費用対効果とは?意味・使い方・ROIとの違い・計算例・高める方法を解説

費用対効果の記事

費用に対してどれだけの効果があるかを算出する費用対効果。費用対効果を考えることはビジネスの基本で、会話でもよく使われる言葉です。費用対効果の意味や使い方を知らないと、費用をムダに使い過ぎ、また、効果が出た原因を把握することができません。記事では費用対効果の意味、使い方、ROIとの違い、計算例について解説します。

目次

費用対効果とは?

費用対効果の意味、費用と効果をどのように考えるのかについて確認します。

費用対効果の意味

費用対効果はかけた費用に対してどれだけの効果があったのかを示す指標のこと。費用対効果の計算式は「効果-費用」によって求められます。

具体例で考えてみると分かりやすいので、一緒に見ていきましょう。

従業員300名の会社で働く給与計算の担当者は、エクセルで勤怠を集計していました。勤怠の集計に大きく時間がかかることから、勤怠の残業時間は20時間/月に及んでいました。時給に換算すると1,500円×20時間=30,000円です。 給与計算の負担を軽減するため、会社がクラウド型勤怠システムの導入を検討しました。

勤怠システムを導入するには、初期費用は無料ですがランニングコストとして従業員1人あたり200円がかかります。これを費用対効果で考えてみます。

クラウド型勤怠管理システムの導入により、残業代30,000円を削減できると考えるため30,000円の効果が発生します。しかしシステムのランニングコストの合計は、「200円/人×従業員300名=60,000円」かかってしまうのです。60,000>30,000ですから効果よりも費用の方が多くかかります。

これでは費用対効果があるとはいえません。ですから、クラウド型勤怠管理システムの導入は見送ろうという意思決定ができるわけです。

費用をどのように考えるか

費用対効果の「費用」はお金だけではありません。お金・時間・労働力が費用対効果で考える費用なのです。つまり経営資源が費用です。例えば「システムを導入するのに多くの時間がかかったが、費用対効果が得られた」という風に使えます。

効果をどのように考えるか

費用対効果の「効果」とは費用によって得た利益や成果をいいます。クラウド型勤怠管理システムの例でいえば、削減できた残業代が効果です。 もう1つ例を挙げてみます。営業が受注額を増やすために年間50万円の顧客管理システムを導入し、結果的に100万円の受注増に繋がれば、受注増となった100万円が効果ということになります。

費用対効果の使い方

費用対効果の使い方について、広告・工場投資・労働時間の費用対効果に分けて確認します。

広告の費用対効果

広告の費用対効果の使い方を見ていきます。A社は、Web広告に50万円をかけて教育サービスアプリを売っていました。結果、A社の利益は80万円が得られたとすると、80万円-50万円=費用対効果30万円ということになります。利益額だけでなく売上高や受注額を指標として費用対効果を考えることもできます。

工場投資の費用対効果

工場を新たに新設したB社。工場投資に対する費用対効果を考えるには、売上高、生産量(円に換算する)を指標とします。工場投資に1億円がかかったとして、売上高が2億円増えれば、2億円―1億円=費用対効果1億円です。生産量で考えると、工場を新設したことで単価10万円の商品の生産量が2,000個生産できれば2億円の効果となり、費用対効果は1億円です。

費用対効果がゼロやマイナスになる場合も考えてみます。生産量が1,000個だと1億円の効果で、費用対効果はゼロです。生産量が1,000個を下回ると費用対効果はマイナスに陥ります。

費用対効果とROIとの違い

費用対効果に対してROIという考え方もあります。両者の違いを確認します。

ROI は投資利益率

ROIは投資した費用に対してどれだけの効果があったかを示す指標です。日本語では投資利益率といいます。費用対効果の単位は「円」で表されますが、ROIの単位は「%」です。投資という観点で、どれだけの利益があったかという割合を示すのがROIです。

費用対効果とROI の計算式

費用対効果とROIの違いを計算式で確認しましょう。

  • 効果-費用=費用対効果(円)
  • 利益÷費用×100=ROI(%)

費用対効果もROIも、費用に対してどれだけの効果があったかを示す指標であることには変わりありません。しかし単位が円と%であることで、効果(利益)に対する考え方がそれぞれ違います。具体的な違いは計算例を元に考えます。

計算例で分かる費用対効果とROIの違い

計算例を元に、費用対効果とROIの違いを具体的に見ていきましょう。

広告費に対してどれだけの利益が出たかを考えます。計算に必要なデータは次の通り。

  • 売上高:100万円
  • 仕入額:25万円
  • 広告費:30万円

紙媒体の広告とWeb広告の比較で考えます。まずは紙媒体の広告から。

費用対効果とROIの計算で必要な項目は、効果(利益)と費用でした。上記データでは利益が分かりませんので計算します。

利益の計算は、「売上高-仕入額-広告費」によって求められます。つまり売上総利益です。計算すると、100万円-25万円-30万円=45万円が利益です。 次にWeb広告です。

  • 売上高:95万円
  • 仕入額:25万円
  • 広告費:20万円

95万円-25万円-20万円=50万円が利益です。

以上の情報を元に費用対効果およびROIの計算例を確認します。

費用対効果の計算例

費用対効果で計算してみると、紙媒体の費用対効果は45万円-30万円=15万円となります。次にWeb広告の費用対効果は50万円-20万円=30万円です。利益だけを見ると45万円と50万円なのでそう大きな違いはないですが、費用対効果で考えると両者のギャップは15万円になるのです。

ROIの計算例

ROIで計算してみると、紙媒体のROIは45万円÷30万円×100=150%となります。次にWeb広告のROIは50万円÷20万円×100=250%です。費用対効果では金額ベースでどれだけの利益が出たのかということしか分かりませんでした。ROIは投資した費用に対する割合が分かるのです。

費用対効果を高めるには?

どうすれば費用対効果を高めることができるでしょうか?広告費を例に考えます。

費用を削減する

費用対効果の計算式は「効果-費用」で求められますから、広告費を減らせば費用対効果は高まります。しかし、必要な広告費も減らしてしまうと効果が減少し、かえって費用対効果が得られないことになります。例えば見込み客(リード)の需要を調べ、需要が高いリードに対して重点的に広告を打てば、広告費を減らしつつ費用対効果を得ることができます。

需要に応じて価格を上げる

消費者や顧客の需要に応じて価格を上げることも、費用対効果を高める手段です。需要を満たす商品であれば、たとえ価格が上がったとしても購入してくれます。もっとも、単純に価格が上がっただけだと消費者の反発を買うだけなので、価格が上がるだけのプライオリティは必要です。同じ広告費がかかっても価格が上がれば、利益も上昇するので費用対効果が高まるのです。

販売量を増やす

費用対効果を高める方法として、販売量を増やすことも挙げられます。販売量を増やすには、そもそも、広告費を増やさないと難しい面があります。ですから、増やした広告費よりも多くの販売量を見込む必要があります。ある程度価格が高くて、多くの販売量が見込める商品に対して、集中的に広告費を打てば広告費以上に販売量が増えるでしょう。

まとめ

事業を考える上で費用対効果の概念は重要です。投資した費用からどれくらいの効果が見込めるのか?を価格が考えるのが費用対効果です。それに対して割合で効果を見るのがROIでした。計算例で確認したように、複数の投資の効果を見るときにも費用対効果とROIは使えるのです。

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