ピラミッドストラクチャーについて
ピラミッドストラクチャーは、ビジネスにおいて円滑なコミュニケーションに欠かせない手法で、自分の評価向上にもつながります。具体的に、どのような手法を指すのかについて、またロジカルシンキングなどとの違いについても解説します。
ピラミッドストラクチャーとは?
ピラミッドストラクチャーとは、直訳すると「ピラミッド構造」を指します。ピラミッド構造を意識して論点を整理し、相手に伝わりやすく話すことです。最も伝えたい主張をピラミッドの頂点に置き、それを支える形で根拠となる資料の提供や伝え方を工夫することを指します。
ピラミッドストラクチャーの例
○○の取り組みによって、利益が50%アップすることを伝えたいケースを例に挙げます。なぜ、利益が50%アップするのか、その理由を2~3に分けて説明し、さらにその理由を支える根拠を複数説明します。このように、主張の根拠をしっかり用意することで、相手に意図や合理性が伝わり、主張が受け入れられやすくなるのです。
ロジカルシンキングやMECEについて
ピラミッドストラクチャーを支えるのは、ロジカルシンキングとMECEです。ロジカルシンキングは論理的思考のことで、感情や気分ではなく、根拠を示したうえで論理的な話を展開する際に欠かせません。また、MECEは主張の正しさを伝えるための根拠を漏れなく準備し、話の内容が重複しないようにすることを指します。
ロジカルシンキングのメリット・デメリット
ロジカルシンキングのメリットとデメリットをご紹介します。まずは、メリットからみていきましょう。
・根拠を示しながら話すため、聞き手からの質問が減る
・相手に意図が伝わりやすい
・主張への理解を深めてもらいやすい
続いて、デメリットについて詳しくみていきましょう。
・話す順番を間違えると総崩れになりやすい
・冷たい印象を与える可能性がある
・どこまで話したかわからなくなる危険性がある
このように、ロジカルシンキングを正しくできれば大きなメリットを得られますが、リスクもあることを覚えておきましょう。普段からロジカルシンキングを習慣づけておくことが大切です。
ピラミッドストラクチャーとロジックツリーの違い
ロジックツリーは、問題の原因を調べたり解決策を考えたりするために、論理的思考によって各要素に分類する手法です。ピラミッドストラクチャーは、縦方向ですが、ロジックツリーは横方向に話を展開します。また、主張ではなく問題解決に用いるところもピラミッドストラクチャーと異なる点です。
ロジックツリーの用途や例、流れについて詳しくみていきましょう。
ロジックツリーの用途や例について
ロジックツリーは、社内で起きたトラブルの原因と解決策の立案にも用いることが可能です。特定の部署が行うべき処理を別の部署が処理してしまったトラブルを例に挙げます。なぜ、別の部署が処理してしまったのか、業務割り振り方法や伝え方に問題はなかったのか、指示を受けた担当者はなぜ疑問を持たなかったのかなど、より詳しく掘り下げていきます。
そして、再発防止のために何をすればいいのか、トラブルの原因に基づいて立案します。
問題の原因や発生箇所の整理
問題の原因や発生箇所がわからなければ、その先に進むことができません。自問自答を続け、なぜ問題が起きたのかを考えます。問題を深堀りしていき、単なる手続きミスではなく、日ごろの不満や他の作業と似ている点があるなど、その本当の原因を突き止めることがポイントです。
仮説を立てて、問題を掘り下げていくことで、原因にたどり着けるでしょう。
問題解決策の整理
複数の要因が重なっている場合、それだけ多くの解決策の立案が必要です。しかし、適切な解決策が間違った解決策に埋もれる恐れがあるため、十分に整理しなければなりません。優先的に実践する必要がある解決策を掲げることが大切です。
KPIの整理
KPIとは、目標達成に向けて、行うべき解決策や業務遂行ができているか調べる手法です。解決策を整理しても、正しく実行できていなければ問題が再発します。問題解決に取り組むリーダーを選出し、解決策の実行状況などを関係部署に定期的に確認しましょう。
ピラミッドストラクチャーの作り方
ピラミッドストラクチャーは、具体的にどのようなプロセスで作ればいいのか、順を追って詳しく解説します。
伝えたいことや答えを決定する
最初に、ピラミッドの頂点となる主張と回答を決定しなければなりません。これが曖昧なまま理論を展開すると、矛盾点や説明不足な点が生まれ、話の信頼性が欠けてしまうのです。様々な主張が必要な場合は、主張ごとにピラミッドストラクチャーを構成する必要があります。
決定したメッセージや答えに関連するデータを集める
続いて、決定した主張、回答に関連するデータを集めましょう。データは、その主張や回答が正しいことを示すものでなければなりません。また、一般人が独自に調査したものではなく、公的機関や信頼できる企業が調査したものを活用しましょう。
データの信頼性が低いと、主張と回答の信頼性も下がってしまいます。
集めたデータなどをグルーピングする
集めたデータをそのまま使うのではなく、グルーピングしましょう。主張の理由ごとにデータを分けるなどすれば、膨大なデータを聞き手に処理させる事態を防げます。あまりにも膨大なデータは、聞き手を混乱させてしまうのです。
グルーピングで整理した情報と最初のメッセージを照らしあわせて確認する
グルーピングで整理した情報と主張に矛盾点がないか、説明不足な点がないか確認しましょう。各グルーピングでは矛盾点がなくても、主張との矛盾点が生じるケースがあります。矛盾点が1つでもあると、主張と回答が台無しになってしまうでしょう。
ピラミッドストラクチャーを利用するメリット・デメリット
ピラミッドストラクチャーには、メリットとデメリットがあります。それぞれ詳しくみていきましょう。
ピラミッドストラクチャーを利用するメリット
ピラミッドストラクチャーを利用するメリットは次のとおりです。
・短時間で主張の意図が伝わる
・主張の理由を含めた全貌を伝えられる
・論点がずれにくい
・聞いている側としても理解しやすい
このように、自分の主張の意図を理解してもらいつつ、会議の時間を短縮できることは大きなメリットでしょう。ピラミッドストラクチャーを成功できるビジネスマンは、そう多くありません。伝え方も評価される項目の1つのため、積極的に活用することが大切です。
ピラミッドストラクチャーを利用するデメリット
続いて、デメリットについてご紹介します。
・事前の練習が欠かせない
・根拠に不備があると総崩れになる恐れがある
・同じ内容を繰り返すと中だるみする
・話す順序をしっかり守る必要がある
このように、ピラミッドストラクチャーはメリットが大きいものの、事前の準備に手間と時間がかかったり、失敗のリスクが高かったりなど、デメリットもあります。
まとめ
ピラミッドストラクチャーを活用すれば、聞き手を納得させやすくなるだけではなく、会議の時間の短縮にもつながります。できるビジネスマンは、要点を整理し、聞き手に無駄な時間を使わせません。ピラミッドストラクチャー、ロジカルシンキング、MECEを活用して、質の高いプレゼンや主張をしましょう。