仕事はただ決められたことを行うだけでなく、いかに効率よく行うか、ということが重要です。この記事では、そんな仕事を効率的に行う際に欠かせない考えである業務効率化について解説します。業務効率化とはなんなのか、そのメリットや具体的な取り組み事例などについて解説するのでぜひ参考にしてみてください。
業務効率化とは?
業務効率化とは、その名の通り、業務をより効率的に行えるようにすることです。
具体的には、普段の業務における無理・無駄・ムラなどを省くことで、コストや時間の無駄遣いを目指すというものです。
無理・無駄・ムラには以下のようなものが挙げられます。
- 仕事量が多い
- 厳しいスケジュール
- 必要以上に時間を使う
- 本来必要ない業務を行う
- 閑散期と繁忙期
- 特定の人にだけ負担のかかる業務
会社の持つ資金や人材といった経営資源には限度があるため、その限られた資源の中でいかに高い成果を残していく必要があります。そのためにも業務効率化は欠かすことができないのです。
業務効率化で使えるツール
業務効率化を行う上では、様々な手法やツールを利用することができます。
例えば、システムを導入すれば「誰でもできる簡単な業務だけど、やらなければいけない」ような業務を自動化することができます。また、勤怠管理や営業管理、販売管理といった各種管理をシステム化することも可能です。
システム化以外にもアウトソーシングを利用することもできます。ルーチン業務や簡単な作業をアウトソーシングすることで従業員の負担が軽くなるため、本来力を入れるべき業務に集中することができます。
さらに、エクセルのマクロを使って定型的な業務を自動化するという方法もあります。
いずれにしても、業務効率化のために活用できるツールは多数存在するので、自社にあったものを選んで利用してみてください。
生産性向上との違い
「業務効率化」と合わせてよく使われる言葉に「生産性向上」というものがあります。
人によっては両者を同じようなものとして捉えているかもしれませんが、厳密にいうと異なる意味合いを持っています。
業務効率化が、普段の業務における無理や無駄、ムラを省き時間やコストの無駄遣いを無くしてくことを目標としているのに対して、生産性向上は、少ない資源で大きな成果を上げるための取り組みだと言えます。
つまり、業務効率化は、生産性向上を図るための1つの施策と考えることができるのです。業務効率化が進んでいけば、生産性も向上していくという仕組みです。
業務効率化のメリット
ここからは、業務効率化を図るメリットについて解説します。なんとなくいいものとはわかっていても何がいいのか具体的にわからない人もいるかと思うので、確認していきましょう。
コスト削減に繋がる
業務効率化を図ることで得られる大きなメリットの1つがコスト削減です。例えば10時間かかっていた作業を効率化することで、5時間でできるようになれば、5時間分の人件費を支払わなくて済みます。また、電気代なども抑えることができるでしょう。浮いたコストはその分企業の利益につながります。
従業員の賃金上昇に繋がる
業務効率化によってコスト削減はもちろん、無駄な時間を削除することで本来注力するべき業務に力を入れることができるため、会社全体の利益が上がり、結果的に従業員の賃金が上昇する可能性があります。また、賃金以外でも、福利厚生の充実や社内環境の整備に利益をあてることで従業員が働きやすい環境を作れるかもしれません。
従業員のモチベーションを高められる
業務効率化による長時間労働の削減や待遇改善が図られれば従業員のモチベーションも高まります。また、そのような好条件の会社だと離職を防止できるほか、優秀な人材が応募してくる可能性も高くなるでしょう。
従業員のエンゲージメントを高められる
エンゲージメントとは、簡単にいうと従業員が会社に対して信頼していたり、貢献したいという意欲を持っていたりする状態のことです。モチベーションが上がるのと同じように、待遇が良くなり、残業も削減されると、従業員は会社に対する信頼度が高まり、もっと会社に貢献したいと思うようになると考えられます。
業務効率化の方法とは?
ここからは、業務効率化を実際に進めていくための具体的な方法について解説します。
業務の洗い出し・ムダの排除
業務効率化を図るためには、まず、自社でどのような業務を行なっているのか、また、どんな業務が無駄・無理・ムラなのか洗い出す必要があります。
例えば、従業員に対して無駄・無理・ムラのある業務を聞き出してみるのも1つの方法です。
その中で誰でも行えるルーチーンワークがある、資料のフォーマットが部署ごとに異なっている、会議が多いといった無駄・無理・ムラが出てきたら、それらを排除するようにします。
人事制度や社内規定の改定
業務効率化を進めるうえで重要なのが、職場環境の整備です。例えば、残業時間を削減するのであれば、評価体系を見直して残業時間が多い人の評価が悪くなるようにする、といったイメージです。
ツールの整備と活用
業務効率化は人の手だけではなく、IT製品など各種ツールを活用することでも進めることができます。
例えば、文書管理を電子化することで資料の共有や決裁までのスピードをアップさせる、チャットツールを導入することで、社内コミュニケーションをスムーズにするといったことが挙げられます。
また、RPAと呼ばれるソフトウェア型のロボットを活用すれば、社内における事務作業を人間の代わりに行うことも可能です。ロボットなので、一定のスピードでミスなく業務を遂行してくれるため、従業員の負担も軽くなるでしょう。
そのほかにも、営業支援ツールや顧客管理システム、名刺管理ツール、Web会議システムなど便利なツールは多数存在するので、自社にあったものを選んでみてください。
アウトソーシングサービスの利用
先ほども触れていますが、アウトソーシングの利用も業務効率化を図る際の1つの選択肢となります。アウトソーシングは簡単にいうと社外の人に業務や作業を行ってもらうことです。
特定の分野を強みとしてアウトソーシングを受注している企業や個人も存在するのでそのような人たちを活用することで専門知識を持っている人をわざわざ採用しなくても専門性の高い仕事をこなすことができます。
業務効率化についての教育研修
会社として業務効率化を図ろうとしても、実際の業務を行うのは従業員であるため、従業員一人ひとりのスキルアップも欠かせません。
そのために有効なのが社内外における教育研修です。特定のスキルについて学んでもらうことで業務効率化が図れるようになるかもしれません。
業務効率化で気を付けたい点
業務効率化を進める上ではいくつかの点に注意する必要がります。続いては具体的な注意点について解説します。
自社に合わない施策を導入してしまう
業務効率化に有効だからといって、何でもかんでも導入しようとするのは間違いです。例えば、従業員の数が少なくコミュニケーションが取りやすいのにコミュニケーションツールを導入する、ルーチーンワークでない業務に対してRPAを導入するといったことは、かえって新たな無駄を生み出してしまうかもしれません。
導入前に施策をシミュレーションしていない
業務効率化のために新たなツールなどを導入する場合は、必ずシミュレーションしておくことが重要です。このツールを導入することでどのようなメリットが得られるのか、それにかかるコストはどのくらいなのか、など実際に施策のシミュレーションを行い、想定される課題などを洗い出しておきましょう。場合によってはそのツールの導入を断念することもあるかもしれません。
業務効率化の取り組み事例4選
最後に業務効率化の具体的な取り組み事例を4つ紹介します。
取り組み事例【1】業務の自動化による業務効率化
この企業では、社内システムで顧客のステータスを変更するのに従来は30分~〜40分程度の時間がかかっていました。
また、顧客からの問い合わせを受けて適切な顧客ステータスを導くのにも時間がかかり、その過程では多数のミスが発生している状態でした。スタッフの教育には時間がかかることもあり、その企業は常に人手不足の状態だったのです。
そこで、この企業は顧客ステータスの変更にRPAを活用し、自動で作業を行えるようにしました。RPAの導入によってステータス変更の手順を大幅にカットすることができ、1件あたりの所持にかかる時間も1分程度になるなど大幅な無駄を省くことに成功しています。
また、従来はベテランスタッフ10人体制で作業していたものが、新人スタッフ1人で対応できるようにもなっています。
取り組み事例【2】人事評価制度を活用した業務効率化
人事制度の見直しをすることで業務効率化を図った企業もあります。こちらの企業では、残業を行う際の事前申請制度を導入し、業務量や労働時間の管理を徹底的に行うようにしました。
これによって従業員は1つ1つの業務に対して「どのくらいの時間がかかるのか」ということを考えるようになり、仕事に取り組む意識が変化したそうです。
また、従業員を管理する管理職の人事考課にも、部下の残業時間に関する項目が追加され、部下の残業時間が管理職の人事考課に大きく影響するようになりました。それによって管理職側も部下の残業時間を減らすための対策を取るようになり、結果的に会社全体として、業務効率化を図るようになったそうです。
取り組み事例【3】アウトソーシングサービスを活用した業務効率化
機器メーカーであるこちらの企業は、自社工場を持っておらず、製品の製造をアウトソーシングし、販売も直販のみとしているのが特徴です。
製造をアウトソーシングにすることで従業員は商品企画の立案と営業により注力することができます。また、直販にすることで営業担当者はお客さんの課題を把握しやすくなり、その課題を商品開発に反映することも可能になっています。
このように、コア業務だけに注力する環境を整備することで業務効率化を図っているケースもあります。
取り組み事例【4】教育研修を利用した業務効率化
教育研修を行うことで業務効率化を図ったケースもあります。こちらは、ドーナツチェーンを展開する企業での事例です。
この企業では、店舗によって指導力や研修結果にばらつきがあることが課題でした。そこで、動画共有サービスを導入し、全店舗で同じ教育が受けられる体制を整備しました。
この動画では、接客技術はもちろんドーナツづくりのスキルやコーヒーを淹れるスキルなど店舗で必要とされる業務を全て学ぶことができます。これによって店舗ごとのばらつきを無くし、サービスを標準化することに成功しました。
まとめ
今回は業務効率化についてその概要から具体的な行い方、行う際の注意点、事例などについて解説しました。働き方改革が叫ばれている昨今、業務効率化は各企業にとって非常に重要な問題です。まずは普段の業務の洗い出しから始め、無駄・無理・ムラの排除に取り掛かるようにしてみてください。