ビジネスコミュニケーションで傾聴力が必要とされるシーンが増えています。聞き上手という言葉がありますが、傾聴力は単に話をよく聞くだけに留まらない、奥深いビジネススキルです。記事では、傾聴力が重要視される理由、仕事に活かせる傾聴力などを通じて、ビジネスコミュニケーションで使う傾聴力を分かりやすく解説します!
傾聴力とは
傾聴力の読み方や意味、傾聴力を使った例文について説明します。
傾聴力は「けいちょうりょく」と読みます。意味は相手の話をよく聞くことです。単に話をよく聞くだけでなく、熱心に聞いたり、相手が言おうとしていることの真意を探ったり、あるいは相手の心情にまでたどり着いて理解します。本記事ではビジネスコミュニケーションにおける傾聴力について説明しますが、プライベートな人間関係においても、傾聴力は重要な対人スキルといえますね。
傾聴力を使った例文
傾聴力を使ってビジネスの例文を書いてみると、次のように言い表せます。
『私は営業パーソンとして傾聴力を重要視している。というのは、傾聴力を使って、お客様のニーズを端的に把握したいと思うからである。ことあるごとに、お客様の真意はこうですか・ああですかとお尋ねしていくのでは、会話が滑らかに進まない。そうならないように、私は傾聴力を使って、お客様の真意を探りつつ、商談を進めるようにしている』
傾聴力を英語でいうと?
傾聴力を英語でいうと、Active Listeningです。Activeという単語で言い表しているように、傾聴力が相手の話を熱心に聞いたり、相手が言わんとしていることの真意を探ったりするなど、より能動的な対人スキルであることが分かりますね。
傾聴力が重要視される理由
傾聴力が重要視される理由として、IT技術の発展によりビジネスコミュニケーションのツールが多様化したことが挙げられます。それによりますます、対人場面でのコミュニケーションは重要視され、特に傾聴力に焦点が当たっているんです。
傾聴力とコミュニケーション力
メール、メッセージアプリ、チャット、テレビ会議など、IT技術の発展によりビジネスコミュニケーションはますます便利になっています。しかし、便利になった反面、双方の真意や心情の交流が成り立ちにくい側面も生まれてきています。常に対面して会話していれば、相手がどんなことを思っているのか、相手の心情はどんなものかが分かりやすくなります。しかし対面のコミュニケーションは減っているのが現実。
そこで傾聴力は、コミュニケーション力を高める上で重要視される訳ですね。対面のコミュニケーションが減ったがゆえに、対面した時の重要性が高まります!対面した時こそ、相手の真意や心情を探るチャンスですよね。傾聴力を活用してコミュニケーション力を高めて欲しいと思います。
傾聴力の短所は?
傾聴力はビジネスコミュニケーションの上で重要なスキルです。一方で短所もあるので紹介します。
・聞き過ぎるだけでは相手の真意や心情に辿り着けない
相手の話をよく聞くという特性ゆえの短所ですね。相手の真意や心情を推し量り、ビジネスを優位に進めるためのスキルである傾聴力。しかし、聞き過ぎてしまっては自己主張しない人に見えてしまいます。また、聞くだけでは相手の真意や心情に辿り着くのに限界があるのも事実です。自ら発言し、相手の価値観や考え方に影響を与えてこそ、相手の真意や心情をうまく引き出すことができます。
誤解しないで頂きたいのは、聞くことが傾聴力の目的ではないということ。相手の真意や心情に辿り着き、ビジネスを自分に優位に進めることが目的です。そのためには自ら発言することは忘れないで下さい。
・意思決定に遅れが生じる
相手の真意や心情を重要視することは肝要ですが、意思決定に遅れが生じないようにしたいところです。傾聴力を活用しつつ、最後は自分で決断する決定力も伸ばして下さい。
傾聴力を仕事に活かす
ビジネスコミュニケーションというと、プレゼンをしたり、上手く話したりといった、こちらから発信するスキルが重要視されがち。でも、傾聴力という「よく聞くこと」も仕事にプラスに働きます。ここでは仕事に活かすポイントを紹介します。
上手く話すスキルと同じくらい大切なもの
上手く話すスキルは、ビジネスコミュニケーションにおいて重要です。一人仕事が多い仕事でも、人間関係抜きのビジネスはありません。自分の意見を発信したり、価値観を伝えたりといった、上手く話すスキルは大切です。一方、相手の話をよく聞く傾聴力は、上手く話すスキルと同じくらい大切なスキルです。なぜなら、上手く話すためには傾聴しなければならないからですね。2つのスキルはお互いに切り離せないくらい大切なスキルといえるでしょう。
>傾聴力を仕事に活かすためのポイント
傾聴力を仕事に活かすためのポイントは、なぜ傾聴するのかを明確にすること。傾聴力を仕事に活かすには、よく聞くことが目的ではないですよね。ビジネスでよく聞くということは、ビジネスを自分に優位に進めることが目的です。
傾聴力と転職
傾聴力はビジネスに留まらず、転職にも役立ちます。
転職で傾聴力を自己PRする際のポイント
転職で傾聴力を自己PRする際のポイントは、以下の2つがあります。
1.協調性があることを示すための傾聴力
転職で採用担当者が抱える不安の1つに、「この人は当社でやっていけるかな」があります。それを払拭するために、協調性があることを自己PRしましょう!
そのために活用できるのが傾聴力です。「自分の言いたいことだけを言うのではなく、相手の話を聞いた上で意見する」というように、協調的な姿勢を面接官に伝えるため、傾聴力を用いて自己PRしてみましょう。
2.部下の心情に配慮し部署をまとめあげるための傾聴力
マジメント層の転職では、専門能力があるのは当然で、それ以上に部署をまとめあげる力があるかが問われます。管理職という立場を利用した上から目線の部下指導では、相手はついてきません。むしろ組織をまとめあげるためには部下の心情に配慮を示し、困ったことがあったらいつでも聞けるくらいの包容性を持つことが大切です。
そのために、転職では、部下の心情に配慮を示すために傾聴力を活用してきたことを言いましょう。面接官は、あなたに対して、真のリーダーシップがある人だなと思ってくれるでしょう。
自己PRの例文
転職の自己PRの例文を以下に示しますので、職務経歴書に書く際の参考にして下さい。
『私は総務職として、聞く力を強みにしています。私が総務部に配属される前は、総務はルーティン業務以外のことをしない風土が漂っていました。しかし私は、上司に進言し、社員が気持ち良く過ごせるために働きたいと申し出ました。それにより、社員が日常的に感じている社内の不便なところなどをよく聞き出すようにしてきました。その結果、総務部では、困ったことがあったら私に言ってみようという風土になりました』
傾聴力を高めるためのトレーニング
傾聴力が大切であることが分かっても、直ぐに傾聴力は高められません。トレーニングが必要です。ここでは、傾聴力を高めるためのトレーニングを4つ紹介します。
相手から聞いた話を言い換えて返す
傾聴力を高めるためには、相手から「自分が言ったことが伝わっている」と思われることが重要です。そのためには、相手から聞いた話を言い換えて返してみて下さい。同じことを言っても、オウム返しに言っているだけだと思われてしまいます。言い換えて話すことで、伝わっていると思われるようにしましょう。傾聴力が苦手な人は、言い換えることから始めてみて下さい。
相槌やうなずきをほどよく返し、聞いていることを伝える
相槌やうなずきをほどよく返すことも、傾聴力を高めるためのトレーニングとなります。能面のような顔をして聞いていたら、傾聴しているつもりでも相手は「聞いてくれているのかな?」と不安になります。相槌やうなずきといったジェスチャーをすれば、よく聞いている熱心さが伝わると思います。
流れをみつつ、分からない事はしっかりと質問する
傾聴力を高めるには質問することも大切。何でも聞いて良い訳ではありませんが、分からない事を鵜呑みにして、相手から「この人は私の言っていることを聞いていない!」と思われてはなりません。複雑に考えず、分からない事は質問するというスタンスで臨んで下さい。質問は意外と難しいですが、流れをみながらシンプルに質問してみましょう。
テクニックを意識しすぎないことも大事
トレーニングを3つ紹介しました。基本的には、以上の3つを織り交ぜながら傾聴力を高めて欲しいのですが、あまりテクニックを意識し過ぎると硬い会話になります。あくまでも自然な会話を目指して、テクニックに依存し過ぎず傾聴力を高めて下さい。
傾聴力にまつわる本
最後に、傾聴力にまつわる本を3冊紹介します。
プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術
『プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術』は、介護・看護などの専門家が使える傾聴力の本。傾聴力を実践するための入門書になっているので、ビジネスでも活用できます。
マンガでやさしくわかる傾聴
『マンガでやさしくわかる傾聴』は、上記『プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術』と同じ古宮昇氏が書いた本。マンガで説明されているので、より分かりやすい傾聴力の入門書となります。
プロカウンセラーの共感の技術
『プロカウンセラーの共感の技術』は、京大カウンセラーが書いた傾聴力の本です。ダイレクトにビジネスで使える傾聴力を書いた本ではありませんが、それゆえに読者が、「傾聴力とはこういうものだ!」と飲み込んで、ビジネスに援用することができます。
まとめ
傾聴力がビジネスでいかに重要なスキルか分かって頂けたと思います。話すスキルが重視されがちですが、相手の真意・心情に辿り着きビジネスを優位に進めるために、ぜひ傾聴力を活用して下さい。