裁量労働制とは?適用される職種や、メリット・デメリットについて

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裁量労働制とは、出退勤時間の制限がない自由な働き方と生産性の向上を両立することができる労働時間制度です。

適用対象は設計者や技術者など法律が認めた業種のみ適用されます。

今回は、裁量労働制のメリット・デメリット、対象の職種について解説していきます。

裁量労働制とは

裁量労働制とは
法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)の例外を認める「みなし労働時間制」の一つです。

労働時間が労働者の裁量にゆだねられている労働契約のことを指しています。

裁量労働制は、1987年の労働基準法の改正により導入されて、対象職種が増えています。

裁量労働制を分かりやすく簡単に説明すると?

簡単に言えば、実際に働いた時間、労働時間に関わらず、契約した労働時間分を働いたことにしてくれる制度です。  

例えば、裁量労働制の契約において、みなし労働時間を1日7時間とした場合、実際の労働時間が5時間でも9時間でも「契約通り7時間働いた」ことなり、給与も同様に計算されます。

労働時間は労働者個人の裁量に委ねられ、定められた時間の労働があったとみなされます。

対象となる労働者は、労働時間を自分で決定することができるので、決められた時間に出社・退社する必要はありません。

裁量労働制は、生産性の向上を目的としているため
自分で業務の進捗を管理する必要があります。

裁量労働制が適用される職種は?

裁量労働制が適用される職種は、労働基準法で定められています。

「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制 」の2つがあります。

▼専門業務型裁量労働制(専門性が高い職種)

情報処理システムの分析又は設計の業務
衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務 
コピーライターの業務
システムコンサルタントの業務
インテリアコーディネーターの業務
ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
証券アナリストの業務
公認会計士の業務
弁護士の業務
建築士など

全19種の業務

▼企画業務型裁量労働制

経営企画の担当部署や人事・労務の担当部署
財務・経理の担当部署

裁量労働制の場合の残業代やみなし残業について

「みなし残業(固定残業代)制度」とは、労働者に対して時間外労働、深夜労働を想定して、割増賃金を毎月固定の額で支払う制度です。

月20時間の固定残業代がある場合、残業時間が20時間以下でも、20時間分の残業代を支払われます。

裁量労働制における「みなし労働時間」を8時間超とした場合、法定労働時間内のため時間外手当は発生しません。

労使協定または労使委員会の決議で、裁量労働制のみなし労働時間を8時間以上に設定した場合は、労働時間が8時間を超える分につき、時間外手当が発生します。

裁量労働制における遅刻の扱いについて

裁量労働制は、勤務時間は労働者に委ねられているため、始業時間・退社時間は決められていません。

決まった始業時間・退社時間がなく、時間にとらわれない働き方なので、遅刻や早退とはならないのがメリットです。

裁量労働制は、業務の遂行手段、時間配分の決定等以外については、使用者が労働者に対して指示をすることができます。

裁量労働制のメリット・デメリット

ここからは、裁量労働制のメリット・デメリットを見ていきましょう。

裁量労働制のメリット

従業員としては、始業・終業時刻に縛られることがないため、効率的に作業すれば、労働時間を短縮できるのがメリット。

平日の昼間もプライベートの時間や家族のイベントに時間を確保できるようになるのも嬉しいポイントです。

裁量労働制のデメリットや問題点

裁量労働制は、実際の労働時間のトータルは長時間労働になりやすいという結果が出ています。

裁量労働制の1か月の平均労働時間は、通常の労働時間制の労働者よりも約10時間多くなっています。

企業が裁量労働制を採用するメリット・デメリット

企業が裁量労働制を採用するメリット・デメリット
ここからは、企業側からの視点で裁量労働制を採用するメリット・デメリットを見ていきましょう。

企業が裁量労働制を採用するメリット

企業が裁量労働制を導入する最大のメリットは業務効率・生産性の向上を図ることができることです。

従業員に業務の進め方、労働時間の管理を任せることで、個人が効率的に業務を進めることができ、業務効率・生産性の向上に繋がるのです。

実際の労働時間数に関係なく、労使間で定めた1日あたりのみなし労働時間とされるため、残業代を削減するメリットもあります。

みなし労働時間を8時間(法定労働時間)以内とする限りは、残業代を支払う必要はないからです。

企業が裁量労働制を採用するデメリット

デメリットとしては、導入手続きは複雑で手間がかかり、労務管理の負担が増えることが挙げられます。

専門業務型裁量労働制は、労働組合または労働者代表との書面による協定(労使協定)の締結、就業規則の変更などが必要です。

企画業務型裁量労働制の場合も、労使委員会にて決議する必要があります。

労働基準監督署に相談しながら進めることができますが、短期間で採用するならば専門家の社会保険労務士に依頼すると良いでしょう。

裁量労働制と36協定について

裁量労働制であっても、36協定に基づく時間外及び休日労働の適用対象となります。となります。

みなし労働時間が1日8時間を超える場合には、時間外割増賃金の支払義務が生じます。

週1回の法定休日における労働時間であれば休日割増賃金、法定外休日で時間外労働に該当する労働時間については、時間外割増賃金の支給が必要です。

裁量労働制とフレックスタイム制の違い

裁量労働制とフレックスタイム制の違い
フレックスタイム制とは、出退勤時間は自由ですが、実際にオフィスで働いた時間を労働時間とする制度です。

特定の日や週に法定労働時間を超えて労働させることが認められる変形労働時間制度のひとつです。

フレックスタイム制の残業手当は、平均して勤務時間が週40時間を超えた部分を支払います。

一方で裁量労働制は、決めた時間を実際に働いてなかったとしても、逆に決めた時間以上働いてもあらかじめ労使で決めた時間働いたとみなす制度です。

裁量労働制の残業手当は、見込み残業時間より実態の労働時間が多い場合は支払います。

その他の違いは、裁量労働制の場合は、導入できる職種・仕事内容が決まっていますが、フレックスタイム制は決まっていません。

コアタイムとフレキシブルタイムについて

フレックスタイム制度を導入する際は、従業員の意思疎通を確認するために、皆が勤務する時間帯を決めておくと効率的です。

コアタイムとフレキシブルタイムを定める場合は、正確な時間帯を労働組合との労使協定によって決定する必要があります。

▼コアタイム

その企業の労働者は、必ず労働していなければならない時間帯のこと。

正確な開始時間と終了時間を定め、その時間内においては、遅刻・早退・欠勤の制度を採用できます。

コアタイムを設けない場合は、従業員は自由に通勤できる「オールフレックス」となります。

▼フレキシブルタイム

始業と終業の時間は、労働者本人の選択に委ね、自ら働く時刻を自由に選択できる時間帯のこと。

フレックスタイム制のメリット

▼従業員のメリット

自身や家庭の都合に合わせた自由な勤務ができる
出退社の時間をずらすと通勤ラッシュを避けられる
社員が働きたい時間を選択できる
業務効率の向上が期待できる
残業時間は清算期間の総労働時間で判断される
遠方に住んでいる社員も出勤できる

フレックスタイム制のデメリット

▼従業員のデメリット

コアタイムに打ち合わせなどが集中することがある
取引先によっては通常の労働時間制と始業時刻・終業時刻が変わらないことがある
自己管理ができない社員は労働意欲が低下する
他の社員の業務を代わりに行う必要性も出てくる

まとめ

裁量労働制のまとめ
裁量労働制を導入するためには、労働組合又は労働者代表との間で労使協定を締結しなければなりません。

社会保険労務士または労働基準監督署、専門の弁護士への相談を検討してみることをおすすめします。