会社や上司に具体的な実行ステップを説明したいとき、どうしたら良いでしょうか?組織の了解を得るためには企画書が必要になります。企画書には具体的なステップに起こすための計画が書いてあるので、実行のイメージも湧きやすいです。この記事では、企画書と提案書の違い、企画書の種類、そして説得力がある書き方について解説します。
企画書とは?
企画書とは、自身や組織の考えを具体的なステップに落とし込むための計画を記した書類です。
例えば営業のアクションプラン、新しい商品の検討などに企画書が使われます。どれほど精緻に考えられた計画であっても、口頭ではなかなか伝わりません。言葉や図で表すことで考えを具体化し、実行に移していけるのです。
企画書と提案書の違い
企画書と似た書類に提案書があります。提案書と企画書の違いは、具体的なステップに落とし込むための計画が詳細かどうかという点にあります。例えば「新しく商品を考えたい」とき、商品企画をまとめたものが提案書です。
アイデアレベルのざっくりしたものでも提案書です。そして商品企画を実行に移すために必要なフロー、コスト、人員、スケジュールなどの計画を詳細にまとめたものを企画書というのです。
なぜ企画書を書くのか
企画書を書く理由は大きく2つに分けられます。
- 相手に意思決定してもらうため
- 問題解決のため
例えば経営者は、新しい商品企画について意思決定するにあたり、商品企画書を元に判断します。商品企画の理由、売上予測、収益性、マーケティングなどを通じ、商品を開発して良いかどうかを経営者は見極めるのです。
企画書を書く理由の2つ目として、問題解決があります。既存商品が売れなくなり、売上高が減少したとします。売上高減少を食い止めるために商品企画書を作成し、新商品を開発します。問題解決策として商品企画書を活用するのです。
企画書の種類
企画書にはいくつかの種類があります。代表的な3種類の企画書を紹介しますので、それぞれの違いを確認しましょう。
営業企画書
営業企画書とは、営業のアクションプランを詳細に記した書類です。
営業企画書には、目的、マーケティング分析、営業プロセス分析、営業プロセスの改善策、受注までのスケジュール、収支計画などが書かれています。
つまり、どのように営業を進めるのか、商品・サービスごとに分けて細かく計画していくのです。
商品企画書
商品企画書とは、新しい商品の開発プランを詳細に記した書類です。
商品企画書には、目的、現状の商品の課題、市場や顧客のニーズ、新しい商品の概要と既存商品との差別化、開発スケジュール、収支計画などが書かれています。つまり、新しい商品の魅力を伝えて、開発までのスケジュールを計画していくのです。
事業企画書
事業企画書とは、新規事業プランを詳細に記した書類です。新規事業を立ち上げるにあたり、社内や金融機関の融資の決裁のために事業計画書を使います。
事業企画書には、目的、外部と内部の環境分析、市場や顧客のニーズ、売上予測、財務分析などが書かれています。社内決裁や融資決裁など、事業企画書は用途に応じて書くべき項目や記載内容の濃淡が変わります。
企画書を書くために必要な準備
企画書を書くには色々と準備が必要です。「新しい商品を開発したい」からといって闇雲に書くものではありません。企画書作成に必要な準備として5ポイントを解説します。
いきなり書いてはいけない
何も考えずにいきなり企画書を書き始めると「何を言いたいのか分からない」「何を書いたら良いか分からなくなった」などの問題が生じます。
また、アイデアが次から次へと生まれて、統一感のない企画書になってしまうことも。いきなり書くのではなく、まずは箇条書きで企画書の方向性を考えることから始めて下さい。
企画書の方向性を考える
企画書を書き始める前に企画書の方向性を考えましょう。営業企画書であれば、営業企画書を使って相手に伝えたいことをメモに書きます。箇条書きで構わないので、ざっくりとした方向性を考えます。
浮かんできたアイデアをメモする
企画書の方向性が決まったらアイデアを考えてメモします。まだ営業企画書の概要を書く段階ではないため、とりとめのないアイデアで結構です。
思いついたことはすぐに書かないと忘れてしまいます。手帳でもスマホのメモ機能でも構わないので、記憶しているうちにメモします。
概要を書く
浮かんできたアイデアをメモしたら、企画書の概要を書きます。営業企画書や商品企画書など、企画書の種類によっておおまかな構成が決まっています。
個々の構成にどんなことを書くのかを書いていきましょう。概要作成も手帳やスマホのメモ機能などで十分です。
企画書に合った体裁を決める
概要まで完了すればいよいよ企画書を書いていきますが、その前に企画書に合った体裁を決めて下さい。パワーポイント、ワードなどの体裁を決めてから企画書作成に着手します。
説得力がある企画書の書き方7つのポイント
企画書の準備が終われば実際に企画書を書いていきます。企画書の目的には「相手に意思決定してもらうため」「問題解決のため」の2パターンがありました。
良い企画書とは目的を達成する企画書であるということ。そのためには説得力がある企画書を書く必要があります。企画書作成の7手順を解説します。
タイトルは分かりやすく
タイトルは相手が最初に見る部分。パッと見て「何が言いたいのか?」と思われるタイトルにはせず分かりやすいタイトルをつけましょう。
長過ぎるタイトル、言葉を盛り込み過ぎているタイトルなどは避け、一読して「読んでみたい」と思わせるシンプルなタイトルをつけます。
企画書の目的・対象者を明らかにする
企画書の冒頭には企画書の目的を入れます。「なぜ企画書を書いたのか」「相手に伝えたいポイントは〇〇である」のような目的を明らかにして下さい。冒頭に目的を書くことで、企画書作成者の意図通りに読んでもらうことができるのです。
また、目的には企画書の対象者のことを想定します。経営者、上司、顧客などの対象者向けに企画書を書いたことを伝えれば訴求力が高まります。
コンセプトを明らかにする
企画書の統一感を持たせるためにもコンセプトを明確化します。コンセプトとは企画書の理念のようなもの。「私はこういう思いで企画書を書いているのだ」という理念が相手に伝わるよう、明確なコンセプトで企画書を貫いて下さい。
目的・対象者・コンセプトと繋がる実施計画を
企画書の具体的なステップでは、企画書の目的・対象者と繋がる実施計画を書きましょう。実施計画だけが浮いてしまわないよう、目的・対象者・実施計画を一本のコンセプトで貫くのです。
スケジュールと予算を作る
企画書を書くときに難しいのがスケジュールと予算作り。商品開発のスケジュールを書く場合、関係する部署と人材、プロジェクトごとの期限などを綿密に作成する必要があります。
スケジュールを書いたら書きっ放しではなく、必ず見直して矛盾がないか、無理がないかを確認して下さい。 また、予算は決められた数値をオーバーすることがないよう、企画書の中で合理的な使途を書いて下さい。
対象者へアピールする
企画書によって相手の意思決定や問題解決策を理解してもらうには、重要ポイントを訴求すること。伝えたいポイントについて、企画書を用いて相手にアピールするのです。
重要ポイントの中でもアピールしたいのが実行に移すための詳細な計画です。営業企画書なら「営業プロセスの改善策」「受注までのスケジュール」、商品企画書なら「新しい商品の概要と既存商品との差別化」「開発スケジュール」が該当します。
現時点で想定される課題を設定する
企画書を書くときには現時点で想定される課題も設定します。企画を実行したときに想定されるマンパワー不足、労働時間の増大、システムへの負荷などを記載します。
「課題を書くと決裁されないのでは?」と考えて課題を隠すと、後で課題が表面化したときに大きな問題となります。
現時点で課題が分かっているならハッキリと記載し、解決できるものは解決していけば良いのです。解決が難しい課題についてはどうすれば解決できるかを具体的に考えます。
まとめ
企画書の目的は「相手に意思決定してもらうため」「問題解決のため」の2パターン。良い企画書とは目的を達成できる企画書です。企画書を書くまでの準備を念入りに、7手順を守って書いて、相手に納得してもらえる企画書を作りましょう。