近年の急速な技術の進化により、ビジネスにおける課題は複雑化しています。
緊急の問題だけでなく、企業は常に迅速な対応をすることが求められています。
そこで今注目されているのが、素早く正確な解決へと導く「タスクフォース」です。
多くの企業が「タスクフォース」を取り入れて業務の効率化や利益アップに役立てています。
今回は、「タスクフォース」の意味・メリット、成功事例まで、まとめてご紹介しましょう。
タスクフォースとは
「タスクフォース」とは、緊急性の高い問題が企業に生じた際に、各部署から優秀な社員が集まり、迅速な課題の解決のために力を合わせるチームです。
例えば、お客様からのクレームが企業にとって致命的なイメージ低下に陥りそうな場合、信頼回復のために速やかな対策が求めらます。
各部署から横断的に優秀な社員を選び、チーム一丸となって問題解決にあたるのがタスクフォースです。
タスクフォースの意味や由来
タスクフォースの本来の意味は、アメリカ海軍をはじめとする「軍隊の機動部隊」、「合同任務部隊」を指す軍事用語です。
ビジネスにおけるタスクフォースとは、不祥事やクレームなど、早急に解決すべき課題のために、各部門から召集されたメンバーから成るチームです。
近年のイノベーションの進化、技術革新により、企業は迅速な意思決定と行動が求められるようになりました。
従来のピラミッド型経営からグローバル経済に対応できる組織改革が求められているのです。
タスクフォースとプロジェクトチームの違い
最近は、タスクフォースは「プロジェクトチーム」と同じ意味で使われることもあります。
「プロジェクトチーム」はどちらかと言うと、比較的長期的な課題やテーマを扱う組織を呼びます。
一方で「タスクフォース」は緊急性が高く、短期間での目的達成が必要なケースのことです。
「プロジェクトチーム」は目的が達成されるまでの長期間なプロジェクト、「タスクフォース」は緊急性が高く短期間なプロジェクトだと言えます。
タスクフォースとワーキンググループとの違い
「ワーキンググループ」とは会社運営に関わる様々な仕組みを検討し、改善提案するボトムアップ型の小グループです。
調査や決められた計画を実行に移す実務的な作業を担当するチームのことを言います。
「タスクフォース」は、問題や課題が発生した時に特別に編成されるチームであり、速やかな解決のために日常業務を離れ、特命遂行に尽力します。
タスクフォースのメリット
ここからは、企業が課題解決のためにタスクフォースを導入する最大のメリットを見ていきましょう。
課題にスピーディーに対応できる
タスクフォースは、緊急性の高い経営課題を解決するために、組織横断型の一時的な組織です。
近年の急速なグローバル化により、サプライチェーンを海外企業に委託する企業が増えています。
その影響もあって、予測不能な不祥事が増え、即効性の高い対応策が求められているのです。
タスクフォースは、各部門から専門性能力の高い人材を集めて、チーム全体で緊急性の高い問題や課題に注力します。
それぞれは既存の役職やタスクを一時中断するため
迅速な課題解決へ繋がるのです。
組織横断型の取り組みが可能
タスクフォースは、事業開発や新商品開発といった組織横断型プロジェクトを推進する際にも結成されます。
各部門の技術者や専門家の考えや意見を統合して、イノベーションの創出に役立つのがメリット。
タスクフォースは、各部門の利害関係を超越して組織問題の把握・解決に繋がるのです。
他部門の召集メンバーに課題を共有することで、解決することもあります。
マネジメントスキルやチーム力の向上につながる
タスクフォースは複数人で経営・事業戦略を練るため、経営幹部たちのリーダーシップの強化、マネジメントスキルやチーム力の向上に繋がります。
タスクフォースを編成する際のポイント
タスクフォースを構築する際には、適切なプロセスを踏むことが大切です。
ここからは、タスクフォースを編成する際のポイントをチェックしましょう。
解決する課題を明確にする
緊急性の高い経営課題・問題を解決するためにも、
解決したい課題を明確にすることが大事です。
外部・内部環境を分析し、タスクフォースの存在意義・必要性を認識することから始めます。
タスクフォースが担うべき業務の内容をリスト化して具体的な推進体制の構築を作ります。
全体スケジュールや全体戦略を作成するために解決したい課題を明確化することが大切です。
不祥事への対応だけでなく、新商品の開発・事業開発を目的にしたタスクフォースも同様です。
チーム編成
企画・調査に優れたスタッフや各部門の専門家、強力なリーダーシップと権限を持ったタスクフォースリーダーの存在が求められます。
多くの場合は、執行役員、シニア・マネージャークラスが担当し、具体的な推進体制を構築します。
タスクフォースの業務に集中させるため、既存の部門の業務を中断させることになるので、人事部門との連携、各部門の協力も必要です。
コミュニケーションを活性化させる
タスクフォースは課題を解決するために、作業進捗や調査結果を内外に報告する必要があります。
チーム全体のコミュニケーションを活性化させて、適切なタイミングで調査結果を報告することが大切です。
タスクフォースは課題が解決した時点で解散となるため、一時的な連携が大変重要なポイントです。
タスクフォースを導入した企業の事例
ここからは、タスクフォースを導入している企業の参考事例を見ていきましょう。
ランサーズの事例
ランサーズではスピーディな課題解決のために、タスクフォースを取り入れました。
日常的なプロジェクトチームとは異なり、期間は約4ヶ月、4部署から集結した計20名のチームです。
プロジェクトリーダー1名、プロジェクトマネージャー2名体制、エンジニアは1ライン2~3名体制という構成です。
結果的に、普段関わりのない部署同士での業務知識が広がり、全社視点で物事を解決できるように。
ウェルクスの事例
ウェルクスが全社で取り組んでいる「タスクフォース」は全社員がいずれかのタスクフォースに所属しているのが特徴です。
年度ごとにタスクを提案して、経営会議で必要性を判断し、適したリーダーを指名しています。
「健康経営を進めていく」など、毎年取り組むべき課題をトップダウンで設定しているのが特徴です。
マクドナルドの事例
日本マクドナルド株式会社は、異物混入によるお客様からのお問い合わせ対応の向上のために「お客様対応プロセス・タスクフォース」を設置。
外部の有識者2名(消費生活アドバイザー)を交えて対応プロセスを改めて再検証しました。
適切かつ迅速にお客様に対応できるようにサービス品質を向上させています。
お客様の声をダイレクトにキャッチするための新モバイルツールの導入により、信頼回復に効果が期待されています。
まとめ
「タスクフォース」は、緊急性の高い課題解決にあたる場合が多いのが特徴です。
タスクフォースのメンバーは、組織内の各部署から横断的に抜擢されて、課題を達成したら解散となる一時的なチームです。
従来の長期間にわたる大きなテーマを扱うプロジェクトチームとは異なり、短期間で結果を出しやすいのがメリット。
ぜひ、今後の緊急時の課題解決や、新商品の開発・事業開発のために、「タスクフォース」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。