社内のコミュニケーション活性化にとても効果のある社員旅行。昔は観光・温泉・宴会というのが定番スタイルでしたが、最近では社員の満足度に焦点を当てた面白い企画も増えており、社員旅行を人材採用時のアピールポイントにする企業もあります。今回は社員旅行の幹事の方に向けて、誰もが楽しめる旅行の企画に役に立つ情報をまとめてみました。
社員旅行を企画するメリットとは?
社員旅行費用はほとんど会社負担ですが、余暇・レクリエーション行事を行う企業の約半数は社員旅行を実施しているという調査結果が出ています。(産労総合研究所2014年実施の調査よりリンク先https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_1411.pdf)それには以下のようなメリットがあるからです。
・コミュニケーションの促進(部署間や上下関係におけるコミュニケーションを含む)
・連帯感や一体感を生み出し、まとまりがよくなる
・組織力強化
・理念・ビジョンの共有
・企業帰属意識の向上
・モチベーションアップ
・若手の人材育成の場となる
・福利厚生・慰労の一環
・魅力的な社員旅行であれば、人材採用のアピールや職場の定着率アップにもなる
社員旅行に行きたくない人の意見
従業員にとっても格安で旅行に行けるというメリットがある一方、行きたくないと感じている人も多くいます。その理由には、
・旅行先や内容に不満がある
・団体行動や大部屋が苦手
・同僚に温泉や浴場で裸を見られるのが嫌
・仕事の延長といった感じで気を使う
・女性社員は宴会でのお酌にストレスを感じる場合がある
・プライベートを優先したい
といったものがあります。
誰もが楽しめる社員旅行にする方法
もちろんすべての不満を解消できるわけではないですが、
・行先や内容に関してはアンケートで決める
・自己負担で個人部屋への変更を可能にする
・自由行動の時間を増やしてみる
・宴会は無礼講でお酌の必要はないと上司に呼び掛けてもらう
などの対策も可能なので取り入れていくのもよいでしょう。
また、楽しい社員旅行にするために
・選択制メニューを取り入れる(ゴルフか観光、マリンスポーツかショッピングなど選択することで強制感が払拭される)
・団体でしかできないことを組み込む(コンテスト、チーム対抗のゲーム、チャンバラ合戦、有名講師のセミナー、専属ガイドをつける、工場・農場見学など)
・珍しい体験をする(その土地ならではの食べ物手作り体験、その土地でしか体験できないこと、地方のイベント参加など)
・ご当地グルメを満喫する
・人気店や話題の場所を訪れる
などの点を考慮するとオリジナルの企画ができるのではないでしょうか。
社員旅行で人気のプランを紹介
では、具体的に人気のある社員旅行のプランについて紹介します。
移動が楽なバスツアー
貸し切りバスを利用するバスツアーは、行きたい場所を自由に指定できるうえ、移動が楽なので人気があります。観光スポット巡りやアクセスの難しい場所への旅行時にとても役立ちます。移動時のレクリエーションも工夫次第で楽しい時間となるでしょう。
二泊三日の海外旅行ツアー
海外旅行で特に人気なのはグアム・台湾・韓国です。グアムではジップライン、射撃体験、ディナーショー、マリンスポーツ、ゴルフ、台湾ではランタン飛ばし、茶畑見学、茶摘み体験、パワースポット巡り、グルメ、温泉、そして韓国もグルメ、ゴルフ、エステが楽しめます。ショッピングはどこでも欠かせないポイントと言えるでしょう。
体験型イベントが豊富なプラン
また、体験型イベントは旅行先を問わず人気があります。和菓子、そば、うどん、ソーセージ、明太子、餃子など、その土地を代表する食べ物の手作り体験、また京都お座敷遊び体験、秋田なまはげ体験、吉本新喜劇鑑賞などその土地ならではの経験も印象に残ります。その他、カヌー体験・カーリング体験・乗馬体験・無人島体験・古民家体験・クラフト体験・酪農体験・コスプレ体験や、ビール・ワイン工場見学、フルーツ狩りも楽しいのではないでしょうか。
自由行動時間があるプラン
社員旅行でも自由時間のあるプランは人気です。1日目は団体行動だが2日目は自由というプランを設定している会社もあります。しかし、社員旅行が強制参加の場合、旅行時間も労働時間とみられ、会社の管理責任を問われる可能性もありますので留意した方がよいでしょう。
国内社員旅行のおすすめスポット3選
国内社員旅行で人気の高いのは北海道・沖縄・静岡・神奈川・石川ですが、ここではお勧めとして北海道・奈良県・石川県を紹介します。
北海道
不動の人気があるスポットの一つです。気候・植生なども本州と違い、その広大な土地が外国のようなイメージを感じさせる北海道は、観光地としてとても魅力的です。また、魚介類・農場のバター・ミルクなど食材に恵まれグルメを楽しめるのも魅力のひとつとなっています。札幌・小樽・函館・富良野のラベンダー畑・能取湖(のとろこ)・網走監獄の網走エリア・美瑛の青い池・雲海テラス・オホーツク流氷ウォッチングなどが見所です。
奈良県
奈良県の魅力は世界遺産が「法隆寺地域の仏教建築物」「古都奈良の文化財(東大寺・春日大社・春日山原始林・興福寺・元興寺・薬師寺・唐招提寺・平城宮跡)」「紀伊山地の霊場と参詣道」と3つもあることです。奈良公園で放し飼いにされている1000頭もの鹿に鹿せんべいをあげるのも楽しい思い出となるでしょう。
石川県
新幹線が開通しアクセスしやすくなっている石川県もお勧めです。加賀百万石の城下町や伝統工芸、能登半島の景観や温泉、パワースポットのほか、カニなどのおいしいグルメを堪能することもできます。金箔の箔押しや伝統工芸を体験できる場所があるのも楽しみのひとつです。金沢城・兼六園・ひがし茶屋街・主計町茶屋街・忍者寺・能登の和倉温泉・加賀四湯(山中温泉・山代温泉・片山温泉・粟津温泉)などが見所です。
社員旅行の幹事が企画・準備すべきこととは?
社員旅行の幹事となったら、以下の手順で準備を進めていきましょう。
行先希望の事前アンケートを実施
まず行先を決めるために事前アンケートをとり、社員の意見をリサーチします。昨年のアンケートで使える案がある場合や、すでにいくつか候補がある場合には選択式のアンケートを実施してもよいですね。この時、個人負担が必要な場合の負担可能額の目安・アレルギーの有無・喫煙者かどうかについても聞いておくと後で役立ちます。
予算・日程・イベントの有無を決める
行き先が決まったら、予算・日程・イベントなど具体的なことを決めていきます。過去の旅行の場所や内容をチェックし、重ならないように配慮しつつ、社員の好みに合った内容になるよう企画をつめていきましょう。前幹事や先輩・上司にアドバイスを求めるのも大事ですし、旅行会社に相談するのもよいですね。
新幹線の団体割引の最終期限日は14日前、飛行機の場合は航空会社によって14日から7日となっているので、それに間に合うように出欠確認をとるのも大事な仕事です。
当日の持ち物・服装について周知
具体的なプランが決まったら、当日の持ち物や服装のほか、日程・大まかな旅程について参加者に知らせておきましょう。
食事・観光・宿泊場所の予約
参加人数がはっきり決まれば、旅行会社との契約や食事・観光・宿泊場所の予約を入れます。いざという時のキャンセル料、追加の可否などもあらかじめチェックしておくとよいでしょう。
宿泊の部屋割りやバスの席順などを決めるのも幹事の役割です。バスの上座は運転手のすぐ後ろ、ホテルの上級部屋はエレベーターや階段から一番遠い奥の部屋であることを踏まえ、上司に確認しながら決めるとよいでしょう。喫煙者同士・親しい者同士を同室にするなどの配慮も必要です。
社員旅行のしおりを作る
社員旅行のしおりを作り、参加者が重要情報を共有できるようにしましょう。挨拶文、日程表、持ち物リスト、観光マップ、観光情報、緊急連絡先、宿泊場所とその周辺の情報、医療機関住所・連絡先、お店の参考情報などを記載します。
当日のスケジュール管理
当日は点呼・挨拶から始まり、予定が滞りなく進んでいくようにスケジュール管理に徹底しましょう。ホテルやレストランなど時間予約をしている施設にはおおよその到着予定時間を連絡しておくことでよりスムーズにすすめることができます。宴会やイベントなどで準備が必要な場合も早めに確認しておくことでトラブルを防げます。
経費精算と振り返り
無事に旅行が終わっても、幹事の仕事はもう一つ残っています。それは最終的な費用の清算業務です。社員旅行の旅程と人数、何にいくら支払ったのかをレポートにまとめ周知します。
社員旅行で経費精算をする場合の処理方法
社員旅行の旅費は、税法「広く社会一般で行われている福利・厚生目的となり得る社員旅行」の場合であれば、福利厚生費として計上できます。しかし、旅行を強制参加にし、休日を旅行にあてた場合、休日出勤手当が発生することもあります。また、家族同伴で旅行し、家族分を自己負担しない場合、従業員の分を含め、福利厚生費として計上できなくなることもあります。
いくらまで経費で計上できるのか?
社会通念上、一般的な旅行と考えられる場合には経費として計上できます。過去の判例を参考にすると、一人10万円までとなっています。
経費計上できない社員旅行プランについて
以下の場合は、経費計上できず従業員の給与扱いとなり、課税の対象になります。
・特定の役員や従業員のみの旅行の場合(全従業員の半数以上の参加が必要)
・不参加者に旅行費用を現金支給する場合
・4泊5日以上の場合(機内泊は除き実際の滞在日数で計算)
まとめ
・社員旅行は企業にとって、経費を払ってでも行いたいメリットのあるイベントである。
・楽しい社員旅行を企画するには、行きたくない社員の不満点を解消し、団体ならではの特徴を生かしたイベントや体験・自由行動を増やすことが秘訣である。
・社員旅行は4泊5日、一人10万円までなら経費計上できる。