ビジネスにおいて、自己効力感を高めることでポジティブ思考となり、難しい課題に対しても積極的に取り組めるようになります。
自己効力感を高めるためには、具体的にはどうすれば良いでしょうか?
今回は、自己効力感を高める3つの方法を解説していきます。
自己効力感とは
「自己効力感(self-efficacy セルフエフィカシー)」とは、社会的認知理論(社会的学習理論)の中で使用される心理学用語です。
自己啓発セミナーや心理カウンセリングなどでも頻繁に使われる言葉です。
自己効力感の意味は、ある状況下において、適切な行動を選択して、遂行する能力を自分が持ち合わせているかどうか認知を示す言葉です。
ビジネスシーンにおいては目まぐるしく状況が変化する中で、適切な判断を瞬時に求められることが多くあります。
安定した社会的な地位を築くためにも、自己効力感について正しく理解し、メリットを最大限に享受する方法を習得することが重要です。
自己効力感の意味
「自己効力感」は英語でSelf-efficacyといい、「自己可能感」とも訳されます。
自己効力感とは、ある状況下で結果を出すために適切な行動を選択して、遂行するための能力を自らが持っているかどうか認知する言葉です。
自己効力感は、「優越感」・「劣等感」といった感情の発生理由を心理学的に説いたものです。
自己効力感の高まりは優越感に比例し、自分は困難を克服できる、自分は現状を変えられる意欲的な心理を持ちます。
自己効力感を保持する人は、失敗・壁・困難に突き当たってもチャレンジすることができ、比較的早く立ち直る能力があるのです。
逆に自己効力感が低くなると、劣等感が強く現れるのが特徴です。
自己効力感と自己肯定感の違い
「自己効力感(self-efficacy)」の意味は、人がある状況の中で、その時に必要な行動を上手にとれるかという可能性を認知する言葉です。
「自己効力感」の高い人は、難しい課題にぶつかってもチャレンジ精神が備わっているので、何をどう工夫をすれば解決できるか瞬時に考えることができます。
「自分は課題を克服できる!」という前向きな自信が生まれてくるのです。
「自己肯定感(self-esteem)」とは、自身へ抱く尊敬の心・自分の好きなところ・嫌いなところを全部含めて前向きにとらえ、ありのままの自分を認める力です。
社会の中の自分の存在・あり方を前向き・ポジティブに評価できる感情のことです。
自己効力感を高めるメリット
▼自己効力感を高める3つのメリット
チャレンジ精神を向上させる
精神的に打たれ強くなる
成長に対するモチベーションが上がる
自己効力感を高めると、どんな時もポジティブな行動ができるようになります。
難しい課題に対しても積極的に行動するようになり、素早く取り組んで解決できるのがポイント。
自己効力感は、精神的な打たれ強さにも繋がり、一時的に落ち込んでも、自分の行動・能力を信じて前へ踏み出せるようになります。
自己効力感の種類
▼自己効力感の3種類
・自己統制的自己効力感
・社会的自己効力感
・学業的自己効力感
自己統制的自己効力感
自己統制的自己効力感とは、自分の行動を制御する自己効力感のこと。
自分の行動をセルフコントロールできる感情のことで、失敗から立ち直ったり、初めての仕事に対してもポジティブに取り組むことができます。
社会的自己効力感
社会的自己効力感とは、人間関係に関する自己効力感です。
親・兄弟、友人、職場の人間など周囲と良い人間関係を築くことができる、チーム(仲間)内で自分の価値を認める自己効力感です。
学業的自己効力感
学業的自己効力感とは、学習に関しての自己効力感です。
決めたスケジュールを守って勉強する、身の回りの様々なことから学ぼうとする行動に影響を与えます。
高い学力を保持している人物は自己効力感が高い傾向にあり、学習に対する満足度も高いのです。
自己効力感を構成する5つの要素
▼自己効力感を構成する5つの要素
⑴達成経験…何かを達成した、何かを成功させたという経験
⑵社会的(言語的)説得…自身に遂行する能力があることを言語で説明すること
⑶生理的情緒的高揚…ドキドキやワクワクといった高揚感のこと
⑷想像的体験…自身や他者の成功を想像すること
⑸代理経験…自分以外の人が達成した、成功したことを観察した経験
ここからは、それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. 達成経験
「達成経験」は、自分自身が何かを達成・成功した経験のこと。
達成経験を作るためには適切な目標を立て、戦略についても話し合うことがポイントです。
2. 社会的説得(言語的説得)
「言語的説得」は、自分にその行動を遂行する能力があることを言語的に説明することです。
乳児期から児童期といった社会性が最も発達する時期に育まれる傾向にあります。
3. 生理的感情的高揚
「生理的感情的高揚」は、体調や気持ちなどが自己効力感に影響を与えるというものです。
落ち着きがあり、爽やかな気持ち・高揚感があれば良い影響が期待できます。
緊張・不安感が出ているときは、行動にも悪影響を及ぼします。
4. 想像的体験
「想像的体験」は、自分や他者の成功・失敗をイメージする要因です。
他人の成功体験を読書や動画などを通じて観察することです。
5. 代理経験
「代理経験」は他者が達成・成功した経験、その人が身に付けた能力について知る機会を知ることです。
自己効力感を高める3つの方法
では、具体的に自己効力感を高めるためにはどうすれば良いでしょうか?
1. 小さな成功体験を多く積み重ねる
自己効力感を高める最も効果的なやり方は、小さな目標の達成を繰り返すことです。
まずは確実に達成できる目標を多くこなして、豊富な達成経験を作ることがコツです。
2. 自分が尊敬する人や、ポジティブな考え方をする人と付き合う
成功している人の本や動画から代理経験をプラスに変えます。
人が実際に成功している姿を観察することで、自分にもできそうだとモチベーションをアップに繋がります。
3. 心身ともに健康的な状態を保つ
トレーニングやストレッチによる健康的な肉体は私たちの認知にいい影響を与えてくれることが分かっています。
健康的な身体を保ち、生理的情緒的高揚をプラスになるマインドフルネスを取り入れると、自己効力感に驚異的な変化が現れるでしょう。
自己効力感を評価する尺度
自己効力感を評価する尺度は、「GSES (一般性セルフ・エフィカシー尺度)」が代表的です。
一般性セルフエフィカシー尺度(GSES)とは
一般性セルフ・エフィカシー尺度とは、「GSES
(General Self-Efficacy Scale)」と呼ばれます。
「GSES」は個人の一般的な自己効力感の高低を測定するための質問紙です。
何らかの行動をきちんと遂行できるかどうかを測定するために開発されたのがGSESです。
近年は、セルフ・エフィカシー(自己効力感)の重要性は臨床分野だけでなく、ビジネスや教育、予防医学といった幅広い場面でも認められています。
まとめ
ビジネスにおける「自己効力感」とは、自分自身の中にある目標達成能力の存在を認識することです。
自己効力感を高めるには、自身の達成体験を積み重ねたり、第三者による代理体験に触れる方法があります。
ぜひ、今後の自己啓発やモチベーションアップのために取り入れていきましょう。