人材育成を成功させるためのポイントは2つ!成功事例や助成金も紹介

人材育成は働き方の多様化といった近年の社会的変化においてますます重要度を増しています。
しかしどのような人材育成を行えばよいか分からず、頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では人材育成を成功させるための重要なポイントを2つご紹介。
そのほかに成功事例や助成金も紹介しながら、わかりやすく人材育成に関して解説いたします。

目次

人材育成とは?意味は何?

人材育成とは?意味は何?
人材育成とは社員を企業の利益を最大化してくれる人材として育成することです。
社員を単に仕事を行う経営資源として見なさず、主体性を持って仕事を行ってくれるように人材を育成します。

人材育成の目的は

人材育成の目的は
先ほども簡単に触れましたが、現在働いている社員を主体性を持つ人材に育成することが人材育成の最も大きな目的です。
加えて主体性を持って能動的に仕事に取り組めば、やる気が生まれ社員もいきいきと仕事に取り組むようになります。
このように社員のモチベーション向上も人材育成の目的です。
年功序列の風化や働き方の多様化によって、能力のある人員確保は企業にとってますます重要な課題となっています。
このような背景を基に、近年人材育成に関して見直しを始めている企業が増えています。

人材育成を英語で言うと?

人材育成を英語で言うと「Human resource developement」「Capacity Development」です。
世界的な企業の多くは人材育成に力を入れています。
そのため人材育成に関して英語資料を読む機会がある場合は、上記の英単語を頭に入れておくとよいでしょう。

人材育成にまつわる名言

企業の成長に関して最も重要である人材育成に関して多くの名言が生まれています。
下記にいくつかご紹介します。

人材育成で大切なことは、やはり失敗を大切にするように教えることでしょうね。若いうちは何度でも失敗できますから、失敗を楽しんでほしいと思います。
京都大学iPS細胞研究所所長の山中信弥さんの名言です。
主体性に物事を取り組む際、時には失敗してしまうもの。
しかし、そんな失敗を恐れないようなマインドセットを社員に持つように教えることの重要さを教えてくれます。

2.人材育成は一番妥協してはいけないもの

サマンサタバサジャパンリミテッドの創業者である寺田和正さんの名言です。
企業にとって重要なことは利益の最大化であると多くの経営者が考えています。
しかし、その利益を生むのは働いてくれている社員です。
この名言はそのような経営者が見落としてはいけない事実を端的に表しています。

3.僕は「3つのK」と言っているのですが、期待して、鍛えて、活躍する機会をきちんと与えていけば、人は絶対に平等に育っていく。

東京海上ホールディングス代表取締役社長、東京海上日動火災保険代表取締役社長である永野毅さんの名言です。
もし人材育成が重要だと考えていても、実際にどのようなことを行えば良いか分からない経営者の方も中にはいらっしゃるでしょう。
その際には「期待する」「鍛える」「活躍する機会をきちんと与える」ということを念頭におけば、スムーズに目標設定が行えるのではないのでしょうか。

人材育成の手法は3つ

人材育成の手法は3つ
企業を安定して運営していくために最も重要な人材育成。
ここではその手法として代表的な3つの手法をご紹介します。

OJT

まずご紹介するのはOJTです。
OJTとは「On the Job Training」の略称で、一定の期間で実務経験を通して人材教育を行うことです。
実際に業務を行うことによって、現場で必要な知識や対応を理解することができます。
また上司も実務を行いながら人材育成を行うことができるのもメリットの一つです。

Off-JT

次にご紹介するのはOff-JTです。
Off-JTは「Off the Job Training」の略称で、実務ではなく外部指導者によって人材教育を行うことです。
人材育成を専門に行っている企業や機関に育成を委託することによって、高い教育を受けることができます。
しかし、企業にとって優秀な人材育成のためには実務経験が欠かせませんので、OJTと併せて人材育成を行うことが必要です。

SD

最後にご紹介するのはSDです。
SDとは「Self Development」の略称で、自己啓発のことです。
実務とはまた異なる知識を得たり指導を受けることで、より主体性のある優秀な社員へと成長することが期待できます。

人材育成のポイント!大切なことは2つ。

上記にて人材育成の主な3つの方法をご紹介しましたが、その効果を最大化するためには企業にとって最適な手法を選ばなければなりません。
そのためには人材育成におけるポイントをしっかりと抑える必要があります。
そこで下記にそのポイントをご紹介します。

一つ目:まずは人材育成を成功させるための課題を明確にする

まず抑えるべきポイントは人材育成を成功させるための課題を明確にすることです。
課題の明確化には現場で実際に働いている社員の声を聞くことが効果的です。
現場の社員が求める社員の人物像はどのようなものか把握することによって、効果的な人材育成を行うことができます。

二つ目:次に人材育成のための目標を設定する

次に抑えるべきポイントは人材育成のための目標を設定することです。
課題を明確化した後に、その課題を解決するための目標を設定することによって、効果的な人材育成の手法を選択することが容易となります。
また育成期間を定め、その目標を達成するためにいつまでにどのようなことを行う必要があるのかということを逆算して決定することも重要です。

目標管理シートなどを活用するのもひとつ

目標設定がうまくいかない時には目標管理シートを活用するのも効果的です。
目標管理シートは達成すべき項目を挙げ、それぞれに対して目標を設定してそれらを管理するシートのことです。
「達成すべき項目」「目標」「期間」「達成度」などを管理することによって、達成項目や目標が明確になり、どのような人材育成を行えば良いか判断しやすくなります。
またしっかりと目標管理シートを保管することによって、人材育成に関して見直しを行う際に参考にすることができます。

人材育成の目標の具体例を紹介

現場の社員の声をヒアリングしても中々人材育成の目標を設定することが難しいこともあるでしょう。
そこで、多くの企業が取り入れている人材育成の目標の具体例をご紹介します。

1.ビジネスマナーや仕事における最低限の知識を習得する

主に新入社員や若手社員の人材育成において設定される目標です。
まだ社会経験が乏しい新入社員および若手社員にとって、ビジネスマナーや仕事における最低限の知識を習得することは最重要項目の一つです。

2.仕事に対するモチベーションを向上する

主に中堅社員の人材育成において設定される目標です。
ある程度業務に慣れた中堅社員の課題として「モチベーションが上がらない」「なんとなく仕事をこなしてしまっている」といったものがよく挙げられます。
そこで、中堅社員の人材育成においては仕事に対するモチベーションの向上を目標として設定すると良いでしょう。

3.マネジメントについて知識を習得する

主に管理者層の人材育成において設定される目標です。
社員の管理を行うためには実務で必要な能力とはまた異なるマネージメント能力が必要となります。
実務においてそのような能力を身につけるのは中々難しいため、管理者層にの人材育成を行う際には、マネジメントに関する知識習得を目標として設定すると良いでしょう。

企業の人材育成にまつわる取り組み

企業の人材育成にまつわる取り組み
これまで説明してきたように人材育成は企業にとって最も重要な項目であり、数多くの企業が多様な取り組みを行っています。
下記にその具体例をいくつかご紹介します。

事例1:GEジャパン

まずご紹介するのはGEジャパンの取り組みです。
GEジャパンは研修プログラム毎にトレーナーを養成する「TCP(Trainer Certification Program)」を導入しています。
これは要求レベルに達した社員のみに認定を与え、資格継続のための要件も整備しています。
またGEジャパンの親会社であるGE(ゼネラル・エレクトリック)は1956年に世界初の企業内大学「ジョン・F・ウェルチ・リーダーシップ開発研究所」を設立しました。
ここではリーダー育成に関する多様な研修を行っています。
このようにGEジャパンおよびGEはリーダー育成に関して非常に力を入れています。

事例2:さくらインターネット

次にご紹介するのはさくらインターネットの取り組みです。
さくらインターネットでは「さくらの寺子屋」と呼ばれる社内講師制度を導入しています。これは立候補した社員に対して専門教育を半年間行った後、研修トレーナーとして社内で活躍する機会を与えるものです。
社内で教える機会を提供することによって、主体性の持つ社員として活躍してもらうことを目的としています。

事例3:博報堂

次にご紹介するのは博報堂の取り組みです。
博報堂は2005年に社員育成の専門機関として「博報堂大学」を設立しています。
社員の育成を専門的に行う機関を設立することによって、他社よりも高い教育や研修を与える機会を社員に提供しています。
年代別に異なる研修を段階的に行っており、社員にとってより効果的な学びが得られるように工夫していることが大きな特徴です。

事例4:ガイアックス

次にご紹介するのはガイアックスの取り組みです。
ガイアックスでは全社員を対象にLGBTに関する研修を2015年から実施しています。
東京都渋谷区などで同性パートナーシップ条例が成立したり、国会でLGBT差別禁止法案が提出されたりといった、LGBTに対する社会的な関心の高まりを受けて実施されるようになりました。
「LGBTをめぐる日本と世界の状況」「LGBTの基礎知識」「企業とLGBTの関わり」などが具体的な研修内容です。

事例5:マルハニチロ

最後にご紹介するのはマルハニチロの取り組みです。
マルハニチロはOJTリーダーの育成に力を入れており、OJTリーダー養成研修を実施しています。
また新入社員研修は入社式翌日から2泊3日の合同研修を行い、その後は現場実習やOJTリーダーとの具体的な目標設定など、新入社員に対しても段階的な研修を取り入れています。

(https://www.e-sanro.net/jirei/を参考に)

人材育成する際に助成金を利用できる

人材育成する際に助成金を利用できる
これまで人材育成の重要性や具体的な取り組みをご紹介しました。
しかし、人材育成を行いたくても予算の都合から難しいと考える経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方のために人材育成に関する様々な助成金があるため、下記にご紹介します。

キャリア形成促進助成金

キャリア形成促進助成金は人材育成にかかる費用のいちびうを事業主に対して女性っする制度です。
対象となるものは以下の4つです。

・政策課題対応型訓練
・一般型訓練
・団体等実施型訓練
・ものづくり人材育成訓練

多くの企業にとって対象となるのは一般型訓練でしょう。
「職務に関連した専門的な知識および技能を習得させること」が訓練内容の定義です。
助成金額は以下です。
・経費助成は1/3
・賃金助成は1時間あたり400円

キャリアアップ助成金

キャリアアップと助成金とは最も用いられている助成制度の一つです。
下記の7つのコースに対して助成金が支給されます。

・正社員化コース
・賃金規定等改定コース
・健康診断制度コース
・賃金規定等共通化コース
・諸手当制度共通化コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間的労働者労働時間延長コース

一例として正社員化コースの内容を下記に記載します。
正社員化コースの場合、助成内容および助成額は以下です。

・有期契約労働者 → 正社員への転換:1人あたり57万円(42万7,500円)
※生産性の向上が認められる場合:1人あたり72万円(54万円)
・有期契約労働者 → 無期契約へ転換:1人あたり28万5,000円(21万3,750円)     ※生産性の向上が認められる場合:1人あたり36万円(27万円)
・無期契約労働者 → 正社員への転換:1人あたり28万5,000円(21万3,750円)    ※生産性の向上が認められる場合:1人あたり36万円(27万円)

中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コースは申請した企業が中小企業であることと、以下の組合や組合連合会に加入している必要があります。

・企業組合
・協業組合
・事業協同組合・事業協同小組合・協同組合連合会
・水産加工業共同組合・水産加工業協同組合連合会
・商工組合・商工組合連合会
・商店街振興組合・商店街振興組合連合会

助成金の上限額は以下のように定められています。
大規模認定組合等(構成中小企業数500以上)に所属する場合:上限額1000万円
中規模認定組合等(同100以上500未満)に所属する場合:上限額800万円
小規模認定組合等(同100未満)に所属する場合:上限額600万円

中小企業労働環境向上助成金(介護の人材育成向け)

介護の人材育成向けの助成金も用意されています。
その中でよく用いられるものの一つとして中小企業労働環境向上助成金があります。
これは介護サービス事業所での労働環境の改善や人材の定着を目的としたものです。
具体的には雇用管理に関して助成を行う雇用管理制度助成金と介護福祉機器の費用を一部負担する介護福祉機器等助成金の二つに分かれています。
介護福祉機器助成金の支給額は介護福祉機器の2分の1です。

個別企業助成コースや自治体が提供する補助金も

これまでご紹介した助成金とは別に、雇用管理の改善を行う事業主に対して支給する個別企業助成コースや自治体が助成金を提供していることもあります。
企業によって人材育成に関する最適な助成金は異なりますので、要件などをしっかりと把握することが重要です。

人材育成に関する本

人材育成に関する本
最後に人材育成に関する本をご紹介します。
全てAmazonで星4つ以上を獲得した非常に評価の高い書籍ばかりですので、ぜひご参考ください。

自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書

農林水産省10大トピックスを受賞した篠原信さんによる書籍です。
人材育成に関して科学的なアプローチを行うことによって、納得度の高い内容となっています。
篠原さんが提唱する「教えない」育成塾によって、効果的な人材育成を行えるようになることでしょう。
人材育成に関して様々な観点から学びたい方におすすめです。

シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1
on1ミーティング―

この書籍ではアメリカのシリコンバレーで広く導入されている、1on1ミーティングの重要性を紹介しています。
上司と部下が週に1回自由に話し合うことで高い信頼関係を構築し、主体性の持つ社員を育成するノウハウをわかりやすく紹介しています。
著者の世古詞一さんは「働きがいのある会社」3年連続1位の会社ででこのノウハウを実証しており、非常に信頼度が高いのも特徴です。

3日で変わるディズニー流の育て方

ディズニーはキャストと呼ばれる従業員のホスピタリティー溢れる接客が特徴の一つです。本書ではそのような接客を行う従業員を育成するためのノウハウが記載されています。
しかし、その内容は決して接客業のみで活かすことのできるものということはありません。「ゴールを見させる」「感動を体験させる」「行動を見守る」など様々な企業で活用できるノウハウが紹介されています。

まとめ

人材育成のまとめ
企業にとって最も重要な課題の一つである人材育成。
その効果的な手法は一つではなく、企業によって異なります。
今回ご紹介した内容が効果的な手法を選択し、優秀な人材の育成の一助となれば幸いです。

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