労災保険とは?受けられる給付や加入条件・加入対象など

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労災保険は、業務中に不慮の事故で従業員がケガや病気になった際に対応する保険です。各企業に適用が義務づけられているため、必ず覚えておくことが大切です。ここでは、労災保険とは何か、受けられる給付や加入条件、加入対象などについて詳しくご紹介します。

労災保険とは?

労災保険とは?
労災保険とは、通勤中や仕事中などに起きたケガや病気、傷害、死亡などを補償する保険です。該当の事象が起きた際に、適切な手続きを行うことで保険金が給付されます。労働者やその遺族の生活を守ることを目的としています。

労災保険料・労災保険料率について

労災保険料は、支払い賃金の総額に労災保険料率をかけて算出します。賃金には、毎月の給与だけではなく賞与も含まれ、従業員の平均給与に従業員数をかけることで、賃金の総額を算出できます。

労災保険料率は、1,000分の88~1,000分の2.5に分けられており、業種によって異なります。これは、業種によって労災が起こるリスクが異なるためです。

労災の対象になる災害について

それでは、どのような事象が労災の対象になるのか詳しくみていきましょう。

業務災害

業務上のケガや病気、傷害、死亡のことを業務災害といいます。業務に関わっていることが原則のため、業務時間内であっても業務に関係がないケガや病気は対象外です。業務災害としては、機械に指を挟まれたり、営業の外回りのときに交通事故にあったりしたことによるケガが該当します。

そのほか、パワハラによって睡眠障害やうつになった場合も業務災害となります。

通勤災害

通勤災害は、通勤途中に起きたケガや病気、死亡などを指します。定められた通勤ルート以外を通っているときに起きた場合、それが合理的な経路ではないと判断されれば、労災の対象外となります。

また、通勤とは無関係の行動によるケガや病気、死亡も対象外です。通勤災害が適用される例として、通勤途中に電車と接触して死亡したケースや、急な発熱で早退した際に事故でケガをしたケースなどが挙げられます。

労災認定された際に受けられる給付

労災認定された際に受けられる給付
労災認定された際には、次のような補償を受けられます。

療養補償給付

ケガや病気が治癒するまでの労災病院や労災指定医療機関への通院費、医療費などが給付されます。ここでいう「治癒」とは、一般的な医療行為を受けても症状が改善しないとされる状態も含みます。ただし、傷害が残った場合は傷害補償給付の対象となる可能性があります。

休業補償給付

ケガや病気の療養のために働けなくなった場合に給付されます。ただし、休業4日目以降でなければ給付されません。休業補償給付を受けることで、働けないために家賃を支払えないといったトラブルを防げます。

障害補償給付

傷害補償年金と傷害補償一時金に分類されます。

傷害補償年金は、障害等級第1級~7級に該当する障害が残った場合に給付されます。傷害補償一時金は、傷害者等級第8級~14級に該当する障害が残った場合に給付されます。

介護補償給付

傷害補償年金もしくは傷病補償年金を受給しており、「傷害者等級第1級」または「第2級の精神・神経障害および胸腹部臓器障害」に該当するケースで、介護を受けている場合に給付されます。これは、家族や親族などが介護しているケースに限ります。特別養護老人ホームや障碍者支援施設、病院などで十分な介護を受けている場合は、給付されません。

遺族補償給付

死亡した際には、遺族に遺族補償年金・遺族特別年金・遺族特別支給金が給付されます。給付額は、遺族の人数で変動するため、遺族の人数が多いために給付金に不公平が生じることがありません。

ただし、遺族補償年金は「死亡した人の配偶者」または「18歳を迎えた3月31日までの子供」、「60歳以上の父母」などのうち、死亡した当時にその人物の収入で生計を立てていた遺族にだけ給付されます。

該当する遺族がいない場合は、遺族補償一時金のみ給付されるので注意しましょう。

葬祭料

死亡した人の葬祭を行うための費用が葬祭を行う人に給付されます。

傷病補償年金

ケガや病気が1年6ヶ月以上持続している場合、または障害等級に該当する場合に程度に応じた額が給付されます。

その他の給付について

二次健康診断等給付があります。直近に受けた定期健康診断などにおいて、血糖値・血圧・血中脂質の肥満に関するすべての検査で異常値が診断されており、心臓または脳血管の病気の症状が現れていない場合に給付されます。

労災保険の加入条件と加入対象について

労災保険の加入条件と加入対象について
続いて、労災保険の加入条件と加入対象について詳しくみていきましょう。

労災保険の加入条件

従業員が1人以上いる事業所であれば、労災保険に加入する必要があります。ただし、次に該当する場合は、労災保険への加入が義務づけられません。

・官公署の事業のうち非現業に該当する(ただし、現業部門における地方公務員の非常勤職員には労災保険が適用)
・国が直接運営する事業所
・船員保険の被保険者(ただし、疾病任意継続被保険者は対象外)

労災保険の加入対象

労災保険は、正社員でなくても、パートやアルバイト、日雇いなど雇用形態に関係なく加入できます。なお、派遣労働者の場合は派遣元の事業所が労災保険に加入しなければなりません。

例外として、請負による働き方をしている人物や、業務執行権、代表権を持つ役員などは労災保険への加入が認められません。ただし、役員であっても現場で労働している場合は労災保険の加入が必須です。

労災保険の手続き・申請方法について

労災保険の手続き・申請方法について
それでは、労災保険への加入方法や申請方法について詳しくみていきましょう。

請求書を入手して記入する

労災保険の手続きには、保険関係成立届の提出が必要です。行政のページからフォーマットをダウンロードするか、労働基準監督署で入手しましょう。事業所の名称や住所、事業の種類、保険関係成立年月日などを記入してください。

請求書や添付書類などを労働基準監督署に提出する

保険関係成立届を労働基準監督署に提出します。保険関係が成立した日の翌日から10日以内に提出しましょう。また、労働保険料を申告するための労働保険概算保険料申告書や履歴事項全部証明書の写しも必要です。

保険関係成立届以外の書類は50日以内で問題ありませんが、忘れないためにも一緒に提出することをおすすめします。

その他、労災保険に関して知っておきたいこと

その他、労災保険に関して知っておきたいこと
その他、労災保険に関して知っておきたいことをご紹介します。

労災保険の休業補償の支払はいつ?

労災保険の休業補償は、休業補償給付支給請求書を労働基準監督署に提出し、労災保険の適用が認められれば給付されます。審査にかかる日程はさまざまで、一概には言えません。また、災害発生状況によっては調査に時間がかかります。

できるだけ早く申請することで、休業補償給付も早く受けられます。

まとめ

労災保険のまとめ
労災保険は、すべての労働者に加入が義務づけられている保険です。基本的に、一般企業で働いていれば必ず加入することになります。労災保険が適用されると、ケガや病気、傷害、死亡などさまざまなケースで補償を受けられるため、働けない期間の収入を補てんできます。労災保険に加入しているか、勤務先の事業所に確認しておきましょう。また、経営側は罰せられないように必ず労災保険に加入することが大切です。