セカンドキャリアとは?意味・方法・セカンドキャリア支援を解説

セカンドキャリアの記事
ビジネスパーソンとしてキャリアを築いていく中で、違う仕事にチャレンジしたいと思うことがあります。終身雇用制が崩壊し、会社を取り巻く環境が変化を遂げる中では、第二の人生の職業を意味するセカンドキャリアは30・40代という若い年齢層でも必要になる考え方です。記事では、セカンドキャリアが求められる理由や企業がセカンドキャリアを推進する方法、セカンドキャリア支援について解説します。
目次

セカンドキャリアとは?

セカンドキャリアとは、第二の人生の職業を意味する言葉。第二の人生といっても定年後の職業に限りません。30代・40代といった比較的若い年齢のうちから、第二の人生の職業を考える必要があります。

会社員がセカンドキャリアを考える意味

スポーツ選手は現役時代が短く、20代でキャリアを終えることも珍しくありません。スポーツ選手におけるセカンドキャリアには、指導者やスポーツ解説者があります。スポーツ選手は知名度が高く、コミュニケーション力が高いことから営業や飲食業に挑戦する人もいます。スポーツ選手は、現役時代の能力を活かした職業や、元プロ野球選手の奥村武博氏のようにスポーツと関係のない公認会計士をセカンドキャリアとする人もいます。

ビジネスパーソンにとってもスポーツ選手のセカンドキャリアの考え方は参考になります。「やりたいことができた」「転職したい」「解雇された」等といった理由で第二の人生を考えるきっかけが出てきます。セカンドキャリアを考えるきっかけが出た時に、どうしたら良いかと考え行動していくことがセカンドキャリアのスタートとなります。

セカンドキャリアを考える時、現在の仕事を活かせる職業に就くのか、奥村武博氏のように畑違いの仕事にチャレンジするのか。セカンドキャリアの道筋は様々に描くことができます。

セカンドキャリアが求められる理由

現役で働くビジネスパーソンにセカンドキャリアが求められる理由を説明します。

終身雇用制度の崩壊

日本の高度経済成長を支えてきた終身雇用制度は徐々に崩壊を迎えようとしています。日本は年功的な賃金制度を採用していますので、勤続年数が長いことは人件費の増大を意味します。終身雇用制度に耐えられなくなっている企業は、成果主義やジョブ型の人事制度を採用し、年功的ではなく成果や職務に応じて社員を評価し、賃金を与える運用に変えようとしています。

終身雇用制度が崩壊すれば、1つの会社に定年まで勤める働き方ではなく、セカンドキャリアを考えた働き方が求められるようになります。ビジネスパーソンは第二の人生の職業を考えていかなくてはならないのです。

VUCAの時代

現代は VUCAの時代と言われます。VはVolatility(激動)、UはUncertainty(不確実性)、CはComplexity(複雑性)、AはAmbiguity(不透明性)です。例えば、英国のEU離脱という激動、災害発生の不確実性、AIやIoT技術の進展という複雑性、SNSの発展による消費者ニーズの不透明性等が挙げられます。

VUCAの時代を想定して、ビジネスパーソンはセカンドキャリアを考える必要が出てきています。あるいは、VUCAが起こることで、否応なしにセカンドキャリアを実践しなくてはならないこともあります。

AIやITの発展

AIやITは、企業のビジネスのあり方を根本から変えました。例えば、AI技術の進展で自動運転が可能になりましたし、IoTの進展は農業や漁業にも影響を及ぼしています。AIやITを駆使した企業は業績を伸ばしていきます。一方で、企業がAIやITを駆使することで、縮小や撤退に追い込まれる事業も出てきます。

縮小や撤退に追い込まれた事業で働いてきた社員は、配置転換するか、子会社に出向するかといった選択を迫られることになり、セカンドキャリアが必要になってきます。

人生100年の時代

ロンドン・ビジネススクール教授であるリンダ・グラットン氏は、著書『ライフシフト』の中で人生100年の時代の働き方に言及しています。寿命が延びて人生100時代を迎えていく中、70代まで働く可能性も出てきます。長く働いている間にイノベーションが生まれて、既存のスキルが使えなくなることも。

働いている間に新しい仕事を考えたり、あるいは1つの会社に定年まで働いたとしてもリタイアせずに働き続けたりすることも考えられます。働く時間が増える可能性がある中で、セカンドキャリアが求められているのです。

企業がセカンドキャリアを推進する方法

企業が社員にセカンドキャリアを推進するにはどうしたら良いか、その方法について解説します。

人事戦略を再構築する

企業はセカンドキャリアを推進するため、人事戦略を再構築する必要があります。全ての人材に等しい価値を置くのではなく、優秀な人材に焦点を当てます。優秀な人材のコンピテンシー(行動特性)を把握し、優秀な人材を確保し定着させ、成長させる人事戦略(タレントマネジメント)が必要になってきます。

優秀な人材には社内でセカンドキャリアを考えてもらうため、挙手による職種転換を行ったり、社内ベンチャー制度を設けて新規事業開発に着手してもらったりします。新規事業開発により職種転換に繋がることもあるでしょう。優秀な人材が自在にセカンドキャリアを考え、実践してもらうことでセカンドキャリアが推進していきます。

キャリア研修を行う

セカンドキャリア研修を行うことも、セカンドキャリア推進のためには必要な取り組みです。社内の講師よりはセカンドキャリアに精通した講師に外部委託する方が効率的でしょう。

副業を認める

社員に副業を認めることもセカンドキャリア推進となります。副業を通じて新しい仕事に出会ったり、現職の中でチャレンジしたい課題を求めたりすることに繋がるからです。スタンフォード大学教授のジョン・D・クランボルツ氏はハプンスタンスアプローチを提唱し、偶然を活用するキャリア形成の重要性を訴えました。

本業と違う副業に触れることで、偶然の出会いやキャリアのヒントが得られることもあります。企業は副業を認めることで、社員が自律的にセカンドキャリアを求めていく道筋を立てさせることができます。

出戻り社員制度を作る

出戻り社員制度を作ることもセカンドキャリア推進となります。出戻り社員制度は、一度退職した社員を再雇用する制度です。他社を経験した社員を出戻り社員として雇用することで組織風土の活性化や社員に自律的なセカンドキャリア推進をすることができます。

早期退職制度を作る

早期退職制度を作り、セカンドキャリアを求める社員を後押しすることもできます。早期退職制度は退職金が上乗せ支給されるため、社員に、転職や自営等によるセカンドキャリアを求めさせることもできるのです。早期退職を行う時は、キャリア研修と併用して行うと社員もセカンドキャリアのイメージがつきやすくなります。

セカンドキャリアがうまくいく人の特徴

セカンドキャリアがうまくいく人の特徴を紹介します。

固定観念に縛られない

同じ仕事だけ続けていたいという人は、セカンドキャリアを考えようとしてもうまくいかないでしょう。固定観念に縛られず自分がセカンドキャリアを築いていく中で何が必要なのかを柔軟に考えることで、ハプンスタンスアプローチも活用できるし企業のタレントマネジメントにも適応できることでしょう。

チャレンジ精神がある

チャレンジ精神があることも、セカンドキャリアを推進するにあたって重要な観点です。チャレンジ精神があれば、これまで経験したことがない職務にも挑戦することができます。

学習意欲が高い

学習意欲が高いこともセカンドキャリアがうまくいく人の特徴です。自身の成長のために学んだり、問題を解決するために学習したりできる人は、第二の人生の職業に挑戦しても現状維持で満足せず学習していけます。

セカンドキャリア支援の紹介

最後に、行政が行うセカンドキャリア支援を紹介します。

地域おこし協力隊

地域おこし協力隊とは、総務省が行っているセカンドキャリア支援事業です。過疎地域への定住を図る取り組みで、1人あたり上限400万円の財政支援があります。

東京セカンドキャリア塾

東京セカンドキャリア塾とは、65歳以上のシニアを対象としたセカンドキャリア支援です。東京都が行っています。

まとめ

第二の人生の職業を意味するセカンドキャリア。終身雇用制度の崩壊、AIやITの発展等により、30・40代といった現役世代の会社員でもセカンドキャリアを意識する必要が出てきています。

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