住宅手当の相場はどれくらい?支給条件・住宅手当がない企業について紹介

住宅手当の記事
家計に占める家賃の存在は労働者にとって大きな固定費としてのしかかってきます。でも住宅手当があれば、家賃の負担を軽減することができます。企業によって住宅手当の金額が違いますが、気になる相場はいくらなのでしょうか?また、全ての労働者が住宅手当をもらえる訳ではないので、支給条件も知りたいですよね。記事では、住宅手当に関する諸々の疑問点について解説します。
目次

住宅手当とは

住宅手当とは

住宅手当とは、住宅費用を補助するための手当のこと。支給条件に応じて金額が支給されます。住宅手当は、持ち家に対する補助と賃貸に対する補助の2つに分かれます。住宅手当の支給方法は企業によってまちまち。毎月、給与と共に支給される企業もあれば、3か月ごととか6か月ごとにまとめて支給される企業がある等、対応がバラバラです。住宅手当は企業の福利厚生なので、支給方法は企業の方針で決定することができる訳です。

持ち家に対する補助

持ち家に対する補助は、社員名義で自宅を所有している場合に住宅手当が支給されます。

賃貸に対する補助

賃貸に対する補助社員名義で自宅を所有している場合に住宅手当が支給されます。

住宅手当は課税対象である

住宅手当は収入と解されるため課税対象なので所得税が徴収されます。ただし、住宅手当ではなく企業がアパートを契約して社員に社宅を提供する場合は、非課税です。社宅にするためには社宅のルールを決めたり、アパートの手配をしたりする等、ルール設計や運用が大変なので、非課税になることをもって住宅手当から社宅にするのは現実的とは言えません。

住宅手当は福利厚生の1つ

住宅手当はアパートを借りていたり、自宅を持っていたりする社員に対する福利厚生です。福利厚生サービス・資格取得奨励金・社員旅行等と同じです。

住宅手当の支給条件

住宅手当の支給条件

住宅手当は、自宅を所有していたりアパートを借りていたりすること以外にも支給条件があります。細かく見ていきます。

正社員であるか

正社員であることは、住宅手当の支給条件に置いている企業が多いです。住宅手当以外にも資格取得奨励金・福利厚生サービス等、正社員だからということで福利厚生を得られます。

全国展開している企業であれば、正社員は転勤がありますので、住宅手当を支給することで転勤時の住宅費用を負担することができます。転勤があるのに住宅手当や社宅がないとすると、企業へのロイヤリティが低くなり離職リスクとなり得ます。そういったことも加味して正社員であることを住宅手当の支給条件としている企業もあるのです。

持ち家か賃貸か

住宅手当の支給条件として、持ち家か賃貸かがあります。賃貸なら家賃の何%、あるいは地域ごとに条件を定めるような運用です。持ち家でも賃貸でも住宅手当を支給してくれる企業もあれば、どちらかしか認めない企業もあります。その場合、持ち家よりは家賃の方が、住宅手当が支給されやすいです。理由は様々ですが持ち家の場合、売却しない限りは住み続けるので企業の固定費がいつまでも減らないことが推測されます。

ちなみに、持ち家でも賃貸でも住宅手当が支給される場合でも、金額は賃貸の方が高いことが多いです。例えば、扶養家族ありの賃貸の住宅手当は23,497円です。一方、持ち家の場合は18,322円です。50,000円近くの差があります。以上は「東京都産業労働局・令和元年版賃金事情」によります。

夫婦が同じ企業で働いている時

夫婦が同じ企業で働いている時、住宅手当は支給されますが、賃金・持ち家のいずれにしても、名義がどちらなのかによって支給される対象が異なります。夫に名義がある場合は夫に支給されます。持ち家で共同名義の場合は、夫婦のどちらかが多く負担している場合はそちらに支給されます。同じ割合なら企業と相談して取り決める段取りになるでしょう。

持ち家だが実家暮らしの時

持ち家だが実家暮らしの時もあります。その際は、住宅手当は支給されません。持ち家といっても、名義が社員本人ではないからですね。家族名義の場合は自分が家賃を払っていると主張しても支給されません。例外的に、社内ルールで、家賃を支払っていることが口座引き落としで判断できる場合は家族名義でも住宅手当が支給されることもあるでしょうが、口座引き落としを確認する手間がかかり運用が煩雑となります。

住宅手当の相場はどれくらい?

住宅手当の相場はどれくらい?

住宅手当の相場はどれくらいか、平均支給額を見ていくと共に計算方法を確認します。

住宅手当の平均支給額

住宅手当の平均支給額は17,000円です(2015年就労条件総合調査)。ただしこれは全ての規模を含めた住宅手当の平均です。規模別で見ると以下の通りになります。

・従業員1,000人以上:19,333円
・従業員300~999人以上:17,818円
・従業員100~299人以上:15,832円
・従業員30~99人以上:14,359円

住宅手当の計算方法について

住宅手当の計算方法について説明します。毎月、住宅手当が支給される場合、手当額が17,000円だとすると毎月の給与に上乗せされて支給されます。社員は支給された17,000円から家賃を払っていく訳です。3か月分のように合算して支給される場合は、51,000円が支給され、その中から毎月分の家賃を支払います。

しかも住宅手当は支払うだけでは終わりません。支給の対象者を把握したり、支払いの停止を行ったりといった手続きを要するのです。

住宅手当は不公平か

住宅手当は不公平か

住宅手当が不公平かという議論がありますので説明します。

住宅環境で給料が変わってしまう

住宅手当が支給されるのは、持ち家の社員かアパートを借りている社員のいずれかです。住宅手当は福利厚生の1つですが、手当はお金ですから住宅手当がもらえれば実質的には給料アップです。ということは、住宅環境で給料が変わることなので、例えば実家暮らしの社員からは不公平に感じる面があります。また、賃貸している人のみ手当が支給される場合、持ち家の社員から不公平感を持たれる可能性があるのです。

家族が多いほど不公平感が募る

扶養家族がいる場合に、住宅手当金額を多くする運用をしている企業があります。単身なら17,000円ですが扶養家族がいる社員には34,000円を支給しているような場合です。ただし、扶養家族の数については考慮している企業と考慮していない企業に分かれます。とはいえ運用が大変なので家族数を考慮しない運用が多いと思いますが、そうなると家族が多いほど不公平感が募ることになります。

住宅手当がない企業について

住宅手当がない企業について

住宅手当は固定費であり、年間にならすと企業の負担として大きくのしかかってきます。そのため、住宅手当がない企業もあります。

住宅手当の企業側の負担増

手当を支払う企業の立場に立つと、住宅手当は企業側の負担増です。住宅手当は、例えば従業員が100人の会社で住宅手当の対象者が30人いるとしましょう。住宅手当の額が17,000円だとすると、毎月の住宅手当は510,000円。ところが年間で考えると6,120,000円にまで上ります。住宅手当は変動費ではないので、毎年600万円超の固定費がかかる計算です。住宅手当は、企業の負担として大きくのしかかってくるのです。

同一労働同一賃金による住宅手当の廃止

日本政府により推進されている同一労働同一賃金により、正社員・非正規社員間の待遇の格差が見直されています。その中には福利厚生の差別的待遇の是正も含まれます。職務内容が同じなら、同じ賃金にせよという同一労働同一賃金は、正社員に住宅手当を払っているなら、非正規社員に払うべきという論理です。

ただでさえ住宅手当は、固定費として企業に重くのしかかるのに、さらに非正規社員にまで支給が拡大すれば、住宅手当だけで莫大な金額になり住宅手当のために事業運営を圧迫しかねません。従って、同一労働同一賃金の観点から住宅手当の縮小、もしくは廃止を認める企業が出てくるのです。住宅手当の支給条件に「正社員であること」を前述しましたが、同一労働同一賃金の流れから少しずつ条件が変わってきています。

まとめ

住宅手当のまとめ

住宅手当は、住居費用を補助する手当のことで、アパートを賃貸していたり持ち家を持っていたりする社員にとってはありがたい福利厚生です。住宅手当の支給条件は持ち家・賃貸、夫婦が同じ企業で働いている時などで変わってきます。住宅手当はお金なのでもらえる分には嬉しいですが、全社員が支給の対象者ではないので、場合によっては不公平感が出ることもあるのです。

よかったらシェアしてね!
目次