ジョブカードとは?制度の概要、求職者・企業それぞれのメリット、記入例を解説

ジョブカードの記事
ジョブカードをご存知でしょうか?ジョブカードは、正社員経験の少ない求職者が自身のキャリアアップや就職活動に使うために作成する文書のことです。自分ではなかなか自らの職務適性や能力開発を知ることができなくても、ジョブカードなら専門家のアドバイスを受けつつ自らの職務適性や能力開発に気付きを得られます。記事では、ジョブカードの意味、ジョブカード制度概要、求職者・企業それぞれのメリット、記入例を解説します。
目次

ジョブカードとは?

ジョブカードは、非正規社員やフリーター等の正社員経験の少ない求職者が、キャリアコンサルタント等の専門家のサポートを受けながら作成する文書のこと。就職活動やキャリアアップに使うことができます。ジョブカードは厚生労働省から発行されます。

生涯を通じたキャリアプランニング

求職者にとってのキャリアは、目の前のキャリアだけではありません。人生100年と言われる中で、能力や適性に基づき長期的にキャリア形成をしていく必要があるのです。そのためには、1~2年の短期的なキャリアだけでなく生涯を通じたキャリアプランニングが求められるのであり、そのためのツールとしてジョブカードがあるのです。

職業能力証明

就職活動に使う書類として、履歴書や職務経歴書がありますが、それらの書類の他にジョブカードを用いることもできるのです。ジョブカードは求職者のスキルや能力についてフォーマット通りに作成することができるので、求職者自身の職業能力証明にも活用することができます。

ジョブカード制度総合サイトでキャリア・求職支援

厚生労働省はジョブカード制度総合サイトを開設し、ジョブカードを使い就職活動をしたい求職者、または職業訓練を通じてキャリアアップしたい求職者をサポートするためのサイトとしました。ジョブカード制度総合サイトには、テキストや動画によりジョブカードを作るための解説、ジョブカード作成支援ソフトウェアがあります。

ジョブカード制度の概要

ジョブカード制度誕生の経緯を始め、制度概要について解説します。

ジョブカード制度誕生の経緯

ジョブカードは、2007年に日本政府が「成長力底上げ戦略」の一環として打ち出し、翌年からスタートした制度です。成長力底上げ戦略とはフリーターや非正規社員等の低所得者向けの引き上げを目指した政府戦略です。

専門家による支援を受けられる

ジョブカード制度では、求職者は、キャリアコンサルタントやジョブカード作成支援アドバイザーのような専門家からジョブカード作成支援を受けることが可能。求職者個人では自らの職業適性や能力開発の方向性が分からない場合でも、専門家に相談することで客観的に自己を見つめ直し、就職活動やキャリアアップに繋げることができるのです。

新ジョブカードへの見直し

ジョブカード制度は2008年に始まった新しい制度ですが、2015年に新ジョブカードへの見直しが行われました。新ジョブカードに見直されたことで、前述の「生涯を通じたキャリアプランニング」「職業能力証明」が可能となったのです。

ジョブカード活用の4つのメリット【求職者】

ジョブカードを活用すると求職者にとってどんなメリットがあるでしょうか。4つのメリットについて解説します。

キャリアプラン作成に役立つ

求職者は、キャリアコンサルタントやジョブカード作成支援アドバイザーのような専門家からアドバイスを受けてジョブカードを作ります。専門家は能力開発やキャリア形成について幅広い知見・経験を有していますから、ジョブカード作成がキャリアプラン作成に役立ちます。

履歴書以外のアピールとして使える

ジョブカードは職業能力証明として活用することができます。ジョブカードは履歴書・職務経歴書と違ってフォーマットが定まっています。ジョブカードは、履歴書・職務経歴書では見えにくい求職者の職業能力を詳細に記述します。求職者は、履歴書・職務経歴書以外に自分をアピールする材料として使うことができるのです。

自分の強み・弱みが分かる

就職活動において、自己分析が重要だと言われます。自分の強み・弱みが分からなければ、キャリアプランに繋げることも、志望動機や自己アピールに繋げることもできません。ジョブカードなら、作成を通じて専門家のアドバイスを得ながら自分の強み・弱みを把握することが可能です。

ジョブカード活用の3つのメリット【企業】

ジョブカード活用における企業側の3つのメリットを紹介します。

採用のミスマッチが減る

求職者が履歴書・職務経歴書以外にジョブカードを提示することで、企業は求職者のことをより把握できるようになります。採用において企業・求職者間で採用のミスマッチが起こるのは、情報の非対称性があるからです。求職者は自分のことを知っていますが、企業は求職者のことを完全には知りません。情報はアンバランスなのです。

しかしジョブカードによって企業が求職者の情報をより的確に知ることができれば、採用のミスマッチを減らすことに繋げられます。特に求職者が正社員経験に乏しければ、ジョブカードを活用することで適切な判断材料となることでしょう。

求職活動支援書作成に使える

求職活動支援書は、高年齢者雇用安定法により企業に作成が義務付けられている書類です。45歳以上65歳未満の労働者が離職する際、就職活動をサポートすることが目的の書類となります。事業主都合の解雇、または継続雇用制度の基準を満たさなかったことにより、離職する労働者が希望する時、企業は労働者に作成・交付しなくてはなりません。ジョブカードは、求職活動支援書作成にも活用することができます。

社員の職業能力を把握しやすくなる

ジョブカードは、求職者だけでなく、既存社員の職業能力を把握することにも使えます。職業能力を把握することで、既存社員も自身のキャリア形成をどうすべきか考えるためのサポートとなります。

ジョブカード・様式ごとの記入例

ジョブカードには、キャリア・プランシート、職務経歴シート、そして職業能力証明シートの3種類があります。様式ごとの記入例を簡単に説明します。

ジョブカード【様式1-1】(キャリア・プランシート)

様式1-1のキャリア・プランシートは、就業経験のある求職者向けのジョブカード。氏名・年齢・連絡先等の基本情報、価値観、興味、関心事項等、強み等、将来取り組みたい仕事や働き方等、これから取り組むこと等、その他について記述します。「価値観、興味、関心事項等」は、求職者の価値観、興味、関心事項を通じてどういう職業観を持っているかを企業に伝える項目です。

ジョブカード【様式1-2】(キャリア・プランシート)

様式1-1のキャリア・プランシートは、就業経験がないか、学卒者向けのジョブカード。学校の課程で関心を持って取り組んだこと・取り組んでいること、学校のキャリア教育で実施される科目・プログラム、インターンシップ(正課)への参加・取組状況、学校の課程以外で学んだ学習歴、社会体験その他の活動について記述する他、様式1-1と同じ内容を書く欄があります。

ジョブカード【様式2】(職務経歴シート)

様式2の職務経歴シートは、職務経歴を記述できるシート。職務経歴書と似ていますが、フォーマットが定められている点が違います。

ジョブカード【様式3-1】(職業能力証明シート)

様式3-1の職業能力証明シートは、求職者が取得した免許・資格を記述できるシートです。証明書類を添付しておけるので、取得の証明として有用です。

ジョブカード【様式3-2】(職業能力証明シート)

様式3-2の職業能力証明シートは、学習歴・訓練歴を記述できるシートです。時系列で学歴を書けるのはもちろんのこと、職業訓練の内容も記述できます。

まとめ

ジョブカードは、企業の採用担当者・求職者共にあまり認知度は高くないかもしれません。しかし、ジョブカードを活用することは、企業・求職者双方にメリットがあります。ジョブカードを有効に活用することで求職者はキャリア形成や自己アピールに使い、企業は求職者が持っている職業能力を把握することで適切な人材を採用することができるようになります。

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