副業解禁は国が推奨!副業解禁が進んだ背景・企業事例5選を紹介

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皆さんの周りで副業している人はどれだけいますか?まだ、副業はそれほどポピュラーではないかもしれません。しかし実は、副業解禁は働き方改革の一環で厚生労働省により推奨されています。副業に魅力を感じる人も増え、副業解禁を認めないと、企業は人材を採用できないかも!?記事では副業解禁が進んだ背景・企業事例5選を紹介していきます。

副業とは?

副業とは?

副業とは本業以外の仕事を言います。長らく日本では本業が認められていませんでしたが、厚生労働省が副業解禁のガイドラインやモデル就業規則を公表したことで、副業が解禁されつつあるんですね。現在、副業を禁止することが違法になる程に法の強制力はありませんが、「副業なんかダメだ!本業に専念するべきだ」という考えが薄れていく可能性を秘めています。

国が推奨する副業解禁

副業解禁に踏み切る企業のニュースを見ることも増えました。でも、副業解禁は自社と関係ないと思っていませんか?他社が副業解禁に踏み切るにはちゃんと理由があります。副業解禁は、もはや国策と言っても過言ではない程に国が推奨しているのです。

副業の推奨

働き方改革の一環で国は副業解禁にも力を入れ、副業解禁元年と呼ばれたのが2018年です。この年、厚生労働省は「副業・兼業の推進に向けたガイドライン」を発表しました。ガイドラインでは副業を行うことの労働者・企業サイドのメリットと留意点に触れ、労働省の「希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要」とコメントしています。

モデル就業規則の改定

2018年が副業解禁元年と呼ばれたのにはモデル就業規則の改定の発表があります。2018年に厚生労働省は、モデル就業規則改定をホームページ上で発表して、副業解禁に踏み込む内容にしたことを公にしました。モデル就業規則の従来版と改定版の違いは次の通りです。

◇従来:許可なく他の会社等の業務に従事しないこと
◇改定版モデル就業規則:本業に支障がない限り、労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる

厚生労働省は、モデル就業規則における従来の文言を削除し、副業ができることを触れたのです。モデル就業規則は企業が就業規則を作る際にベースとなるものであり、そのモデルが副業解禁に踏み込んだのですから、もはや副業解禁は国策と言って良い程に国が推奨していることがうかがえますよね。

企業における副業の実態

国が推奨する副業解禁ですが、副業を認める企業の実態はどれくらいでしょうか。リクルートキャリアの調査「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」によると、副業を認める企業の割合は28.8%となっています。まだ割合としては低いですが、副業解禁元年の調査結果なのでこれからといったところでしょう。

リクルートキャリアでは「兼業・副業に対する個人の意識調査(2019)」という調査も行っています。調査によると、副業を経験し自社を振り返ると、本業の仕事の魅力を改めて感じた人の割合が3割に上ったことが分かりました。単なるお金稼ぎとしての副業ではなく、副業を通じて自社の仕事の魅力を感じることに繋がるなら、副業解禁は本業に良い影響を与える可能性を秘めている訳ですね。

副業解禁が進められた背景

副業解禁が進められた背景

副業解禁が進められた背景として3つのポイントを紹介します。

働き方改革

政府は働き方改革を推進し、残業を抑制してできるだけ短い労働時間で付加価値を出すことを求めています。また、働き方改革は1億総活躍を旗印に、多様な人材が働ける社会の実現を目指しています。副業解禁が進められた背景には、働き方改革があります。残業が少なくなり早く自宅に帰宅した人は、家族と共に時を過ごしたり、副業をしたりすることも増えるでしょう。

働き方改革は、これまで転勤ありのフルタイム勤務者ばかりを評価してきた日本企業の伝統から、育児をしながら働く女性労働者が「短い労働時間」の中でも活き活きと働ける社会の実現を目指しています。副業解禁がなされれば、短時間勤務の女性労働者が、育児の隙間を縫って副業をすることも可能。働き方改革を背景として、副業解禁が進んできたのです。

労働力の減少

労働力を計る指標として生産年齢人口があります。これは15歳~64歳の人口を指します。労働者、失業者の他、主婦や労働する意思がない学生等も含めます。さて、日本の生産年齢人口は減少することが予想されています。総務省統計「平成26年版情報通信白書」によると、2013年に7,901万人いた生産年齢人口は、2060年には4,418万人にまで減少することが予測されているのです。

労働力の減少を前にして、企業は手をこまねいているのでしょうか?むしろ労働力を確保しようと思いますよね。そこで企業は、労働力を確保するために魅力的な企業であることをアピールし、人材を引き寄せて定着させる施策を打とうと思っています。それが企業におけるアトラクション&リテンション戦略で、人材を引き寄せ(アトラクション)、定着させる(リテンション)施策です。

魅力ある企業になるには、公平な人事評価制度を構築し、賃金制度を改革し、風通しの良い組織風土を作ります。そして副業解禁もその1つです。労働者が副業に求めるのは単純な収入確保だけでなく、勤務先以外の人材と出会うことによる社会性の広がりや自己啓発、キャリアデザイン等に繋がります。副業ができるということが企業の魅力を高めるファクターの1つになっている訳ですね。

将来の労働力減少に備え、企業は副業解禁をすることで、自社の人材を引き留め、また、労働市場にいる優秀な人材を確保することを目指します。副業解禁は国策ですから、近い将来、転職者の企業選択の基準として「副業解禁していない企業には行かない」という考えがスタンダードになるかもしれません。

なかなか上がらない賃金

日本の労働者の賃金はなかなか上がっていません。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、男性労働者・女性労働者共に、フラットな賃金推移となっており、直近の伸び率では男女共に0.6%程度しか上昇していないことが分かっています。人手不足と言われ、デフレが徐々に改善に向かいつつある中でも賃金が伸びない現状は、玄田有史編・論文集『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』でも探求され、労働市場の需給儒教、賃金制度や行動経済学等の観点から分析されています。

企業が労働者の賃金を上げることができないのか。上げるつもりがなく内部留保を貯めておきたいのか。どんな理由であれ、現状、日本の労働者の賃金は停滞中。労働者もそれを分かっているから副業解禁を企業に求めます。賃金が上がらないなら労働者は副業して収入を増やしたいというシンプルな理由ですね。副業解禁は国策ですから、労働者のニーズがあるなら企業は副業解禁に踏み切るでしょう。リテンション戦略にも繋がるなら尚更です。

副業解禁している企業事例5選

副業解禁している企業事例5選

副業解禁している企業は増え始めています。5社を紹介しましょう。

ロート製薬

ロート製薬は、社外チャレンジワークという制度を構築し社員の副業を解禁しました。本業に支障をきたさないことを条件として副業を認めています。入社3年目以上の社員が対象で、届出制による副業することができます。ロート製薬では副業して良い時間帯を就業時間外や休日に限定しています。社外チャレンジワークでは、業務経験を活かし、地ビール事業を立ち上げた社員もいます。

コニカミノルタ

コニカミノルタは、イノベーションを創出するために副業解禁に踏み切りました。コニカミノルタといえばカメラメーカーのイメージがあると思います。しかし同社のカメラ事業は2006年にソニーに売却しています。この売却は同社に強い印象を残し、イノベーションを重視しなければ、創業事業であるカメラ事業から撤退することもあるのだという教訓に繋がりました。そこで同社はイノベーションを創出するための副業解禁をしました。同社の副業は社員からの申請制となっていて、コニカミノルタに貢献できる副業等を条件に副業を許可しています。コンサルや顧問業務が多いようです。

サイボウズ

IT企業のサイボウズの副業解禁は採用情報にも載る程にオープンです。サイボウズの資産を使う場合を除けば、会社への申請が不要なところが自由です。同社には、サイボウズ社員でありながら、SIerや農業の仕事を持つ人材が生まれています。

新生銀行

新生銀行は、2018年4月からいち早く副業解禁に踏み切りました。大手銀行である新生銀行が副業解禁を実行した背景は、イノベーションの創出でした。ただ、機密情報や個人情報を扱う金融機関ですから、情報漏えいの禁止・競業避止義務・利益相反行為の禁止等については厳格に規定しています。

リクルート

人材サービスや広告事業等で知られるリクルート。リクルートは起業家輩出企業として知られます。それもそのはずで、リクルートの副業解禁は政府の副業ガイドラインが発表される以前からのこと。リクルートで働きつつ副業を経験して、腕を磨きながら独立している人が多いのですね。

まとめ

副業解禁のまとめ

2018年は副業解禁元年と呼べる程、国が副業解禁にコミットした年でした。副業解禁は国策と言える程、国が推奨しているものなので、多くの企業が副業解禁に踏み切っています。その背景としては、働き方改革・労働力減少・賃金の停滞がありました。副業解禁した企業は、イノベーション創出・リテンション戦略等の観点から解禁しています。一方、副業解禁にはしっかりとしたルール設計が必要です。本業に支障をきたすようでは副業解禁をした意味がないですから。企業は短絡的に副業解禁を認めずに、じっくりとルール作りに専念して、アクションを起こし、効果を見計らって下さい。