仕事をしていると様々な書類を送る機会がありますが、中でも「内容証明」は取り扱いが難しい書類の一つです。この記事では、内容証明がどのようなものなのか、その概要を解説し、さらに具体的な書き方や出し方などについても解説します。まだ内容証明を送ったことのない人、これから社会人になる人などはぜひ参考にしてみてください。
内容証明とは?
内容証明は「内容証明郵便」として利用できる郵便サービスです。まずは、この内容証明がどのようなものなのか、その概要についてか確認していきましょう。
内容証明の目的
内容証明とは、「いつ・どのような内容の文書が・誰から誰に送られたのか」を証明する制度のことです。
証明にあたっては、文書の差出人が作成する謄本(文書を謄写した書面のこと)が必要となります。
なお、証明するのはあくまでも「文書の存在」であり、その文書の内容が真実かどうかを証明するためのものではないため注意してください。
内容証明の効力
内容証明には、以下の通りいくつかの効力があります。
- 法律上の手続きが行われたことを証明する
- 請求に対応しようとしない相手に心理的なプレッシャーを与え支払いをしてもらう
- 自分たちの意思・意向が固く変わらないことを明確に示す
- 裁判に備えて、自社の主張が最初から一貫していることを示す
どんな場合に内容証明を書くのか
ここでは、内容証明をどのような場合に書くのか、具体的なシーンについて解説します。
契約取消・契約解除
1つ目のケースは、契約の取り消しや解除を行う場合です。
それまで取引のあった取引先の企業や個人との契約を解除する場合に内容証明を送ります。
内容証明があることで、正しい手続きで契約解除を行ったことを証明することができます。
未払い代金の督促
2つ目のケースは、未払いの代金の督促を行う場合です。
取引先がいくら請求しても代金の支払いをしてくれない時に、支払いを督促するために内容証明を活用することができます。
先ほども説明しているように、内容証明が送られてくると受け取った取引先は心理的なプレッシャーを感じるため、回収がしやすくなると考えられます。
損害賠償請求
3つ目のケースは、損害賠償請求を行う場合です。例えば、自分たちの会社の著作権を侵害している、商標権を侵害しているといった時に、侵害している相手企業・個人に対して損害賠償を請求する旨の通知を送る際に内容証明を活用することができます。
もちろん内容証明を送ったからと言って、著作権などを侵害している相手が支払う義務が生じるわけではありません。この場合は、内容証明に「期日までに支払いに応じない場合は、法的な措置をとることになります」といった旨の内容を記載する形になります。
先ほども説明しているように、内容証明が送られてくることで受け取った相手は、心理的なプレッシャーを感じるため、損害賠償請求に応じてくれる可能性が高くなると考えられます。
債権譲渡
4つ目のケースが債権譲渡を行う際です。自分の持っている債権を譲渡したい、という意思を伝える際の証明として活用することができます。
口約束だと曖昧ですが、内容証明として残ることで後になって譲渡したいという意思は本当だったのか、を確認することができます。
内容証明の書き方
ここからは、内容証明の書き方について解説します。必要な内容を押さえておけば書き方自体は決して難しいものではないので、ぜひ覚えておいてください。
記載項目
内容証明を書く際の記載項目は以下のようになります。
- 表題
- 通知内容
- 日付
- 相手の住所・氏名(相手が法人の場合は住所・社名・代表取締役名が必要)
- 自社の住所・社名・代表取締役名
記載内容自体は特別なものではありません。通知内容に関しては、例えば金銭が絡んでいる場合は、振込先の口座の情報や振込期限などについて触れるのが一般的です。
書き方の注意ポイント
内容証明を書く際にはいくつかのポイントがあるので、そちらも押さえておきましょう。
用紙や枚数に制限はない
内容証明は用紙や枚数に特に決まりはありません。そのため、自社にある紙を使用して、複数枚に渡って通知内容を記載しても構いません。
差出人・受取人の記載を忘れない
意外と忘れてしまいがちなのが、差出人や受取人の情報の記載忘れです。通知内容を丁寧に書くことばかりに気を取られてしまい、最後の最後に必要な部分が消えてしまうのです。
全て書き上げたら抜け漏れがないか必ずチェックするようにしましょう。
表現内容に注意する
これは、内容証明を書く場合以外にも当てはまりますが、表現内容が過激になりすぎないように注意しなければいけません。
例えば「支払わなければ○○をする」といった内容だと、相手によっては脅迫されたと感じ、逆に自分たちが脅迫罪や恐喝罪などの罪に問われてしまう可能性もゼロではありません。
支払いの督促をする場合などは、どうしても気持ちが強くなってしまうかもしれませんが、高圧的な文書にならないように注意してください。
内容証明の出し方
ここからは、内容証明の出し方について解説します。
内容証明を3部用意する
内容証明を出す場合、同じ内容証明の文書を3部用意する必要があります。
1部は実際に発送されて相手方のもとへ、そして1部は郵便局で保管、そして残りの1部は郵便局の判子を押した上で控えとして自分たちが保管することになります。
法人印もしくは割印の捺印
3部の内容証明にはそれぞれ、差出人側の社名の横に法人印を捺印する必要があります。
法人印は3部全てに捺印しなければいけないので抜け漏れがないように注意してください。また、内容証明が複数枚に渡るときは、ホッチキスで1つにまとめ、割印を捺印します。割印は、社名の横に捺印した法人印を使用してください。
郵便局にて発送
法人印の捺印ができたら、あとは封筒を用意して相手方の住所・氏名(社名)、自分たちの住所・氏名(社名)を書けば発送準備は完了です。
なお、封筒に記載する相手方と自分たちの住所や氏名(社名)は文書に記載されているものと同じにしなければいけないので注意してください。
その後、内容証明3部と封筒1通を持って実際に郵便局に行って発送手続きを行います。窓口で「内容証明郵便でお願いします」と言えば対応してもらえるはずです。
なお、郵便局によっては、内容証明を取り扱っていないケースもあります。そのため、事前にどの郵便局で対応しているのか確認するようにしてください。
配達証明にする
郵便局で内容証明を申し込むと、配達証明の有無を確認されます。配達証明とは、内容証明を相手方がいつ受け取ったのかを知ることができるものです。そのため、必ず配達証明はつけてもらうようにしてください。
まとめ
今回は、内容証明の概要から効力や実際に使う場面、書き方、出し方などについて解説しました。企業活動を行なっていると、未払いや契約解除など内容証明郵便を使用する機会に遭遇することがあります。そのため、内容証明郵便がどのようなもので、どういった時に使えるのか、そしてどのような効力を持っているのか、最低限は把握しておくようにしましょう。