日常会話やビジネス会話において「相対的」という言葉を使用する場面がありますが、正しい言葉の意味や使い方を理解している人はどれだけいるでしょうか?
相対的とは、どのような意味なのかをしっかりと理解しておくことで、ビジネスシーンでも臆することなくスムーズに会話できるようになります。
また、対義語として「絶対的」という言葉もあるので、あわせて覚えておきたいところです。
ここでは、「相対的」の意味や使い方、「絶対的」との意味の違いなどについて詳しく解説します。
相対的の意味とは?
「相対的」の意味は、「他のことと比べて判断する価値」のことです。それでは、相対的の使い方や絶対的との違い、類語などを詳しくみていきましょう。
相対的の使い方や例文について
相対的の使い方として、距離を例にあげていきます。例えば、日本からハワイまでの距離が長いかどうかを判断する場合、普段どれだけ海外に行っているかが関係します。日本から出たことがない人にとっては、ハワイまでの距離が長く感じ、ハワイよりも遠いオーストラリアへ頻繁に行っている人にとっては、距離が短く感じるでしょう。
これを例文にすると、「よくオーストラリアに行っているので、相対的に見てハワイは近い」となります。このように、相対的という言葉には、「他と比べて」、「普段行っているところと比べて」、「普段の経験を踏まえて考えると」などの要素が含まれるのです。
絶対的との違い
絶対的とは、比較しても価値が変わらない事象を指します。一定の収入以上を得ている場合に参加資格を得られるセミナーに例えてみましょう。年収500万円以上が参加資格の場合、年収600万円でも700万円でも参加資格を得られるため、比較しても価値が変わりません。
このように、相対的は比較することで価値が変わるのに対し、絶対的は比較しても価値が変わらないのです。
相対的の類語
相対的の類語は、「比較的」です。比較的の使い方は、「この部屋は比較的暖かい」などがあります。一般的な感覚や屋外に比べて暖かいことを示します。相対的と比較的の違いは、基準が明確かどうかです。
相対的では、点数や距離、重量など具体的な基準がありますが、比較的では「暖かい」のように明確な基準がありません。
相対的な考え方をするメリット・デメリットとは?
それでは、相対的な考え方をすることには、どのようなメリットとデメリットがあるのか、ビジネスシーンにおける絶対評価と相対評価とあわせて詳しくみていきましょう。
相対的な考え方をするメリット
相対的な考え方をすることで、周りの状況に応じた自己評価が可能となります。例えば、周りに売上目標の達成率が50%の人が3人、100%の人が1人、自分は80%だとします。この場合、達成率80%では売上目標に達していませんが、他に達成率50%の人が3人いることで、相対的に自己評価が高くなります。
売上目標を達成できなければ意味がないとの考えでは、100%を達成できないことで自信を失う場合もあるでしょう。自信を失わずに済むことでパフォーマンスを発揮しやすくなり、結果的に100%の目標を達成できる可能性が高まります。
相対的な考え方をするデメリット
相対的な考え方のデメリットは、自分の伸びしろが失われる可能性があることです。周りと比較して高い成績を挙げていればそれでいいという考え方では、さらに上を目指すことができません。また、売上目標の達成率が相対的に低い場合、もう少しで達成率100%に達するケースでも自信を失いやすくなります。
このように、相対的な考え方が必ずしも良い考え方とは限らないのです。
ビジネスシーンでよく見る絶対評価と相対評価
会社では、絶対評価と相対評価のいずれかで評価されます。絶対評価では、月30件の成約を達成すれば最高評価を得られるなど、明確な基準が定められています。この場合、月30件の成約を達成した人全員が最高評価を得られるのです。
相対評価では、月30件の成約を達成しても、周りの人が月35件や40件の成約を達成していると、自分の評価が低くなります。どちらにもメリットとデメリットがあるため、役職や部署、チームなどに応じて、使い分けることが大切です。
相対的貧困とは?
相対的という言葉は、貧困問題にも使用されます。相対的貧困と絶対的貧困について、日本の貧困の状況を含めて詳しくみていきましょう。
絶対的貧困とは?相対的貧困との違い
絶対的貧困とは、お金がないために食材を購入できなかったり医療を受けられなかったりして、生命維持が難しい状態のことです。一方、相対的貧困とは、該当の人物が暮らしている町や国の経済状況や生活水準、文化水準などと比べて貧困になっている状態です。
相対的貧困の基準は絶対的貧困とは違い、明確な基準が設けられています。相対的貧困の基準は、「住んでいる国の等価可処分所得の中央値の半分以下の状態」です。相対的貧困の家庭では、親が病気のために十分な収入を得られなかったり、学費を支払えないために学校に行けなかったりします。
日本の状況について
日本では、バブル崩壊後に企業がコスト削減に乗り出したことで、非正規雇用者が大きく増加しました。非正規雇用者は正規雇用者と比べて給与水準が低いため、貧困の原因となります。また、子供の貧困も大きな問題となっています。経済的な理由で洋服や靴の購入や塾や習い事を諦めていることが現状です。
相対的未来と絶対的未来について
未来の予測は、豊かな人生を歩むために欠かせません。未来を予測できないと、必要な準備ができなかったり、チャンスを逃したりします。その結果、経済的な損失を受けて幸福度が低下する恐れがあるのです。相対的未来と絶対的未来の両方の知識を身につけておきましょう。
絶対的未来とは
絶対的未来とは、必ず起こる未来のことで、どれだけ対策をしても変わることがありません。例えば、過去に世界大恐慌やリーマンショックなどが起きていますが、これらは防ぐことができない未来です。なぜなら、その事象が実際に起こるまで、世界大恐慌やリーマンショックが起こることを予測できないためです。
また、予測できたとしても、一個人の力で未来を変えることはできません。
相対的未来とは
相対的未来は、現時点で起きていることなどの情報をいち早く集めることで、他の人が持つ情報量との差が生まれ、他の人の未来と自分の未来を比較し予測できる未来です。例えば、今後はAIによって労働力が削減される未来が待っているものの、いち早くその情報を得ることで、AIが人に代わることができない職に就く準備ができます。情報を得ていない人は準備が遅れてしまうでしょう。
情報収集するメリット
相対的未来は、自ら変えることが可能な未来です。情報を得ることで、時代の変化を予測でき、豊かな人生を歩むための準備ができます。重要なのは、自分が未来を予測するために必要な情報を持っていない事実を認識することです。
情報を持っていない事実を認識できていないと、情報を集めることができません。常に、未来を予測するための情報を集め、十分に備えたいところでしょう。
まとめ
相対的な考え方や相対評価には、メリットとデメリットがあるため、ケースバイケースで活用することが大切です。また、相対的と絶対的、比較的の違いを知り、適切に利用したいところでしょう。特に、相対的未来の予測については、豊かな人生を歩むためにも積極的に実践することをおすすめします。