インポスター症候群とは?女性に多い理由・症状・克服するための対策を解説

インポスター症候群の記事
仕事ができるのに、今一つ自信がなく運が良かっただけと言う人が皆さんの周りにはいませんか?このような心理的傾向はインポスター症候群と呼ばれます。インポスター症候群は女性に多いと言われます。インポスター症候群に陥っていると、仕事を進める上で悪影響があります。記事では、インポスター症候群の症状・克服するための対策・インポスター症候群を持つ人への対処方法を解説します。
目次

インポスター症候群とは?

インポスター症候群に陥っていると、しっかり仕事で成果を出しているように見えるのに自信がなく自己評価が低くなります。インポスター症候群の意味や心理状態について説明します。

インポスター症候群の意味

インポスターは英語ではimposterと書きます。意味は詐欺師、偽物という意味です。なぜ、仕事で成果を出しているように見えるのに自信がない状態をインポスター症候群というのでしょうか?それは、インポスター症候群に陥っている人は、自分の成果は運が良かったり偶然の産物だったりするせいで生まれたもので、自分が周囲をだましていると思っているからなのです。

自己評価が低い心理状態

インポスター症候群にかかった人は、仕事ができて成果を上げているにもかかわらず、「自分なんて…」と思っています。仕事ができれば自信を持っても良さそうなものですが、仕事ができるのに自己評価が低いのがインポスター症候群の特徴。自己評価が低いため、未経験の仕事に踏み込んでいけませんし、レベルの高い仕事もやりたがりません。

インポスター症候群にかかった人は、必要以上に謙遜してみたり自分を卑下したりしてしまいます。インポスター症候群は病気ではありませんが、この症状が続くと精神的な負担が続き仕事自体がうまくいかなくなることが考えられます。インポスター症候群の傾向がある人は留意し、何らかの改善策を講じる必要があります。

インポスター症候群が女性に多い理由とは?

インポスター症候群は女性に多いと言われています。プレシデントの調査によると65%の女性がインポスター症候群のような心理状態に陥っているということが分かっています。なぜ女性がインポスター症候群に陥ってしまうのでしょうか?理由を説明します。

女性の社会進出

日本の夫婦共働き世帯は2018年には68%を突破するまでになっていて、女性の社会進出は当たり前となっています。しかし当たり前となったといっても、女性は非正規社員が多かったり、正社員でも一般労働者で留まっていたりする場合が多く、会社での地位は高くありません。従って、女性を取り巻く労働環境では、仕事ができたりうまくいったりしたとしても、「たまたまうまくいっただけ」という心理状態になりやすいのです。

ポジティブアクションの存在

企業において、役員や管理職に占める女性の割合が少なかったり、ある部署に女性が少なかったりすることがあります。その差を解消しようと、企業が積極的に取り組むことをポジティブアクションと言います。ポジティブアクションが機能していれば、働く女性にとって昇進や新たな職務に就ける機会が増えます。しかし、女性が管理職に昇進した時にインポスター症候群に陥っていると、「昇進は自分の実力ではなく、ポジティブアクションのお陰だ」として、自信を持てないのですね。

昇進昇格で目指すべき人材がいない

ポジティブアクションとも関わりますが、女性が昇進昇格するにしても目指すべき人材がいないことがあります。この場合、インポスター症候群に陥り「課長になれと言われてもイメージが付かない。自信がないので辞させてもらおう」という心理状態になりがちとなるのです。

インポスター症候群にはどんな症状がある?

インポスター症候群の症状としてはどんなものがあるか説明します。インポスター症候群は病気ではありませんが、敢えて症状という表現で説明しています。

失敗に対するリスクを恐れる

インポスター症候群に陥っている人は、失敗することを怖がります。従って、ルーティン作業を務めるにしても慎重になりますし、新しい仕事をしたがりません。仕事ができても自信がない程なので、失敗へのリスクを恐れて予防線を張って仕事をする傾向にあります。

チャレンジできない

インポスター症候群に陥っている人は、チャレンジしたがりません。失敗を恐れていますので難易度の高い仕事に挑戦しようとしないのです。相手の実力を分かっている上司が「あなたなら、もうこれくらいの仕事ができるよ」と背中を押してもチャレンジしたがりません。上司が「できる根拠」を述べたところで、インポスター症候群に陥っている人は「あれはたまたま運が良かっただけ」という考えを持っていますので、現状維持に留まろうとします。

自分の評価や待遇は良すぎると思う

会社がいくら正当な人事評価をして、リーダーに抜擢したとしても、インポスター症候群に陥っている人は自分の評価や待遇は良すぎると思ってしまいます。従って、評価の高さに居心地の悪さを感じていますし、抜擢をしてもリーダーの座から降りようとするのです。

自分の能力不足が周囲に知られてしまうと思っている

インポスター症候群に陥っている人は、自分の能力を客観的に評価できず、むしろ割り引いて評価しています。そのため、自分の能力不足が周囲に知られてしまうのを恐れているのです。ですから、仕事を遂行する中でできないことがあると、それは自分の能力不足であり、その事実を周囲に知られないために隠してしまいます。

インポスター症候群を克服するための対策

インポスター症候群に陥った場合、どのようにすれば克服できるのか、その対策を解説します。

ありのままの自分を見つめ自己肯定感を高める

インポスター症候群に陥っている人は、必要以上に自分をできないと思って自信がありません。しかし、それはあくまで自分の心理状態がなせることであり客観的な評価ではないのです。従って、できる自分もできない自分も含めて見つめることが重要。そうすれば、「自分はAという仕事ができる」が、「Bという仕事は苦手なんだ」ということが分かり、自己肯定感が高まります。

昨日よりも今日の自分を褒める

昨日よりも今日の自分を褒めることも、インポスター症候群を克服するためには重要です。例えば、昨日失敗したことをいつまでも引きずっていると、インポスター症候群から逃れられません。しかし、昨日失敗しても今日成功したことがあれば、今日の自分を褒めるのです。そうすれば徐々に、インポスター症候群を克服することができるようになります。

性別を問わず仕事のできる人と交流する

インポスター症候群に陥っていると、自分を客観的に見られません。しかし、性別を問わず仕事のできる人と一緒に仕事をしていくと、自分ができること・できないことが分かるようになります。自らを客観的に見つめることできれば、インポスター症候群を克服することができるようになります。

小さな成功体験を積み上げる

心理学には自己効力感という用語があります。これは、平たく言えば「自分はできるという自信」です。自己効力感を高めていくとインポスター症候群を克服することができるようになります。そのためには、どんな小さなことでも良いので、成功体験を積み上げることが大切。積み上げていくと、ネガティブに自分を見ていた人も自己効力感を高めていけます。

インポスター症候群を持つ人への対処

インポスター症候群を持つ人には、どういう対処をしたら良いかを説明します。

現在の相手の行動を肯定的に捉える

インポスター症候群が見られる人は自信がありません。「自分はできない」と思い込んでいます。従って、現在の相手の行動を肯定的に捉える発言をすることが重要です。「現在」がポイントで、過去でも未来でもなく、今そこにいるあなたを肯定的に捉えていますよ、というメッセージを伝えることが肝要なのです。

能力を客観的に評価する

インポスター症候群が見られる人は、自分の能力を客観的に評価できません。従って、能力を客観的に評価する必要があります。もちろん、客観的に評価しているとこちらが伝えたところで、相手は容易に信用しません。ですから分かってもらえるまで繰り返し伝えることで能力を客観的に評価していることを信じてもらいます。

まとめ

インポスター症候群は、自分には自信がないと思う心理状態のこと。病気ではありませんが、チャレンジできない・失敗へのリスクを恐れる等の症状があります。放っておくと、精神的仕事をすることに耐えられなくなるでしょう。そうならないために、インポスター症候群の症状や対応方法を知っておくことが重要です。

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