意外と知らない取締役とは?仕事・執行役員との違い・任期を紹介

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ふだん何気なく使っている取締役という言葉。会社概要に載っていることは知っていても「どんな仕事をしているのか分からない」「執行役員との違いが分からない」という人がいると思います。本記事では、意外と知らない取締役の仕事内容・責任・執行役員との違い・任期について紹介しています。

取締役とは?

取締役とは、会社法で定める株式会社の役員を言います。会社法で定める役員には取締役の他に会計参与、監査役がいます。企業のホームページを見ると、会社概要に代表取締役社長、専務取締役、そして取締役等と取締役が分けられていると思います。会社法では、社長も専務も取締役も、全て取締役としてひとくくりにされるのです。

取締役会のメンバー

会社法で言う取締役は取締役会のメンバーです。取締役会は株式会社の業務執行の意思決定機関で、3人以上の役員で構成されています。複数の役員の中から1名以上が代表取締役として選任されます。代表取締役は何人いても良く、代表取締役会長、代表取締役社長、代表取締役専務等と、複数の取締役がいることがあります。取締役会の開催頻度として、年4回以上開催することが会社法で義務付けられています。

取締役会において、取締役は事業所の新設・変更・廃止、株主総会の招集、財産の処分・譲渡、株式分割、代表取締役の選任・解任等について決議します。取締役会で決議される内容はいずれも重要なもの。取締役が単独で意思決定するのではなく取締役会に諮(はか)ることが求められているのです。

取締役の役割

取締役の役割は、会社の事業方針を決定する事項について意見して決議すること、経営者の1人として事業運営を行うことです。

取締役の仕事

取締役の仕事は会社の事業方針を決めたり代表取締役を選任したり、あるいは解任したりする等、大きな権限と責任があります。取締役の仕事を大きく分けると意思決定機能と監査機能、業務執行機能に分かれます。業務執行機能は、意思決定した事項について業務執行することです。取締役の意思決定機能と監査機能について詳しく解説しましょう。

会社の重要業務を意思決定する

取締役の仕事には、会社の方向性を決める重要な決定権があります。例えば、カメラメーカーが畑違いの医療事業に進出しようとしているとしましょう。新規事業の推進は取締役会に諮って決めていきます。取締役は医療事業という新規事業のリスク、採算、将来性、収益性、市場規模等を総合的に考慮して意思決定します。

新規事業の決定は企業の方向性を大きく左右します。新規事業が育って会社の収益の核となることもあれば、赤字事業になって失敗することもあります。もし新規事業が失敗し、顧客や株主に損害を与えれば取締役は責任を取らなくてはならず、辞任せざるを得ないことも。会社の重要業務を意思決定する取締役には、意思決定に関する大きな権限と責任が与えられているのです。

代表取締役を選任・解任する

取締役は株主総会で選任されますが、代表取締役は取締役会で選任・解任されます。 代表取締役は取締役の中から選びます。代表取締役は経営者の中でも中心的なポジションです。会社を指揮するのにふさわしい人物であるか否か、取締役が責任をもって決めていくのです。代表取締役の選任・解任も取締役の意思決定機能の1つです。

取締役の業務執行を監査する

取締役には、取締役会において取締役の業務執行を監査する仕事を担います(監査機能)。取締役には大きな権限と責任があります。会社の方向性を決めるということは、従業員・顧客・株主等と言ったステークホルダーの利益を高めることもあれば、逆に、損害を与えることもある訳です。ですから、取締役がきちんと業務執行しているのか、取締役会の対話によって見極める必要があるのですね。

取締役の業務執行を監査しておかないと、取締役の権限が乱用され会社のコンプライアンス違反を招くこともあります。コンプライアンス違反は、内容と規模によってはメディアで報道されることで取引先が手を引き、事業が立ち行かなくなる事態に陥ることもあります。取締役は、お互いに適正な業務執行がなされているかを監査し合う必要があるのです。

その他の重要事項について意思決定する

取締役は、会社の重要業務を意思決定するだけでなく、多くの重要事項について意思決定します。その他の重要事項として、事業所の新設・変更・廃止、株主総会の招集、財産の処分・譲渡、株式分割等があります。

取締役の責任

取締役の責任を説明するために、取締役と従業員の身分保障の違いを確認しておきましょう。まず、従業員は会社と雇用契約を結んでいます。従業員は会社に雇われて働いているため、会社より立場は弱いですよね。そのため法律では会社が簡単に解雇できないよう、合理的な理由・相当な理由がなければ解雇できないように定めています。

従業員に対して取締役は、会社の方向性を決める程に重要な権限があります。取締役は会社と委任契約関係にあります。「委任」と言うのは、取締役に会社経営を任せるという意味になります。委任契約にはいつでも契約を解除できる相互解除の自由の原則が適用されます。すなわち、会社がある人を取締役に選任したけれども、会社が取締役としての信頼を失ったと思った時はいつでも取締役を解任することができる訳です。

取締役の身分保障は、会社からの信頼を失えば直ぐになくなってしまうものだということが分かったと思います。取締役の責任は非常に重いです。会社は取締役に経営を委ねています。取締役が業務執行でミスをして会社に損害を与えた場合は、取締役が会社に損害賠償を負う責任があるのです。また、会社法では株主代表訴訟という制度が定められているので、取締役は株主から訴えられる可能性もあります。

取締役と執行役員の違いについて

取締役は会社法の役員です。会社には執行役員という役員もいますよね。両者の違いは何でしょうか?執行役員の仕事や責任について説明しながら取締役との違いを説明しています。

執行役員の仕事

取締役は会社法で役員として定められていました。一方、執行役員には法律上の定義はなく、従業員と同じ扱いです。執行役員の仕事は、取締役が意思決定した事項を業務執行することです。

なぜ執行役員が生まれたのでしょうか?取締役の仕事には、意思決定機能と監査機能、業務執行の3つがあると説明しました。しかし、取締役に課せられる仕事や責任は大きく、スピード感をもって経営するには、業務執行の部分を執行役員に任せる必要が出てきたのです。

執行役員の責任

執行役員には経営を意思決定する権限はありません。従って、執行役員の責任については、取締役ほどの大きな責任は課せられません。執行役員は従業員と同じ扱いなので従業員としての責任に留まります。

取締役の任期

取締役の任期は会社法に定められています。

任期は会社法に定められている

取締役の任期は会社法332条1項に定められており、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとするとされています。定款には、取締役の任期を会社法通りに定めておくと良いでしょう。定款により取締役の任期を短縮することもできます。

株式公開していない会社は、10年まで任期を延長することが可能です。

取締役の任期を計算する方法

具体例を用いて取締役の任期をどう計算したら良いかを説明します。

A社は決算期を3月末とする会社です。A社の定款では、取締役の任期を会社法通りに2年と定めていました。2020年6月の定時株主総会で取締役を選任した時、取締役の任期は2022年6月の定時株主総会終了までとなります。ただし10年まで任期を延長することができます。

取締役の任期の妥当な期間とは

取締役の任期は、会社法上は2年ですが短縮することも認められています。妥当な期間はどのくらいでしょうか?上場企業の場合、取締役の任期は1年とすることが通例のようです。その理由は、上場企業は株主の信任を得ている取締役に経営を任せたいという考えが元にあるからです。

社外取締役がいる場合も1年が良いでしょう。理由は、取締役の実績を1年単位で振り返る必要があるからです。取締役には意思決定・業務執行・監査の3つの仕事があります。1年で取締役としての業務実績をフィードバックし、役割を果たせない場合に任期を延長しないことにできるからです。会社法通りに2年間を任期にしておくと、実績を出せない取締役に対して、解任しない限り2年間留まらせることになってしまいます。

まとめ

取締役は会社法で定められた役員を指します。取締役の任期は原則として2年。短縮することも可能です。取締役は会社と委任契約関係を結び、会社から経営を任されています。取締役の仕事として、意思決定・業務執行・監査があります。このうち、業務執行機能を任された役職として執行役員があります。執行役員は、法律上は従業員であり役員ではありませんが、取締役が決めた事項を実行する重要な職務を担っています。