勤務間インターバル制度とは?助成金や実際の事例などを紹介

勤務間インターバル制度の記事

勤務間インターバル制度は、働き方改革の一環で導入された制度です。うまく活用することで、業務効率アップが期待できます。ここでのポイントは、勤務間インターバス制度のメリットとデメリットを知り、正しく導入することです。今回は、勤務間インターバル制度の概要や具体的な方法、事例まで詳しく解説します。
目次

勤務間インターバル制度とは

勤務間インターバル制度とは
勤務間インターバル制度とは、2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」によって改正された「労働時間等設定改善法」に基づく制度です。終業後、次の始業までに一定時間のインターバルを設定し、心身の回復を促すことを目的としています。

勤務間インターバル制度が注目されている理由

勤務間インターバル制度を導入することで、深夜まで残業したうえに、翌朝早くから働くといった心身への影響が懸念される働き方を是正できます。次の始業までのインターバルが短いと、心身を十分に回復できず、パフォーマンスが低下する恐れがあります。

また、残業時間や労働環境も関連しますが、過労死のリスクが上がる可能性もあるでしょう。勤務間インターバル制度によって、これらの問題のリスクを抑えられます。

EUと日本における勤務間インターバル制度の違い

EUの勤務間インターバル制度では、24時間につき11時間のインターバルを設けることが義務づけられています。例えば、23時に就業した場合は、次の始業時刻は10時以降となります。日本における勤務間インターバル制度には、具体的な休憩時間は定められていません。

休憩時間は各企業に調整が委ねられており、あくまでも導入は努力義務となっています。そのため、勤務間インターバル制度を導入していても十分に機能していなかったり、そもそも導入していなかったりするケースが多いのです。

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インターバル制度を導入するメリット・デメリット

インターバル制度を導入するメリット・デメリット
インターバル制度を導入することには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。導入を検討する前に確認しておきましょう。

インターバル制度を導入するメリット

インターバル制度を導入するメリットは次のとおりです。


・体調を崩す従業員が減る
・パフォーマンスが向上する
・退職率が低下する
・メリハリをつけやすくなる
・ブラック企業のイメージがつきにくくなる

このように、勤務間インターバル制度によって確実に一定の休憩時間を確保できれば、安定的にパフォーマンスが上がり、体調を崩す従業員も減ることが期待できます。近年では、ブラック企業に対する風当たりが強くなっているため、勤務間インターバル制度を導入し、ブラック企業ではないことを示すことも大切です。

インターバル制度を導入する際のデメリットや注意点

インターバル制度を導入する際のデメリットや注意点をご紹介します。

・業務内容に合わせてインターバル時間を決めないと業務に支障をきたす
・部署単位で導入すると不平不満が生まれる恐れがある
・残業を減らすことと同時に行う必要がある
・従業員ごとに始業時間が異なることでチームプレイに支障をきたす

このように、勤務間インターバル制度を導入する場合は、業務内容やチームワークを踏まえる必要があります。むやみに導入するだけでは、業務に支障をきたすことになるでしょう。

勤務間インターバルを導入すると助成金がもらえる

勤務間インターバルを導入すると助成金がもらえる
勤務間インターバル制度の導入を促進するために、条件を満たした場合に助成金が支給されるようになっています。具体的な条件について詳しくみていきましょう。

支給対象の事業主

労働者災害補償保険の適用事業主のうち、次のいずれかの条件を満たしていれば助成金が支給されます。

・勤務間インターバル制度を導入していない
・9時間以上の勤務間インターバルを導入しており、対象となる労働者が該当の事業所における労働者の半数以下
・9時間未満の勤務間インターバルを導入している

支給対象の取り組みや設定

次のうち、いずれか1つ以上を実施する必要があります。

・労務管理担当者に対して研修を行う
・労働者に対して研修や周知、啓発を行う
・社会保険労務士、中小企業診断士などによるコンサルティングを受ける
・就業規則、労使協定等を作成したり変更したりする
5人材確保に向けた取り組みを行う
6労務管理用ソフトウェアを導入、更新する
7労務管理用機器を導入、更新する
8デジタル式運行記録計を導入、更新する
9テレワーク用通信機器を導入、更新する
10労働能率の増進につながる設備や機器を導入、更新する

また、9時間以上11時間未満のインターバルを成果目標に設定し、達成に向けて取り組む必要があります。

支給額など

対象となる経費の合計額の4分の3に相当する金額が支給されます。ただし、成果目標の達成状況に応じて、限度額が定められています。新規導入による取り組みに対する経費で、勤務間インターバルが9時間以上11時間未満の場合は80万円、11時間以上の場合は100万円が上限です。

新規導入による取り組みがなく、適用範囲の拡大か時間延長による取り組みがある場合は、勤務間インターバルが9時間以上11時間未満で40万円、11時間以上で50万円が上限です。

参考・引用:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

勤務間インターバル制度を実際に導入している事例

勤務間インターバル制度を実際に導入している事例
実際に、勤務間インターバル制度を導入している企業の事例をご紹介します。

1.株式会社スナップショット

パッケージソフト開発を手がける「株式会社スナップショット」は、勤務間インターバル制度の導入によって、時間外労働の約30%の減少を実現しています。業務効率の向上によって、製品開発の向上にもつながっていることを実感しているそうです。

また、勤務間インターバル制度の導入によって業務時間が変わることで、取引先とのコミュニケーションに問題が生じる場合がありますが、特にクレームなどはないとのことです。これは、勤務間インターバル制度の導入を決めかねている企業の背中を押す事例と言えるでしょう。

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2.ニトリ

家具メーカーとして有名な「ニトリ」は、10時間の勤務間インターバル制度を導入しました。勤怠管理において、インターバル時間が10時間未満になった場合はエラー表示されるなど、適切に運用することに力を入れています。

また、終業時刻を意識した働き方に変化したそうです。このように、インターバル制度の導入は、結果的に無駄な残業を減らし、従業員の心身の健康を守ることに繋がります。

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3.東邦銀行

東邦銀行は、勤務間インターバル制度の導入により、無駄な残業を減らし、しっかり休憩をとる社風が強くなりました。導入前と導入後で比較すると、52%も時間外・休日労働が減少しており、余った時間を自身の成長のための勉強に使う従業員も増えてきているそうです。

このように、従業員のスキルアップにつながれば、結果的に企業の収益拡大につながるでしょう。

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4.TBCグループ

エステティック業の「TBCグループ」は、勤務間インターバル制度の導入により、エステティック業に対する「休憩を取りにくい」というイメージの払しょくに取り組んでいます。また、導入にあたって勤怠管理を電子化し、管理の質を向上させています。

今後は、労働時間が長くなりやすい店長がしっかりインターバルを取れているかチェックし、さらなる改善に向けて調節していくとのことです。

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5.AGS株式会社

情報処理サービスやソフトウェア開発を手掛ける「AGS株式会社」は、勤務間インターバル制度を完全に導入するとともに、有給休暇取得率100%を目指しています。IT関連の業務は、どうしてもインターバル時間が短くなりやすいのですが、取引先に理解を求めて、インターバル時間の確保を優先しているそうです。

クレームはなく、むしろ勤務間インターバル制度の導入を評価されているとのことです。

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まとめ

勤務間インターバル制度のまとめ
勤務間インターバル制度を導入することで、勤務と休憩のメリハリがつき、パフォーマンスが上がることが期待できます。従業員の健康を守ることにつながるため、離職率の低下や優秀な従業員の確保も期待できるでしょう。働き方改革が叫ばれる昨今では、このような制度をいち早く取り入れることが急務と言えます。

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