過渡期とは?意味・使い方・例文・ビジネスでの使い方を解説

過渡期の意味を理解しているでしょうか?会社が既存事業から新しい事業に転換していく時期を過渡期といいます。過渡期はビジネスではよく使われる言葉なので、意味や使い方、例文、そしてビジネスでの使い方をマスターしていきましょう。

目次

過渡期とは?

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「ベンチャー企業のA社は成長の過渡期にある」「フィルムカメラからデジタルカメラへの転換の過渡期」など、ビジネスでは過渡期が使われます。過渡期はどういう意味なのか確認しましょう。

過渡期の意味・読み方

過渡期とはある状態からある状態へ変化していく時期という意味です。読み方は「かとき」です。例えば、1990年代後半はフィルムカメラからデジタルカメラへの過渡期です。1995年以降、Windows95が発売された影響で写真をデジタルで記録するようになりました。

徐々に画素数も増加して一般消費者にデジカメが浸透するようになり、2002年にはデジカメの出荷台数はフィルムカメラを追い抜くまでになりました。 例でいえば、市場がデジカメに変化していく1990年代後半が過渡期です。

ちなみに2002年は既に写真機の市場がデジカメに置き換わっています。過渡期とは「ある状態からある状態へ変化していく時期」をいうので、2002年では既に過渡期は過ぎ去っています。

過渡期の類語

過渡期には転換期という類語があります。過渡期も転換期も変化していく時期を言い表し、言い換え可能な言葉です。

変革期という類語は、「状態が変化していく時期」という意味で使える点で過渡期と同じです。ただ、過渡期よりも大きな変化を伴うときに変革期を使います。

また、黎明期を過渡期の類語と捉えがちですが、両者の意味は異なります。黎明期は新しい時代が始まろうとする時期を意味します。例えば日本市場のスマートフォンの黎明期は2004年頃。

ノキアの702NKが登場しスマートフォンの黎明期を形成しました。まだ日本ではフィーチャーフォン(ガラケー)が主流。今でこそ誰でも使っているスマホの幕開けは702NKが切り開いたのでした。

過渡期の使い方

ビジネスではどのように過渡期を使うか、使い方を確認しましょう。

過渡期である・過渡期にある・過渡期を迎える

過渡期は「過渡期である」「過渡期にある」あるいは「過渡期を迎える」などと使われます。3つとも意味は共通です。

  • 過渡期である
  • 過渡期にある
  • 過渡期を迎える

環境変化が起こったときには、業界をまたぐほどの変化を求められますよね。例えば、紙の記録から電子化へ変化していく現在は、プリンターや倉庫業界にとって「過渡期である」「過渡期にある」といえます。

過渡期は世代交代というときにも使われます。ベテラン社員で構成されていたチームを刷新するとき、「当社の開発チームは世代交代の過渡期を迎えている」と使います。

会社や人材の成長の「過渡期」

ビジネスでは、会社や人材が成長していくときにも過渡期を使います。ベンチャー企業が事業を成功させ、成長しつつあるとき「成長の過渡期にある」といいます。

ベンチャー企業が既存企業にはない新製品を市場に投入しても、すぐに売れるとは限りませんよね。しかし徐々に市場に受け入れられれば成長の階段を上っていけます。市場に受容される時期は、ベンチャー企業にとって成長の過渡期なのです。

人材の成長も同じことがいえます。右も左も分からなかった新入社員は、仕事で揉まれます。失敗も繰り返すかもしれませんが、小さな成功体験を積むことで自信がついていきます。新入社員にとって仕事に慣れていく時期は成長の過渡期です。

新しい事業への移行期としての「過渡期」

順調に事業を営んでいく企業にも過渡期が訪れます。既存事業から新しい事業に移行する時期が過渡期です。

IT企業のIBMはパソコンメーカーとして世界一のシェアを誇っていました。しかしPC事業はコモディティ化していると判断し、2004年にPC事業を他社に売却しました。現在、IBMはコンピュータサービス、コンサルティング会社に転身しています。

過渡期を使った例文

過渡期の使い方のイメージがついてきたと思います。過渡期を使った例文を具体的に見ていきましょう。

厳しい上司の下で働く鈴木さんは、自身の殻を破る過渡期にいる。

創業者から新社長に代わったことで、X社の経営は過渡期の真っただ中にある。

過渡期の対義語

過渡期の対義語である安定期、最盛期の意味を確認しましょう。

安定期

安定期は、物事が落ち着いている時期をいう言葉です。

がむしゃらに経営してきたスタートアップ企業が事業を軌道に乗せれば、安定期に入ったといえます。独立して事業を営む人が固定客を得て、経営を安定させれば、その時期は安定期です。

過渡期は状態が変化していく時期ですから、変化のない安定期は対義語として使えます。

最盛期

最盛期も過渡期の対義語です。意味は物事の勢いが盛んな時期ということ。

「江戸時代の最盛期」「ニューヨークに進出したときがY社の最盛期だった」などと使えます。後者の例でいえば「最盛期だった」という表現なので、現在は最盛期を過ぎ去ってしまったことが分かります。

ある期間を抽出して勢いが盛んな時期を最盛期と表現しますから、現在から見た過去の表現で使われることが多いです。

ビジネスで使う過渡期

ビジネスシーンごとに異なる過渡期は使い方を確認しましょう。

ビデオテープからDVD

動画の記録・再生メディアとして、1980年代から1990年代にかけて普及していたのはビデオテープ。レンタルビデオの出店もあり、消費者に浸透していきました。

ビデオテープの後継メディアとして開発されたのがDVDです。1996年はDVDの黎明期にあたり、DVDプレイヤーが発売された年でした。 DVDは徐々に消費者に浸透し、1990年代末から2000年代初頭の期間がビデオテープからDVDへの過渡期となりました。

DVDへの過渡期に発売されたプレイヤーとして知られるのはプレイステーション2(PS2)。元々はゲーム機ですが、同時にDVDプレイヤーにもなることから、記録・再生メディアの変化を後押ししました。PS2の発売は2000年。DVDへの過渡期に、DVD浸透の旗振り役としての役目を務めました。

ガラケーからスマートフォン

前述の通り、スマートフォンが日本市場へ登場したのは2004年です。2004年当初、スマホはガラケーを脅かす存在にはなれませんでした。

しかし2008年にアップルのiPhoneが日本市場に登場すると、スマートフォンに乗り換える消費者が表れ始めました。2008年~2009年あたりは、ガラケーからスマートフォンへの移行の過渡期といえます。

現金払いからキャッシュレス決済

日本は現金払いが一般的です。経済産業省の調査によれば、2016年の日本のキャッシュレス決済の比率は約20%。アメリカの46%、英国の68.6%と比べると低い数値です。

キャッシュレスの現状及び意義 経済産業省は、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで倍増したい考えです。現在はまさに現金払いからキャッシュレス決済への過渡期です。実際、キャッシュレス決済の比率は、2016年の20%から2018年には24.1%まで上昇しています。

2019年には、消費税10%上昇に伴って、キャッシュレス決済をした人に購入金額の最大5%が還元される仕組み(キャッシュレス・消費者還元事業)がスタート。

この事業は消費増税分をキャッシュレス決済で補いたい消費者心理を後押しますが、同時に消費者がキャッシュレス決済に慣れる仕組みでもあります。現在がキャッシュレス決済へと支払い方法が変わっていく過渡期であることが分かります。

新しい経営者による経営改革

経営者が代わって経営改革が行われるときは、経営改革の過渡期です。既存事業の撤退、新市場への進出、新製品の開発、組織の再編、人事制度の改定、人材の抜擢など経営改革は様々な分野に影響を及ぼします。経営改革が軌道に乗るまでは経営改革の過渡期となります。

まとめ

ビジネスでは日常的に使用する過渡期という言葉。ある状態からある状態へと変化していく時期を表す言葉として、企業や組織、人材に対しても過渡期は使えます。新しい事業への過渡期、業界の過渡期、新しい決済手段への過渡期など、過渡期は多様な場面で使われます。

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