e-ラーニングとは
eラーニングとはインターネットを介した学習形態のことです。eラーニングで使えるデバイスは、パソコンに留まらずスマートフォンやタブレットでも学習できます。
e-ラーニングの意味・意義について
eラーニングの意味はインターネットを介した学習形態のこと。eラーニングに対置する学習形態は集合研修。集合研修は研修会場に行かないと学習できませんが、eラーニングはデバイスとインターネットに繋がる環境があれば、場所と時間を問わずに学習できます。eラーニングの意義は、 いつでもどこでも学習することができる点にあります。
e-ラーニングの歴史
eラーニングはどのようにして生まれたのでしょうか?eラーニングの歴史を紐解いてみましょう。eラーニングの源流は1950年代のアメリカ。CAI(Computer Aided Instruction)という、コンピュータを使用して教育支援をするという旗印の元に行われた研究・開発でした。
1990年代後半からビジネスの現場にパソコンが使われ、インターネットも普及します。更にインターネットのブロードバンド環境が整備されていきます。ブロードバンド環境のおかげで大容量のデータを高速で通信することができるようになります。そして2000年代初頭、eラーニングが本格的に浸透・定着していくことになったのです。
e-ラーニング普及の背景
eラーニングが人材開発の分野で普及してきた背景には、パソコンがビジネスの現場に普及したことが挙げられます。ターニングポイントとなったのは1995年のWindows95の発売でした。
これまでコンピュータといえば専門家やコンピュータに詳しい人等、一部の人たちが使うというイメージでした。それがWindows95の発売によりコンピュータに触れたことがない人でもコンピュータを使って仕事ができるようになりました。Windows95に搭載されているOffice(Word、Excel等)というソフトがそれを可能にした訳です。
更に、Windows95にはCD-ROMドライブが搭載されていました。CD-ROMを使えば、パソコン上で学習することができるようになります。紙を使った学習ではなく、コンピュータを使った学習、すなわちeラーニング浸透の源流がパソコンの普及にありました。
インターネットの普及
パソコンの普及と共に、eラーニングが普及した背景としてインターネットが普及した ことは極めて重要な事実です。ダイヤルアップ接続の時代から、ADSL、CATVに変わることで、大容量で高速のインターネット通信ができるようになり、eラーニングの意義である「いつでもどこでも学習する」ことができるようになったからです。
スマートフォンの普及
「いつでもどこでも学習する」ことができるeラーニングは、スマートフォンやタブレットという新たなデバイスの登場で一層の普及を見ました。パソコンよりもより手軽なスマートフォン、タブレットはeラーニングの学習に適しています。
移動時間をかけたくない
集合研修の観点からeラーニング普及の背景を見ていくと、集合研修のように 移動時間をかけたくないという受講者のニーズがあります。ビジネスパーソンは常に忙しく、また、専門性やマネジメントの観点で難しい問題を抱えていますから、学習に「移動時間をかけたくない」と思っています。受講者のニーズに応えたのがeラーニングということが言えます。
多様な働き方の推進
日本政府が掲げる働き方改革では、一億総活躍を名目に、性別や年齢、障害の有無等に関わらず活躍することができる多様な働き方を推進しています。子どもを育てながら、障害を抱えながら…といった様々な背景のビジネスパーソンの人材開発を進めるためには、時間や場所に捉われる従来の集合研修よりも、eラーニングのように いつでもどこでも学習できる方がニーズに応えていると言えます。
e-ラーニングのメリット【受講者サイド】
次に、受講者サイドから見たeラーニングのメリットを見ていくことにしましょう。
いつでもどこでも学習できる
本稿で繰り返し言及している通り、 いつでもどこでも学習できることが受講者にとっては便利であり、メリットです。
自分のペースを保って学習できる
eラーニングは、研修の講師や他の受講者に合わせて学習しなくても良いため、自分が学習したい時に、学習したい場所で学習できます。例えば、1週間のうち土日に集中して学習したいと思ったらその通りに学習できますし、反対に「今日は仕事があるからやりたくないな」と思ったら別の日に学習することもできます。
eラーニングを通じての目標成果はそのままに、自分のペースを保って学習することができる のがメリットということですね。スケジューリングをしっかりできる受講者にとっては、eラーニングは非常に適していると言えるでしょう。
動画による学習のために理解が早い
eラーニングには様々な学習方法がありますが、 動画による学習もあります。テキストを読んで文字を追うよりも、動画の方が理解しやすいため、時間を効率的に使って学習することができます。日常の業務をこなしながら学習するビジネスパーソンにとって、効率的に学習できれば、短期間で学習成果を出せます。
e-ラーニングのメリット【企業サイド】
企業サイドから見たeラーニングのメリットを見ていきます。
受講者の進捗管理が容易にできる
eラーニングには企業の管理者を付けることができます。企業の管理者として人材開発担当者が担えば、受講者がどれだけ学習しているのか、進捗管理が容易にできます。学習効果がよく分からないと言われる集合研修に比べて、パソコンのデータ上で進捗管理ができれば、教育制度の充実化を図ることも可能です。
ランニングコストを削減できる
eラーニングはイニシャルコストがかかりますが、初期費用さえ払っておけば後はインターネットとパソコンで学習できるため、ランニングコストを削減することができます。また、時間や場所を問わずに学習できるeラーニングは受講者の人件費を削減できるので、これもランニングコストを削減できることに繋がります。
e-ラーニングのデメリット
eラーニングにもデメリットがあります。デメリットを2つ、ご紹介しましょう。
リアルタイムに講師に質問できないことがある
eラーニングには様々な受講形態がありますが、集合研修のような、講師と受講者との双方向性の高い教育にならないことがあります。いつでもどこでも学習できるという意義を考えれば、例えば動画も、講師が既に録画済みの動画によって学習することになる訳です。
そうなると 分からないことがあってもリアルタイムに講師に質問できないことになり、思うように理解が進まないこともあり得ます。ただ、「いつでも」という利便性を低くすれば、パソコンを使ってリアルタイムで同時に受講できるeラーニングもありますので、全てのeラーニングに双方向性が低いということではないです。
イニシャルコストが高い
eラーニングはイニシャルコストが高いです。テキスト、教材費等が最初にかかります。社員の人数が多ければ多いほど、イニシャルコストは高く見積もる必要があるでしょう。ただし、近年はクラウド型のeラーニングのように廉価なイニシャルコストで導入できるeラーニングも増えつつあります。
まとめ
eラーニングの歴史、普及の背景、そして受講者サイド、企業サイドのメリットと共に、デメリットを見てきました。集合研修の良いところもあるでしょうから、eラーニングを全て集合研修に代替させる必要があるか否かは、本稿を読んで頂きながら自社に合った人材開発を進めて頂ければと思います。