内部統制とは?特に重要な4つの役割と覚えておきたいポイントを解説

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内部統制とは、企業の活動を守るために必要不可欠な管理システムのことです。

企業による不祥事が起こると、これまで築き上げてきた企業イメージ・価値が一気にダウンし、自社の業績に悪影響が及びます。

内部統制は企業のリスク管理に欠かせない仕組みであり、社員全員が遵守することで経営上のリスクを一定水準に抑えることができます。

今回は内部統制の役割や4つの目的、導入するメリットについてまとめて解説していきます。

内部統制とは?

内部統制とは?
内部統制は、経営者が企業統治をするために、事業活動を行なう企業の従業員全てが遵守すべき社内のルールや仕組みを指しています。

内部統制は、以下の4つの目的が達成されないリスクを低減させるための仕組みを組織内に設けています。

  1. 業務の有効性及び効率性を確保すること
  2. 財務報告の信頼性を確保すること
  3. 事業活動に関わる法令等を遵守すること
  4. 会社の資産を保全すること

経営者を含む全社員が遵守すべき内部統制は、会社法・金融商品取引法で導入や報告が義務付けられているのです。

コーポレート・ガバナンスとの違い

内部統制とよく似た言葉で「コーポレート・ガバナンス」という言葉があります。

コーポレート・ガバナンスとは、株主、投資家、従業員など株主の利益を守るための取り組みのことです。透明性の高い適切な情報開示や財務報告の信頼性の担保といった共通の目的があり、企業活動の公平性・透明性を確保しています。

一方の内部統制は、経営陣を含む全ての従業員が遵守すべき企業内のルールや仕組みとなっています。

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内部統制システムと会社法

会社法における内部統制・内部統制システムは、会社の業務の適正性を確保し、利害関係者や会社経営への損害発生を未然に防止することが目的です。会社の取締役が法令や倫理規範、定款に照らして、業務執行の適正性の確保を図ることを指しています。

内部統制を行うメリット

内部統制が機能することによって、下記のようなメリットが期待できます。

  • 企業機密の漏洩防止
  • 社会的信用度の向上
  • 資金調達の円滑化
  • 取引関係・採用円滑化
  • 市場における信用の向上

内部統制を行うデメリット

内部統制の構築に伴うデメリットとしては、以下のようなものが当てはまります。

  • 内部統制構築費・監査費用等のコスト増大
  • 事務負担が重くなり業務効率が悪くなる
  • 支配権の希薄化
  • 買収リスク
  • 社会的責任増加
ジョブくん
会社を守るために機関や仕組みにある程度の投資をしなければいけないため、当然企業が抱えるコストは増えます。「コスト削減を取るか」「リスク回避」を取るかの二択を迫られるわけです。

内部統制の4つの目的

内部統制の4つの目的

では具体的に内部統制とは何をすれば良いのでしょうか。おさらいですが、内部統制を構成する特に重要な考え方は、以下の4つの目的を達成するために業務を遂行するということです。

  1. 業務の有効性と効率性
  2. 財務報告の信頼性
  3. 法令遵守
  4. 資産保全

それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

1:業務の有効性及び効率性

事業活動の目標を達成するために時間・人・モノ・コストの活用を合理的に行い、業務の有効性及び効率性を高める業務のことを指します。

業務の有効性及び効率性に関する内部統制の構築は、経営者が最も優先して考えるべき課題だと言えます。業務の達成度及び資源の合理的な効率性を測定・評価し、目標通りの達成ができたか、目標の見直しを確認できたか、などの項目をチェック・確認します。

2:財務報告の信頼性

財務報告の信頼性とは、財務諸表及び財務諸表に影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保することです。

誤った財務報告は、多くの利害関係者に対して不測の損害を与えると同時に、組織に対する信頼を失う結果となります。

財務報告の重要な事項に虚偽表示がないように、必要な体制を整備し運用することで、組織の財務報告に関わる信頼性を支援します。

3:事業活動に関わる法令等の遵守

事業活動に関わる法令等の遵守とは、事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進すること。

法令等を遵守して事業活動を営むための体制を整備し、運用することで組織の存続及び発展が図ることができます。

商品の安全基準の遵守や、法令等の遵守への真摯な取り組みが認知されると、社会的レピュテーションが向上。業績や株価等の向上に繋がります。

4:資産の保全

資産の保全とは、資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるよう資産の保全を図ることです。

経営者は、監査役の財産調査権と資産の保全に対する内部統制との関わりをはっきりさせ、出資者等から拠出された財産を適切に保全する責任があります。

内部統制報告書とは

内部統制報告書とは

企業の内部統制を整備したら、実際に行われているか確認したり内部統制を評価するために内部統制報告書を作ります。

内部統制報告書を作成して有価証券報告書に添付して、年1回金融庁に提出し、一連の作業をきちんと行っていることを証明してもらうために監査法人の監査を受けるのが一連の流れになります。

内部統制報告書と内部統制監査報告書の違い

金融商品取引法に基づき、企業自ら作成する内部統制報告書及び監査法人が作成する内部統制監査報告書を公表することが義務付けられています。

外部の会計監査人である監査法人は、会社が作成した内部統制報告書が内部統制の評価の基準に準拠して適正に表示されているかを監査し、その結果を内部統制監査報告書として公表します。

内部統制報告書の提出先

金融商品取引法24条の4の4(内部統制報告制度)に基づき、上場企業は「内部統制報告書」を内閣総理大臣へ提出するよう義務付けられています。

内部統制報告書の提出期限

内部統制報告書の提出期限は、有価証券報告書の提出期限である事業年度経過後3か月以内とされています(法24条1項)。

内部統制報告書のひな形

内部統制報告書は企業情報なども盛り込んだ上で、以下のような形式で作成します。

第一号様式

【表紙】

【提出書類】 内部統制報告書

【根拠条文】 金融商品取引法第24条の4の4第 項

【提出先】 __財務(支)局長

【提出日】 平成 年 月 日

【会社名】(2) _______________

【英訳名】 _______________

【代表者の役職氏名】(3) _______________

【最高財務責任者の役職氏名】(4) _______________

【本店の所在の場所】 _______________

【縦覧に供する場所】(5) 名称(所在地)

1【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】(6)

2【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】(7)

3【評価結果に関する事項】(8)

4【付記事項】(9)

5【特記事項】(10)

参考元:内部統制報告書|金融庁

内部統制を把握するために必要な3つのポイントとは?

内部統制を把握するための3点セット

内部統制を把握するために有効なツールは、下記の3つになります。

  • フローチャート
  • 業務記述書
  • リスクコントロールマトリックス

フローチャート

フローチャートとは、業務のプロセスを図式化し可視化したものです。業務プロセスを可視化することにより、取引と会計処理の流れを整理して、内部統制上のリスクを識別することができます。

業務記述書

業務記述書は、業務の概要や手順のプロセスを詳細に文字に書き起こしていき、文章にして可視化したもの。図ではなく文字で明文化して、社外監査役などにもきちんと共有・保存するためのものです。

リスクコントロールマトリックス

リスクコントロールマトリックスとは、業務におけるリスクと内部統制によりリスクをどのように低減しているのかについて対応表にしたものです。

作成の流れと注意点

  • 「フローチャート」と「業務記述書」のドラフトを作成
  • 現場部門と協議して財務報告に関するリスクとコントロールを設定
  • 修正点を元にフローチャート・業務記述書を更新
  • 「リスクコントロールマトリックス」の作成

業務記述書には財務報告リスクのために誰が・何を・どのように行ったのか」を明記します。

リスクコントロールマトリックスでは、財務報告リスクに対して、どのように統制しているのかを明記する必要があります。

内部統制の重要性を認識しよう

内部統制のまとめ

内部統制とは、経営目標を達成するために、社員が遵守しなければならない業務やコンプライアンス、財務報告など様々なものを含むルールや仕組みです。

業務に関わる全社員が、企業活動遂行のために意識的に取り組むことが求められています。内部統制に関わる可能性がある人は、ぜひ知識を深めて企業のリスクと向き合っていきましょう。

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