還付申告とは?いつからできる?期限は?必要な書類・還付金の計算方法を解説

還付申告の記事
納め過ぎた所得税を還付される制度を還付申告といいます。還付申告は、納め過ぎた税金が還付金として戻ってくる仕組みです。還付申告がいつからできるのか、期限はいつまでか、還付申告を行うのに必要な書類や還付金の計算方法について分かりやすく解説します。
目次

還付申告とは?

給与所得者として働いていると、還付申告は自分には関係ないと思いがちです。しかし、実は還付申告は給与所得者にも関わりが深いのです。還付申告の意味について詳しく説明しましょう。

納め過ぎの所得税を還付される制度

還付申告とは納め過ぎた所得税を還付される制度のことです。普段、確定申告をしていない給与所得者でも、還付申告を行うことで、源泉徴収や予定納税をした所得税額が実際の所得税額より多い時に還付されるのです。

源泉徴収や予定納税は、予め所得を予想して、先に所得税を徴収するもの。多く納め過ぎた所得税額を、還付申告によって税金を払い戻す必要がある訳です。

還付申告することのメリット

還付申告すると納め過ぎた税金が還付されるメリットがあります。還付申告の対象は医療費や住宅ローン等、私たちの身近にあるものなので還付されるケースが多いですね。また、所得税が安くなるだけでなく、還付申告すると住民税が安くなるため、還付申告のメリットはわりと多岐にわたることが分かります。

還付申告が必要な人

還付申告できるのは次の人たちです。

・住宅ローンを組んで家を購入した人
・多くの医療費がかかった人
・年の途中で退職し年末調整していない人(転職していない等の理由)
・ふるさと納税を行った人
・副業をしていて源泉徴収税を引かれている人

還付申告できる人たちから、いくつかの事例を紹介しましょう。

住宅ローンを組んで家を購入した人(初年度のみ)

住宅ローンを組んで家(戸建てやマンション)を購入した人は、住宅ローン控除という還付を受けることができます。住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の1%を10年間にわたって所得税から控除される制度をいいます。住宅ローンを組んで家を購入した初年度について、還付申告が必要になります。2年目以降は、勤務先が年末調整によって還付申告を行ってくれます。

住宅ローン控除による還付申告の計算方法については、記事の後半で解説していますので参考にしてみて下さい。

多くの医療費がかかった人

1年間に医療費を多く支払った人は医療費控除ができるため、還付申告の対象となります。医療費控除額は、「1年間に支払った医療費の合計額-保険金で補てんされた金額-10万円」によって求めます。つまり、1年間に多く支払った医療費とは、保険金で補てんされた金額および10万円よりも多い金額だった場合、還付申告できる訳です。概算で10万円超の医療費がかかった時に医療費控除できると思って準備しましょう。

医療費の還付金は医療費控除額×所得税率によって求めることができます。所得税率とは課税所得ごとに7段階に分かれている税率のことで、国税庁が公開しています。医療費控除の対象となる医療費と対象にならない医療費があります。対象となる医療費の合計額を計算してみて、「保険金で補てんされた金額および10万円」よりも多ければ、還付申告を行います。

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年の途中で退職し年末調整していない人

年の途中で退職し年末調整していない人も還付申告の対象です。年の途中で退職し、年内に転職すれば転職先の企業が年末調整を行ってくれます。しかし、退職したままどこにも就職しなかった場合、所得税を払い過ぎていることがあるので確定申告して、所得税の還付申告を行います。

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還付申告はいつからできる?期限は?

還付申告はいつからできるでしょうか?還付申告の期限はいつまででしょうか?解説していきます。

還付申告はいつからできるか?

還付申告の開始は1月1日から5年間です。例えば、2020年の還付申告対象期間は2015年~2019年分の5年間ということになります。つまり5年前にさかのぼって還付申告することができるということですね。

還付申告期限は確定申告の3月15日を過ぎても大丈夫

還付申告期限は、1月1日から5年間。確定申告期限は3月15日ですが、還付申告の場合は、3月15日を過ぎても5年間であれば申告することができます。確定申告期間とは関係ないということですね。

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還付申告に必要な書類

還付申告に必要な書類は以下の3種類を基本とします。共通して必要な書類は確定申告書および源泉徴収票です。

・確定申告書
・源泉徴収票
・領収書等の添付書類

勤務先が用意してくれる書類もあれば、自分で準備しなくてはいけない書類もあります。還付申告の対象ごとに必要な書類を準備して、税務署に提出して下さい。

確定申告書

確定申告書は国税庁ホームページや税務署で入手することができます。

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源泉徴収票

源泉徴収票は年末になると企業から受け取ることができる書類です。

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領収書等の添付書類

領収書等の添付書類も必要で、還付申告の対象ごとに必要書類が異なります。住宅ローン控除で見てみると以下の書類を添付する必要があります。

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住民票(コピー)
・年末残高等証明書(住宅取得資金にかかわる借入金のものをすべて)
・家屋の登記事項証明書
・請負契約書(コピー)
・売買契約書(コピー)
・給与所得の源泉徴収票

還付申告をするといくら戻ってくる?

還付申告をするといくら戻ってくるのか?計算方法を用いて説明します。

還付金の計算方法

住宅ローン控除を例に、還付金の計算方法を説明していきます。新築マンションを購入したAさんの住宅ローンの条件は次の通りでした。

■住宅ローン借入額:3,900万円(固定金利1.5%、35年返済、ボーナス払いなし、2019年6月より返済開始)
■2019年の年末借入残高:3,834万円(金額は概算)
■所得税:20万円
■住民税:18万円

住宅ローン控除の控除可能額は年末借入残高の1%です。従って、上記例でいえば、単純計算すると38万3,400円ということになります。パッと頭で計算した人は「計算が合わないのでは?」と思うかもしれません。年末借入残高の1%というのは、あくまでも控除可能額なのです。

住宅ローンの還付金は、年末借入残高の1%、控除対象税額(所得税+住民税)、所得税の控除限度額40万円の中から最小の額のものにするというルールがあります。また、住民税の控除限度額は13万6,500円までというルールもあります。

つまり、上記例でいえば、所得税20万円+住民税13万6,500円(控除限度額)の合計33万6,500円が住宅ローン控除の還付金なのです。

ちなみに、住宅ローン控除の対象となる住宅ローン残高は、上限が4,000万円と決まっています。そのため、住宅ローンを5,000万円借りて年末借入残高が5,000万円だったとして、控除対象税額が50万円を超えていたとしても、還付金が50万円(住宅ローン控除の控除可能額は年末借入残高の1%)にはならないのです。

まとめ

いかがでしょうか?還付申告は給与所得者にも関わりのある仕組みだということが理解できたのではないでしょうか。住宅ローンや医療費は給与所得者も行いますから、還付申告は身近です。還付申告は翌年の1月1日から5年間にわたって行うことができます。いいかえれば5年前にさかのぼって、還付申告を行うことも可能です。

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