正社員とは?
正社員は、正社員として企業と労働契約を締結している社員を言います。要は雇用形態の一種です。ただし、労働法上、正社員という言葉が規定されている訳ではありません。あくまでもビジネスの雇用慣行上、正社員という言葉が使われ続けているに過ぎません。
雇用期間の定めのない労働者
正社員は雇用期間の定めのない労働者です。求人票にも「雇用期間の定めなし」といった表記が使われることがあり、そういった求人では採用後に正社員として雇用されます。正社員は雇用期間に上限がありませんが、希望すればどんな年齢でも働けるということではありません。雇用期間の定めがない正社員は、定年まで勤務し続けることができることを意味します。
様々な雇用形態
正社員に対する雇用形態として、契約社員・パート社員・アルバイト・嘱託社員・派遣社員等といった働き方があります。これらの雇用形態の労働者には、雇用期間の定めがあります。
正社員の働き方
正社員の働き方は「定年まで働く」「責任がある」の2つです。詳しく説明します。
定年まで働く
正社員は定年まで働けます。定年というのは、正社員が企業との雇用関係が終了する年齢のことを言います。企業によって定年の年数はバラバラですが、60歳や、60~65歳までが定年と定められることが多いようです。60~65歳は定年の幅を持たせていますが、定年後も労働者が希望すれば65歳まで働けるように法が整備されたので、65歳を定年とする企業側の運用が出てきているという背景があります。
正社員が定年まで働けるというのは、60歳とか60~65歳といった年齢まで安心して働けることを意味します。「いつ雇用契約を打ち切られるか分からない」と怯えることなく定年まで働けるので、正社員は企業で働く社員にとって「目指したい雇用形態」と言える訳です。
責任がある
正社員の働き方のもう1つの特徴は責任があるということです。事例を用いて説明してみましょう。
正社員で働くXくんは、ゲーム開発会社にエンジニアとして中途入社しました。元々、ゲーム開発に関心があったこともあり、新卒で働いていたIT企業の知識・経験が活かせると思ったのです。
Xくんが勤めるゲーム開発会社は、ある時、大手ゲーム会社から受注したスマホアプリゲームを作っていましたが、納期が遅れ気味となっていました。発注元のゲーム会社からの仕様内容変更が何度も重なったことが原因でした。Xくんの部署もプロジェクトに関わり終電近くまで仕事をすることも増えましたが、なんとかプロジェクトは成功しました。Xくんには達成感はあったものの、身体はヘトヘトに疲れました。
正社員として働くというのは、時にはこのように大変な修羅場をくぐらなくてはならないということですね。成果を果たすためには、「私だけは定時で帰ります」という訳にはいかないのです。これが正社員に求められる責任がある働き方の意味合いです。会社には会社方針があり、部署には部署の目的・目標があります。それを達成するために正社員は個人の目標を掲げ、責任をもって仕事を遂行しなくてはなりません。
正社員と他の雇用形態の違い
正社員と他の雇用形態の違いを説明します。正社員でなくても、労働基準法によって守られているので、有給休暇が付与されることがあります。
パート・アルバイト
パート・アルバイトは、時間給で働くことの多い雇用形態です。街中にパート・アルバイト募集の求人が貼ってあることがありますが、正社員ではないので定年もないですし、雇用期間も定められています。
契約社員
契約社員は、パート・アルバイトや派遣社員に比べると正社員に近いと言えます。月給で働く働き方が多いですし、正社員と同じような仕事を任されることがあります。契約によっては賞与が支給されることも。ただ、正社員と全く同じ職務内容なのに正社員と賃金に差があると、同一労働同一賃金の観点からは正社員と同じ待遇にする必要が出てきます。
派遣社員
派遣社員は、派遣企業から企業に派遣されて働く働き方です。パート・アルバイト、契約社員等と違って企業の直雇用社員ではないことが特徴です。企業に派遣社員への指揮命令権はあるものの、雇用関係はなく、職務内容も労働契約により厳格に決まっています。
正社員のメリット
正社員で働けば「定年で働く」以外にもメリットがあります。
雇用が安定している
正社員は定年まで働けるので雇用が安定しています。正社員といっても解雇されることがない訳ではないのですが、解雇については労働基準法で厳格に労働者が保護されており、容易に解雇できないようになっています。以下の通り、解雇するためには解雇の4要件があり、これらを満たさない限り解雇の正当性が認められません。
・評価が公正である
・改善の見込みがなく、改善の機会を与えても成果が出ない
・労働者の能力不足で、業務に支障が生じている
従って、解雇に値するほど酷いことをしない限り、正社員は定年まで安定して働けるのです。
様々な職務を経験できる
正社員で働いていると、様々な職務を経験することができるメリットがあります。企業は正社員に複数の職務を経験させることで、ジェネラリストとして育成しようとしています。色々な職務を経験すればそれだけ仕事の幅が広がります。
昇進・昇格の可能性がある
正社員には昇進・昇格の可能性があります。パート・アルバイトでいくら成果を上げたとしても、正社員にならない限りは昇進・昇格の可能性はないのです。成果を上げたことで時給が少し昇給する程度でしょう。
福利厚生が充実している
福利厚生が充実していることも正社員として働く強みと言えます。正社員は、厚生年金や健康保険のような法律で決まっている福利厚生はもちろんのこと、育児休暇や家賃補助や資格取得手当等の福利厚生を受けることができるためです。
転職に有利である
正社員での勤務経験があることが転職に有利に働きます。企業の採用担当者としても、非正規社員よりは正社員として経験を積んできた応募者の方を採用します。なぜなら、正社員として働いたことが応募者の信頼に繋がっているからです。
正社員として企業に雇用されるためには面接・筆記試験等のハードルを通らなくてはなりません。また、正社員には仕事を遂行し、成果を上げていくことについて責任を持たなくてはならないのです。非正規雇用であれば「責任ある仕事をしてこなかったのだろうか」と採用担当者は思ってしまいますので、正社員の方が転職に有利なのです。
正社員のデメリット
正社員のデメリットを紹介します。
転勤がある
正社員には転勤があります。基本的に転勤の指示には従わなくてはなりません。入社時には転勤の可能性がなかったとしても、事業展開の中で転勤が生じる可能性があります。非正規社員には転勤がなくても、正社員には人材配置の観点から転勤してもらうことになります。企業の人事戦略のために引っ越しを伴う転勤が必要になるのは正社員のデメリットと言えます。
労働時間が長くなりがち
正社員は労働時間が長くなりがちです。責任のある仕事を任されているからこそ、仕事を遂行するために労働時間が長くなるのです。
関心のない仕事もしなくてはならない
正社員は複数の職務を経験しますが、その仕事が必ずしも彼ら彼女らにとってやりたい仕事とも限りません。関心のない仕事も経験しなくてはならないことが正社員のデメリットです。
非正規社員が正社員登用を目指すには?
デメリットもありつつも、雇用の安定や昇進・昇格の可能性等、正社員のメリットは大きいです。非正規社員の人が正社員登用を目指すにはどうしたら良いか解説します。
正社員登用がある契約社員になる
いきなり正社員として雇用されなくても、正社員登用がある契約社員になることで、正社員になることができます。求人票に正社員登用ありとするものがありますので、最初は契約社員として入社し、正社員登用を目指すのも手段の1つです。ただし、労使合意の上、正社員登用されるケースが多いですから、絶対に正社員になれる訳ではないことに注意が必要です。
紹介予定派遣を使う
紹介予定派遣として働き、正社員登用を目指すことも手段の1つです。紹介予定派遣は、正社員登用前提とする働き方なので、正社員登用へのハードルはぐっと低くなります。ただし、契約社員同様、企業と派遣社員双方が合意しないと正社員登用されないので、派遣社員時代にしっかりと成果を残し、企業にアピールする必要があります。
求人サイトで正社員に応募する
正社員になる方法として手っ取り早いのが正社員を募集している企業に応募して、採用されることです。要は、最初から正社員を目指すということです。契約社員や紹介予定派遣になるよりは難しいのですが、日本企業は人手不足なので、有効求人倍率も高く、企業規模や職種によっては正社員として採用されやすいです。
まとめ
正社員を目指して就職活動している人にとって、正社員の働き方やメリット・デメリットは重要な情報です。デメリットもあるものの、非正規社員よりは待遇もよく成長するチャンスもあります。正社員になる方法はいくつかあり、人手不足の現在は正社員になりやすくなっています。