インターネットが身近になる中で、ネットリテラシーが注目されています。ネットリテラシーとは情報を活用する知識・能力のことを言います。ネットリテラシーを活用しないと、いつの間にか情報の被害者や加害者となることがあります。この記事では、情報の受信者・発信者側に求められるネットリテラシー、ネットリテラシーが低い人の特徴、鍛え方を解説します。
ネットリテラシーとは?
ネットリテラシーとは情報を活用する知識・能力のこと。インターネットの利用が身近になる中で、情報を発信し、あるいは受信する場合のどちらもネットリテラシーを活用する必要性が出てきています。
例えば、SNSにうっかり自分の個人情報を挙げてしまい、住所を特定されるといった怖い経験をしたことはありませんか?
あるいはメールに「クレジットカードの利用を停止します」という文面があり、迷惑メールと気付かずにクリックしたことはないでしょうか。
スマホの浸透でいつでもどこでもネットを閲覧できる現代だからこそ、ネットリテラシーの意味を理解し活用していく必要性が出てきています。
情報を受信する場合のネットリテラシー
インターネットには多くのメディアやSNS、動画コンテンツなどがあります。中には有益な情報もありますよね。ただ、インターネットには根拠なく発信されている情報もあります。
情報の信頼性を把握しておかないと、誤った情報を元に行動しリスクに繋がることも。情報を受信する場合のネットリテラシーを確認しておきましょう。
WebメディアやSNSの信頼性
WebメディアやSNSには誤った知識を元に情報が書かれていることもあります。例えばインフルエンサーがSNSで「モデルのAが△△ブランドの質が落ちたと言っていた」と発信したとします。
情報の受信者はインフルエンサーを信頼しているので「△△ブランドは買わないようにしよう」と思います。しかし、実際に調べてみるとモデルのAは「△△ブランドの質が落ちた」と発言していないこともあるのです。
情報の発信源を確認しないと情報を誤認して誤った行動を起こすリスクに繋がります。
動画コンテンツの信頼性
動画コンテンツも誤った知識を元に情報を発信していることがあります。WebメディアやSNSに比べ動画は受信者に与える影響力が高いため、情報を選別する意識が必要です。
メールやSMSの信頼性
メールやSMSに「セキュリティの警告」「〇〇IDがアンロックされました」など、受信者をドキッとさせる文面が届くことがあります。
IDが使えなくなるかもしれないなど受信者の不安をかきたてる文言が並んでいると、ついクリックしたくなるでしょう。正しい情報かどうかを確認する必要があります。
情報を発信する場合のネットリテラシー
次に情報を発信する場合のネットリテラシーについてです。思わぬうちに情報の被害者にならないよう、注意します。
個人情報が特定されるリスク
SNSに写真や文章をアップするときには個人情報が特定されるリスクがあることに注意します。
住所や氏名などを載せていなくても、「近所の本屋さんに行ったときの写真」「会社近くのお気に入りのカフェの写真」などを投稿するだけで、個人情報の特定に繋がることがあります。
個人情報が特定されるリスクを想定した上で、情報を発信する必要があります。
子どもが犯罪に巻き込まれるリスク
子どもの成長をSNSにアップしていると、子どもの個人情報を特定されて性犯罪や誘拐などの犯罪に巻き込まれるリスクも。子どもの画像は特定の人にしか情報を共有しない、安易にSNSのフォロワーを増やさないなどの対応が必要です。
コンプライアンス違反のリスク
SNSを使えば気軽に情報を発信できます。しかし、芸能人を誹謗中傷したことがコンプライアンス違反のリスクに繋がることがあります。
「匿名で書いたのでバレない」と思うかもしれませんが、プロバイダ責任制限法により情報の発信者を特定されることがあります。名誉棄損による損害賠償や、芸能人の自殺などの社会問題に繋がるリスクに注意して発信する必要があります。
ネットリテラシーが低い人の特徴
ネットリテラシーが低い人にはどんな特徴があるのか確認していきます。1つでもあてはまると思った場合には注意しましょう。
どんな情報でも鵜呑みにする
インターネットのどんな情報でも鵜呑みにする人はネットリテラシーが低くなりがちです。
好きな芸能人の動画コンテンツには、「好きな芸能人を信頼する」という受信者のバイアス(偏見)が働きます。「好きな芸能人が言っているが本当かな?」という疑問を持っておく必要があります。
個人情報に関する意識が低い
SNSのフォロワーを増やしたい、コメントが欲しいという欲望のために個人情報への意識が低くなってしまう人はネットリテラシーが低くなりがちです。
SNSに楽しさを感じることは構いませんが、個人情報をさらすことのリスクを考えつつ発信する必要があります。
情報を精査せずに他人を批判する
正義感のつもりで情報を精査せずに他人を批判する人はネットリテラシーが低くなりがちです。企業が運営しているオウンドメディアであっても、必ずしも情報が正しいとは限りません。
例えば政治家や企業の不祥事の記事を見ると叩きたくなる気持ちになるでしょう。しかし他人を批判したい余りに情報を鵜呑みにすると、名誉棄損に繋がることがあるので注意します。
ネットリテラシーの鍛え方
ネットリテラシーを活用できないと、情報の加害者・被害者になることがあります。情報に惑わされないためにネットリテラシーの鍛え方を紹介します。
情報が事実か意見かを見極める
受け取ったインターネットの情報は事実に基づいているでしょうか?ネットリテラシーを鍛えるには、情報が事実か意見かを見極める視点が必要です。
例えば情報源を書いている記事は「事実」です。一方で情報源が何もなく、筆者の思い込みで書かれている情報もあり、これは事実ではなく「意見」と言うことができます。
事実か意見なのかを見極める視点を持ち続けると自然と癖になって、情報を精査することができるようになります。
広い視野を持つ
広い視野を持つこともネットリテラシーを鍛えるのに必要なポイントです。インターネットにはWebメディアやSNS、動画コンテンツ、オンラインサロンなど様々な情報があります。
インパクトが強い情報に接すると事実であるかのように錯覚することがありますが、「こういう考え方もあるよね。違う意見も見てみたい」といった広い視野を持つ必要があります。
批判的思考を身につける
批判的思考を身につけることもネットリテラシーを鍛えるのに役立ちます。批判的思考とは、現時点の最適解を生み出すために目前の事象を疑い、洞察して課題を設定していける思考法です。
例えば「モデルAが△△ブランドの質が落ちたと言っていた」という情報に接したとき、「本当にそうか?」と疑います。Aの言動を調べると共に△△ブランドへの他者の意見を調べて客観性を担保し、「Aが言っていることが事実だ」という結論に至ることが批判的思考です。
書籍や文献から根拠を探す
インターネットの情報に接したとき、書籍や文献から根拠を探す癖を付けましょう。批判的思考とも重なりますが、「本当にそうか?」と疑い事実を検証するとき、書籍・文献から根拠を探すことが有用です。
ネットリテラシーを学べるおすすめ本
ネットリテラシーを更に学びたい人のために、おすすめの書籍を3つ紹介します。
FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
FACTFULNESSは人間の思い込みを防ぐためデータを元に意思決定することの重要性を説いて、全世界でベストセラーになっています。人間の本能を10種類に分け、事実を適切に見るための方法論が書かれています。ネットリテラシーを鍛えるために有用な書籍です。
FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
大学生のためのメディアリテラシートレーニング
大学生のためのメディアリテラシートレーニングは、情報学の専門家によるメディアリテラシーの鍛え方が開設されている本です。テキストとトレーニングの2分冊スタイルなので、テキストを参照しつつメディアリテラシーの訓練が可能です。著者は大学教員なので根拠がしっかりしています。
まとめ
インターネットを身近に使うのが当たり前になっている現代、メディアリテラシーの重要性はますます高まっています。いつの間にか情報の被害者や加害者になってしまわないよう、情報を賢く活用していきましょう。