大きな変化が起きるときに使えるドラスティック。「ドラスティックな経営改革が必要だ」というとき、どれくらい大きな変化を表現する言葉なのでしょうか。ドラスティックは大きな変化で使うので多用しませんが、ビジネスでは知っておくべき用語です。ドラスティックの意味や使い方、例文、類語、対義語を解説します。
ドラスティックとは?
大きな変化が起きるときに使えるドラスティックという言葉。ドラスティックの意味、使える場面を確認します。
ドラスティックの意味
ドラスティックは過激な、思い切った、徹底的なという意味で使われます。大きな変化が起きるときに使えるため、ちょっとした変化が生じた程度ではドラスティックは使いません。経営ビジョンや経営方針や組織の改革を行うときにドラスティックを使います。
ドラスティックの語源
ドラスティックの語源は英語のdrasticで、カタカナ語として使われる言葉です。英語のdrasticはドラスティックと同じで、「過激な、思い切った、徹底的な」という意味があります。
政治やビジネスの場面で使用
ドラスティックは物事が根本から覆るほどの変化が起こるときに使います。ドラスティックは、政治家が思い切った法改正を行う場面、あるいはビジネスで経営者が改革を行う場面などで使われることが多いです。
ドラスティックの使い方・例文
ドラスティックの使い方・例文を見てみましょう。
急激な変化が起こるときに使う
ドラスティックは「過激な、思い切った、徹底的な」という意味で使われます。ですから日程変更やシフト変更を行う程度では、ドラスティックの使用は不向きです。日常的な変化ではなく「既存の製品を廃止して新しい製品にドラスティックに変更する」のように、急激な変化が起こるときに使うのです。
環境変化によって急激な変化が起こるときにも、ドラスティックは使えます。新型コロナウイルス感染症を防止するため、緊急事態宣言の間だけ在宅勤務を推進した企業がありました。一方で、宣言解除後も在宅勤務を継続するという、大きな決断を行った企業があります。
例えば日立製作所は、2021年以降に、週に2~3日、勤務日の5割を在宅勤務にする方針を発表しています。 日立製作所、「週2~3日出社」を導入する理由 日立製作所は人に仕事を割り当てる「メンバーシップ型雇用」から、仕事に人を割り当てる「ジョブ型雇用」に人事制度を転換しようとしています。
つまりジョブ型雇用を促進するために、在宅勤務が必要との考えなのです。在宅勤務が前提の働き方に変わるというのは、まさにドラスティックな変革といえるでしょう。
ドラスティックの例文
ドラスティックを使った例文を2つ確認していきます。
経営改革するとき
「富士フイルムは既存事業の知見や経験を元に、ドラスティックに新規事業を開発した」という例文を見てみます。これは経営改革の例文です。
現在、富士フイルムは、カメラ、フィルム、医療、化粧品など多岐にわたる事業を展開しています。かつてフィルムカメラが写真機のメイン市場を占めていた頃、富士フイルムはフィルムカメラやフィルムでの事業を生業としていました。 1990年代前半、フィルムカメラが淘汰されデジカメに移行していく中で、富士フイルムはドラスティックな経営改革を行いました。
例文の新規事業が医療や化粧品などの新しい事業のことです。もはやフィルム事業は淘汰されていくと予測された時期に、富士フイルムは、フィルム事業で培った知見や経験を元に医療や化粧品という異分野に挑戦しました。このような経営改革ではドラスティックという言葉がふさわしいです。
不変であることを強調するとき
「当社の創業者精神は、いくら時代が変わってもドラスティックな変更はない」という例文を見てみます。これまで、ドラスティックは急激に変化することだと説明してきました。例文ではむしろドラスティックを使い創業者精神が不変であることを強調しています。
経営戦略やマーケティング戦略は、環境変化や時代の流れで変わっていくものです。場合によってはドラスティックに変わることもあるでしょう。ただ、創業者精神は経営の中核となりますから、環境や時代が変わったからといってドラスティックに変わるものではありません。
変わらないものを強調する場面でも、ドラスティックは使えるのです。
ドラスティックを正しく使うための注意ポイント
ドラスティックを間違って使うことがないよう、正しく使うためのポイントを確認します。
良い意味で使う
ドラスティックは良い意味で使います。「ドラスティックな経営戦略を行い新しい市場を開拓した」「ドラスティックに組織を変えて人材の活性度を高めた」のようにプラスの方向に進むときに使うのです。
ドラスティックの持つ「過激な、思い切った、徹底的な」という意味だけを捉えて、悪い意味で使うのは誤りです。例えば、「会社が残業を禁止したせいで、ドラスティックにモチベーションが下がった」という使い方はしません。
普通の変化では使えない
ドラスティックは大きな変化で使いますから、普通の変化、小さな変化では使えません。「彼女の営業成績が10位から9位に上がったのは、ドラスティックな変化だ」という使い方は誤りです。ただ、なかなか1位になれない中で1位を獲得すれば、ドラスティックな変化という表現ができます。
ドラスティックの類語・対義語
ドラスティックは、良い意味で、大きな変化で使うことが理解できたと思います。最後にドラスティックの類語、対義語を確認していきます。
ラディカル
ラディカルは徹底的、急進的という意味があり、ドラスティックと同じ意味で使われます。例文を見てみましょう。
・新社長は経営方針をラディカルに変えたので、会社に高業績をもたらした。
・生産性を向上させるには、働き方をラディカルに変えていくべきだ。
ラディカルをドラスティックに置き換えても意味が通じますね。
革新的
革新的は制度や慣習、組織を新しくする様という意味があります。ドラスティック同様に大きな変化を伴うときに使えます。ドラスティックと違うのは、革新的には新しいものを生み出すという意味合いが込められている点です。例文を見てみます。
・A社の新製品は全世代の需要を喚起した革新的な製品だ。
・山田さんは革新的な営業アプローチ方法を編み出した。
革新的という言葉には、大きな変化を伴いながらも、新しいものを生み出す意味があることが分かります。
抜本的
抜本的は原点に戻って変化する様を意味する言葉です。大きな変化を伴うという意味ではドラスティックと同じなのですが、抜本的には現状から原点に戻って変化し、改革していく意味合いがあります。例文を見てみます。
・少子高齢化を解決するには、若年無業者問題から抜本的に解決する必要がある。
・新製品の開発を進めるよりも、他責的な組織風土を抜本的に改革することが先だ。
中庸
中庸はかたよらず、変わらないことを意味する言葉です。大きな変化を意味するドラスティックの対義語として使われます。中庸は、大小のどちらにもかたよらず、中正を保つことを意味します。例文を見てみます。
・賛成・反対にかたよりすぎず、中庸を重んじよう。
・Cさんは課長の意見ばかり聞き過ぎるので、もっと中庸を保って欲しい。
中庸には、どちらかにかたよることなく、調和が保たれているという意味があることが分かります。
マイルド
マイルドは穏やかな様を意味する言葉です。マイルドもドラスティックの対義語です。例文を見てみます。
・極端になりがちな彼の思考をマイルドに改める。
・過激な解決案ばかりでなく、マイルドな案を求める。
マイルドは穏やかな様を表す言葉だということが分かります。
まとめ
ドラスティックは、大きな変化を伴うときに使われます。「過激な、思い切った、徹底的な」という意味があります。日常的な変化にはドラスティックを使いません。常識を覆すような変化が起きるときに使える言葉なのです。ドラスティックは政治やビジネスで使われることが多いです。