中堅社員に求められる役割とは?退職防止策・育成方法・中堅社員研修例を紹介

中堅社員の記事
新入社員、若手社員と同じように中堅社員がいます。中堅社員とは会社の中の階層の1つで、リーダー層や管理職より手前の位置付けとなります。中堅社員は業務の専門性に長けていますから、色々な仕事を任されます。記事では、中堅社員に求められる役割、育成方法や研修のカリキュラム等について丁寧に解説します。
目次

中堅社員は入社何年目から?

中堅社員と一口に言いますが、入社何年目からでしょうか?社内の階層を踏まえて説明します。

会社における階層を知ろう

会社にはいくつかの階層に分かれています。新卒入社1年目の新入社員から始まり、若手社員、中堅社員、リーダー社員、管理職、そして役員です。中堅社員は若手社員の次の階層となります。

入社1年目の新入社員

入社1年目の新入社員は、学校を卒業した後に新しく社会人として入社してくる社員を言います。中途入社してくる社員のことは階層では新入社員と呼ばず、能力や役割に応じて、階層に割り振られます。

入社3年目までの若手社員

若手社員は入社3年目までの社員のことを言います。新入社員のように、上司から手取り足取り教えてもらわなくても、指導の下に業務を遂行できるようになっています。問題解決できる若手社員も出始めますが、多くは問題を発見し上司に報告することが主です。専門能力を身につけ始め、いくつかの仕事に対して強みと言える仕事を見つけていきます。

入社3年以降の中堅社員

中堅社員は入社3年以降の社員のことで、専門能力を身につけます。業務を遂行するための複数の能力に秀でています。問題解決もできるようになります。

中堅社員はリーダー層の一歩手前の社員

中堅社員は専門能力には秀でていますが、マネジメントをしません。リーダー層の一歩手前の社員ということができます。

中堅社員に求められる役割とは?

中堅社員に求められる役割を確認していきます。

専門性の発揮

中堅社員の役割として専門性の発揮が挙げられます。例えば建設業の現場監督にはいくつかの業務があります。工程を組むこと、顧客と打ち合わせること、設計図を読むこと、職人を指導すること、工程通りに現場を回すこと。それらの一連の作業の中で、「工程を組むこと」「設計図を読むこと」については、上司が終始指導しなくても、十分に遂行できることが中堅社員の要件と言えます。

ただ、中堅社員の更に上はリーダー層ですが、全員がリーダー層に昇格できる訳ではないですよね。昇格できなければ定年まで中堅社員でいることもあります。その場合は、キャリアの多くを中堅社員として過ごすことになるので、現場監督の仕事が全てこなせる中堅社員もいます。中堅社員の能力の範囲は幅広いのです。

フォロワーシップ

中堅社員の役割として、フォロワーシップがあります。フォロワーシップとは、フォロワー(リーダーを補佐する役割の人)がリーダーを補佐し、あるいは組織目標の達成のために能動的に行動することを言います。専門能力に長けた中堅社員は、リーダーが掲げる組織目標を達成するため、リーダーから指示される前に、自ら考え能動的に能力を活用していきます。

後輩育成

中堅社員は専門能力に秀でているため、組織におけるキャリアの浅い社員を支援・指導することができます。中堅社員には後輩育成という役割があります。後輩の責務は仕事を覚えること。そのためには業務を遂行するための能力の涵養が求められるので、専門能力に長けた中堅社員の後輩育成が鍵を握るのですね。

問題解決力

中堅社員には問題解決力が求められます。中堅社員は専門能力に秀でているので、上司に逐一質問しなくても、仕事をさばくことができます。そのため、問題が発生しても原因を究明し解決策を講じ、尚且つリスク防止策についても考えることができます。

中堅社員の退職を防ぐために

中堅社員は専門能力に秀でています。専門能力は一朝一夕で習得できるものではなく、経験を重ねることで獲得できるものです。汎用的ではない業務の場合、中堅社員の有する専門能力は社内に保持し、後輩に受け継がせたいところです。もし退職された場合、労働市場から採用し、育成しなくてはなりません。中堅社員を辞めさせないことがベストなのです。中堅社員を辞めさせないための退職の防止策を解説したいと思います。

待遇を改善する

能力の高い中堅社員はどこの会社も欲しい人材です。それを中堅社員も分かっています。ですから、中堅社員を離職させないため、中堅社員の能力に見合った待遇に改善することがポイントの1つです。業種、年齢、キャリアから同規模の会社の待遇と自社の待遇とを比較して、待遇を改善すべきか否かをリサーチします。それによって同規模の会社よりも待遇が低ければ改善します。また、成果に応じた人事評価制度に改めることでも、中堅社員を定着させることができます。

キャリアップする機会を与える

中堅社員は専門能力に秀でていて、もっと能力を高めたいと思っています。しかし、現職では能力を高められないとすれば、退職してキャリアアップできる会社で働きたいと考えてしまいます。中堅社員にキャリアップする機会を与えることも退職防止策として有用です。

上司・部下間のコミュニケーションを高める

人事評価の時だけ、部下のキャリアや仕事の悩みを聞いているようでは、中堅社員にいつ退職届を出されても仕方ないかもしれません。中堅社員が現在何を考え、どういう仕事をしていきたいのか、上司はしっかりと把握しておく必要があります。そうすれば仕事の割り振りや権限委譲もスムーズにできます。上司・部下間のコミュニケーションを高めることが退職防止策となります。

中堅社員を育成するには

中堅社員のキャリアアップや考えた時に、中堅社員の育成という観点に行き当たります。どのようにしたら中堅社員を育成できるのか、解説します。

明確かつ難しい目標を与える

目標設定理論によると、人間は具体的で困難な目標を与えられることで成果を出せると言われます(『ワークモティベーション』)。中堅社員に対しても明確かつ難しい目標を与えることで、成果を出せる人材へと育成することができます。

新しい仕事にチャレンジさせる

これまで担当したことのない新しい仕事にチャレンジさせることも育成ポイントとしては重要。不慣れな仕事を担当すれば失敗もあるでしょうが、成功体験も積めます。また、新規の仕事をさばくために能力を高めることができます。

後輩指導を任せる

中堅社員の役割に後輩育成がありました。しかし、実際に、中堅社員に後輩指導を任せているでしょうか?後輩育成はリーダー層、管理職へと昇進するためのマネジメントの訓練にもなります。中堅社員に後輩指導を任せる機会を設けて育成しましょう。

上司と共にキャリアプランを考える

中堅社員に対して、長期的なキャリアプランを上司が一緒に考えることも育成となります。中堅社員は眼前の仕事に邁進し、その仕事を完遂するための能力開発には余念がなくても、将来的なキャリアに盲目かもしれません。上司がキャリアプランを共に考えることで、自分の現状の課題、キャリアを高めるためのレベルの課題が見えてきます。レベルの高い課題をこなすためには、自身の能力開発を進めるので育成に繋がる訳です。

中堅社員研修に参加させる

中堅社員研修に参加させることも、中堅社員の育成に繋がります。中堅社員に求められる役割、それを満たすためのビジネススキルの習得等、研修を受講することで業務では学べない能力が開発されます。

中堅社員研修のカリキュラム例

中堅社員研修といっても様々なタイプがあります。どんなカリキュラムに参加させるべきか、あるいは会社としてどんなカリキュラムを企画すべきか分かるように解説します。

ビジネススキル(プレゼン、問題解決)

専門能力に長けた中堅社員は、人前でプレゼンしたり、問題解決の当事者になったりすることが多いです。プレゼンや問題解決は職場でもスキルを培うことができますが、講師から自分の現状を指導してもらった方が早くスキルアップできます。演習が多い研修がスキル習得の近道です。

リーダーシップ

中堅社員は後輩育成を任せられるので、リーダーシップを求められます。リーダーシップ理論やリーダーシップをどのように身につけたら良いのかといった実践的なカリキュラムがリーダーシップの養成に役立ちます。

会計

会計はマネジメント層では必須のスキルですが、一朝一夕で身につけられるものではありません。従って、中堅社員のうちから会計に触れておき、慣れさせることも必要。中堅社員向けの会計スキルとしては、財務諸表を読める状態まで引き上げる必要はなく、会計を使って会社はどのように経営しているのかをゲーム感覚で学べる研修が適しています。

専門能力

中堅社員の専門能力は社内で学べることがほとんどだと思います。しかし、法改正に基づく業務内容の変更があるような時は、研修で体系的に専門能力に関して学習することで迅速に学ぶことができるでしょう。

キャリア形成

中堅社員のうちからキャリア形成を研修で学ばせることも重要です。中堅社員のキャリア形成研修では、経済環境や働き方の変化といった一般的な環境変化の説明を通じて、「キャリアは、会社ではなく自ら形成していかなくてはならない」ことを知らしめることがポイントです。

マネジメントの基礎

中堅社員のうちからマネジメントの基礎を知ってもらう研修も効果があります。リーダー層に昇進する前に、マネジメントとはこういうものだということを理論的に知っておくことで、中堅社員の立場で、職場で実践することができるようになります。

まとめ

中堅社員は専門能力に長けた社員です。マネジメントは行いませんが、業務Aについてはよく知っているというのが中堅社員の立ち位置です。組織の目標を達成するために支援してくれる中堅社員は組織のキーパーソンですので、退職防止策や育成もしっかり行いたいところですね。

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