっしょに、外向型人間の欠点や問題点、そして外向型人間は企業のトップにふさわしいかどうかなどについてふれています。
「仕事ができるやつ」になる最短の道
月間150万PVの、仕事の本質をついた人気ブログ「Books &Apps」の著者の書籍で、kindle版もあります。1週間でできること、1ヶ月毎日取り組んでできること、1年かけてとりくむことなど、時間別に内容がまとめられています。
まとめ
今回紹介した人間力は、仕事で成果を出すために、なくてはならない能力のひとつです。人間力を高める方法として5つのポイントを紹介しましたが、自分に足りないと思うものがあれば、参考にして実践してみてください。