スペシャリストと聞くと、専門家や専門性の高い仕事をしている人と想像がつくと思います。特に、技術や研究職、IT関係で働いている人たちをイメージする人も多いと思います。
では、ジェネラリストと聞くとどのようなイメージを持たれているでしょうか?
ジェネラリストはスペシャリストの対義語であり、広範囲にわたる知識を持つ人となります。
ビジネスの世界では、ジェネラリストとスペシャリストに別けて考え、自分のキャリアを形成する上でも重要な考えとなってくるのです。
そこで、今回はジェネラリストを紹介しつつ、ナースの仕事を具体例として解説していきます。
ジェネラリストとは
広範囲にわたる知識を持つ人のことをジェネラリストと指します。
企業においてスペシャリストは研究職や開発職として働いている人たちが多いですが、ジェネラリストは管理職や総合職として働いています。
ジェネラリストは広範囲の知識を有するため、企業内での部署異動や異なる業界に挑戦をすることが可能なのです。
ジェネラリストの意味
ジェネラリストは広範囲にわたる知識や経験を持つ人のことです。
総合職・管理職・経営・企画など、専門的な知識よりも様々な知識を使い、臨機応変に対応できたり役職や能力が違う人たちをまとめる仕事にジェネラリストは向いているのです。
特定の知識の習得にこだわらないことが多いので、変化を続ける社会に適応することが出来、日本人の働き方として評価をされやすい傾向がかつてはありました。
ジェネラリストとスペシャリストの違い
スペシャリストは1つの分野を深く習得していく人となります。つまり狭く深く学ぶイメージです。
ジェネラリストは複数の分野幅広く習得していく人となります。つまり広く浅く学ぶイメージです。
それぞれ活かせる職業にも違いがあり、ジェネラリストの場合は先ほど紹介しましたが、
スペシャリストの場合は医師・研究員・士業・建築士・料理人などの職業で働く人が多いです。
ジェネラリストとスペシャリストは知識や技術を習得するためにかける時間も違います。
ジェネラリストは幅広く学ぶ為に、1つの分野にそこまで時間をかけることが出来ません。しかし、スペシャリストの場合は1つの分野で深く学び技術を身につけるので時間がかかるのです。
ジェネラリストが必要な理由
企業の場合はジェネラリストの存在が重要となってきます。経営や管理職はジェネラリストのほうが向いていると言われています。1つの分野でしか経験のないスペシャリストの場合、管理職となった時に分野の違う部下にアドバイスや仕事を管理することがとても難しくなります。
さらにジェネラリストはコミュニケーション能力も高い傾向にあり、企業や組織を運営していくためには、ジェネラリストが必要不可欠なのです。
ジェネラリストになるために
自分のキャリアを考える上で、スペシャリストかジェネラリストのどちらになるのかが重要となることがあります。もし企業で昇進して管理職になりたいと思ったり、総合職として就職したい場合はジェネラリストとしての能力や知識が必要となります。
ジェネラリストとしてキャリを築くメリット・デメリットを紹介します。
ジェネラリストとしてキャリアを築くメリット
ジェネラリストとしてキャリアを築くメリットとしては、企業内での昇進や昇給が早い、異分野への挑戦がやりやすい、総合職や管理職で活躍が出来る、公務員や大手企業への就職がしやすく安定した給料を得ることが出来るなどがあります。
ジェネラリストとしてキャリアを築くデメリット
ジェネラリストのデメリットは、特色が出ない場合は転職が難しい、転職できたとしても1から仕事を覚える必要がある、学生の頃に勉強したことが仕事と直結しない、古い組織の場合は年功序列に従わなければならないなどがあるのです。
スペシャリストからジェネラリストになる道も
1度スペシャリストやジェネラリストになると、変われないと思うかもしれませんがそんなことはありません。スペシャリストからジェネラリストになることも可能なのです。
ジェネラリストがスペシャリストになろうとする場合、知識を深めるために相当な時間がかかってしまいます。
しかいスペシャリストであれば、1つの知識を深めているので、他の知識を少しずつ経験して増やせば良いのです。
例えば、専門の知識を使う部署の場合は、部下への指導が適切にできますし、同じ分野の仕事なのでコミュニケーションも取りやすく、スペシャリストからジェネラリストになるための第一歩とすることが出来やすいのです。
ジェネラリストとして働くために必要な能力
次はジェネラリストとして働くために必要な能力です。
どのような職種やメリット・デメリットを紹介してきましたが、ジェネラリストになるためにはどのような能力が必要となるか気になると思いますので、紹介します。
コミュニケーション力
経営や管理職、他分野の部署を渡り歩くためにはコミュニケーション力が必要となります。
特にグループの上に立つ人間としては、部下とのコミュニケーションが取れなければ仕事を上手く進めることが出来ません。
マネジメントスキル(調整・交渉力)
営業としての交渉力、組織内での調整とジェネラリストとしてはマネジメントスキルが必要となります。ジェネラリストは何かを発見したり作り出すよりも、チームや組織に目標を達成させるために働くため、マネジメントが必要となってくるのです。
柔軟性
柔軟性が無ければ、管理職として部下をまとめたり、新たな分野の知識やスキルを習得することが難しくなります。特に営業・総合職などは柔軟性が必要となりやすいです。
問題解決力
問題解決力がなければ、管理職としての責任を果たすことができません。
特にチームや他社を相手にする仕事であれば、問題解決力が必要不可欠となってきます。
客観的な視点
ジェネラリストは多彩な分野の知識を有するために、客観的な視点で物事をとらえることが出来るようにならなければなりません。特にマネジメントや企業が求める結果を出すためには、客観的に物事をとらえて結果を出さなければなりません。
ジェネラリストナースとは?
ナースの仕事は、スペシャリストとジェネラリストに別けて考えることが出来ます。
医療という専門性の高い職業のため、スペシャリスト向きの仕事であるイメージがありますが、ジェネラリストのナースとして活躍する場も多くあるのです。
ジェネラリストとして働くナース
ジェネラリストナースとは様々な領域で働けるナースのことを指します。
病院に行くと、内科・外科・耳鼻科・精神科などの多くの科ごとに分かれています。
そこではその科を専門とした医者やナースが働いていますが、ジェネラリストナースは1つの科だけではなく、内科・外科・精神科と複数の科で知識や技能を応用発揮できるナースのことです。
スペシャリストとして働くナース
スペシャリストとして働くナースは、先ほど紹介したジェネラリストナースとは対象的に、1つの科で専門的に働くナースです。そのため、他のナースよりも特定の科で卓越した技術や技能を持っているナースとなります。
ジェネラリストナースとして働くメリット・デメリット
メリット
もともと看護師の需要は高く、転職をしやすい職業ではありました。ジェネラリストナースとなるとさらに転職がしやすく、経験や知識が幅広く応用力があるので、未経験の科の求人でも対応ができるのです。
デメリット
スペシャリストのナースと同じ科では、技術的にも知識的にも置いて行かれることや、新しい分野に挑戦する度に多くの勉強が必要となります。
ジェネラリストソーシャルワークとは?
実は最近ジェネラリストソーシャルワークへの注目が集まり始めているのです。
ジェネラリストソーシャルワークの意味
ジェネラリストソーシャルワークは、医療や介護などの社会福祉サービスを提供援助するソーシャルワークに、変わりゆく社会や環境や利用者それぞれの背景に対応できるように、ジェネラリスト的に幅広い知識や経験が必要ということで、ジェネラリストソーシャルワークは生まれました。
社会福祉サービスを提供する上で、利用者一人一人の症状や背景が違うと同時に、変わり行く社会や制度に対応しながら、最適なサービスを提供するためにはジェネラリストソーシャルワークが必要なのです。
ジェネラリストアプローチとは
例えば、サービスの利用者を男女や年齢などの区分で分けると、適切に対応できていなかったりします。そこでそういった区分分けを排除して、新しく包括的に全ての情報から判断をして区分を体系化しようという働きをジェネラリストアプローチと言います。
ジェネラリストソーシャルワークの効果や必要性
日本では高齢化社会の到来からジェネラリストソーシャルワークの必要性高く、社会福祉サービスの複雑化が予想されるからです。利用者それぞれに合わせた課題を解決するためには、これまでのような限られた知識や技能だけでの対応が難しくなってくるからです。
ジェネラリストソーシャルワークの課題
社会の多様化が進む中で、社会福祉サービスも多様化が進みます。多様化に対応するためにジェネラリストソーシャルワークが必要となるのですが、あまりにも対応できる幅や考慮する材料が多くなり、覚える知識や技能の幅も広くどこまで対応するのか判断が難しくなるのです。さらにジェネラリストソーシャルワークの理論や定義が体系化されていないという状態も続いているのです。
まとめ
ジェネラリスト・スペシャリストの両者に優劣はありません。開発や研究職の場合はスペシャリストでなければ結果を出すことが出来ませんし、幅広い仕事をしなければならない公務員や総合職などではジェネラリストとしての能力が求められます。
これからの時代、さらに働き方や社会は多様化していくと予想されます。そこに対応していくためにも、スペシャリストからジェネラリストへの転換や逆の転換を行うことも可能です。
ただ、どちらにもこだわることがなく、広く深く学び能力をつけるスペシャルジェネラリストを目指すのが、今後の日本で活躍するためには必要なのかもしれません。