事業承継とは?実施方法それぞれの特徴や補助金について

事業承継の記事 経営戦略

「事業承継」とは会社の事業を後継者に引き継ぐことです。

近年の少子高齢化の影響により、日本では経営者不足が大きな問題となっています。

中小企業の事業承継は、経営者は早い段階で対策を取る必要があります。

今回は、事業承継の方法や補助金の注意点についてまとめて解説していきましょう。

事業承継とは?

事業承継とは?
「事業承継」とは、会社や同族会社のオーナー社長が親族や従業員へ、またはM&Aの相手先に事業を承継、譲渡させることです。

事業承継は、単純に株式の譲渡と代表者の交代ではなく、経営と資産と知的資産の受け渡しといえます。

事業承継が重要な理由

団塊の世代にあたる多くの中小企業の経営者は60歳代後半となり、引退時期を迎えています。

近年の少子高齢社会により、後継者の確保が十分ではなく、事業に関心を示さないケースが増えています。

そのため、スムーズな事業承継ができずに引退できない経営者が多いのが現状です。

多くの中小企業の経営者は、自分で事業を継続した後は廃業を考えているケースが増えています。

後継者がいない場合は、伝承されるべき雇用や技術などが途絶えてしまうリスクがあるのです。

事業承継のメリット

 
親戚に会社を引き継がせる「親族内承継」には3つのメリットがあります。

中小企業においては、オーナー経営者と取引先の企業との強い信頼関係が築かれています。
   
跡取り息子が新しい経営者になれば、社外や従業員からも認められやすいのがメリットです。

後継者が早い段階で決まっていれば、早期に事業承継できて生前贈与ができるのもメリットと言えます。

事業承継のデメリット

 
親族内承継は相続問題となり、親族間のトラブルに発展する可能性もあるのはデメリットと言えます。

特に後継者が多すぎる場合は、相続問題により事業承継が決まらないケースも多くみられます。

事業承継とM&Aの違い

「M&A」とは、企業を売買したり、企業同士で合併することです。

近年は、大企業同士だけでなく中小企業が経営課題を解決するために「M&A」を活用する事例も増えています。

経営者が引退後に親族が会社を継ぐ「親族内承継」
以外にも、社外への引き継ぎ「M&A」があります。  
後継者が見つからない中小企業は、「M&A」は事業承継の選択肢の一つと言えるでしょう。

事業承継ガイドラインとは?

中小企業庁が策定した「事業承継ガイドライン」とは、事業承継を円滑化し、中小企業の活性化を狙いとするものです。  

▼事業承継ガイドラインの概要

事業承継に向けた早期・計画的な取り組みの重要性(事業承継診断の導入)
事業承継に向けた5ステップの提示
地域における事業承継を支援する体制の強化

事業承継の方法について

事業承継の方法について
ここからは、事業承継の2つの方法「親族内承継」と「親族外承継」について見ていきましょう。

親族内承継

親族に引き継がせる「親族内承継」は後継者に社長の地位と自社株を合わせて承継します。

オーナー家としての地位を継続できて、社内外の関係者から受け入れられやすいのがメリットです。

後継者を早期に決定できるため、後継者教育に時間をかけることができます。

ただし、親族内に経営の資質と意欲を併せ持つ者がいない場合は他の選択肢が求められます。

親族外承継

社内の役員・従業員や社外から候補者選びをする「親族外承継」の方法があります。

近年は、親族内承継の減少により、親族外承継やM&Aを選択するケースが増えています。

将来の後継者候補の有無、事業の将来見通しなどを勘案したうえで最適な人物を決定します。

後継者としての適格性判断に問題がないのはメリットですが、現経営者の債務保証や担保設定などの後継者への切り替えが難しいデメリットがあります。

事業承継を成功させるために

事業承継を成功させるために
ここからは、事業承継を成功させるチェックポイントと注意点を見ていきましょう。

事業承継を成功させるためのポイント

 
①親族への事業承継の場合

後継者に会社を継ぐ意思があるか確認する
後継者には会社を継ぎたいと思わせる
早期から会社経営の準備をさせる
後継者となる資質があるか
財務や会計の知識があるか
後継者となる人の教育
会社財産を相続させる

②役員や従業員への事業承継の場合

信頼できる優秀な人材
経営者に向いているか
本人の希望を聞く
事業を成長させる資質を見極める
連帯保証人になれるか
株式を買い取ることができる(資金を用意できるか)

③第三者への事業承継(M&A)の場合

譲受企業と一体になって事業を拡大できるか
M&A実施後の成長が見込めるか
株式を高値で取り引きできるか
オーナー経営者の個人保証はどうするか

事業承継を実施する際の注意点

事業承継を行う際は、後継者となる人物の了承を早めに得ることが大切です。

後継者の早期決定は、事業承継が円滑に進み、教育する時間も確保することができます。

後継者の候補が遅くなればなるほど、事業承継が失敗しやすいので注意しましょう。
 

事業承継税制とは?

事業承継税制とは?
「事業承継税制」とは、中小企業において、経営者から後継者へ非上場株式の承継に対する相続税・贈与税の納税猶予および免除に関する制度です。

相続または贈与により取得した後継者の税負担を軽減させることができます。

事業承継税制のメリット

 
事業承継税制は、後継者が非上場株式を継承することによる多額な相続税や贈与税が猶予され、免除されるメリットがあります。

事業承継を考える中小企業経営者は、事業承継税制の利用を検討しましょう。

事業承継税制のデメリット

 
事業承継税制は、納税猶予の継続要件や免除となる要件が厳しいことがデメリットです。
  
猶予の適用を受け続けるためには、各税の申告期限から5年間は後継者が会社の代表者である必要があります。
 

事業承継税制の適用要件

  
▼事業承継税制の適用を受けるための要件

次の会社のいずれにも該当しないこと。

上場会社
中小企業者に該当しない会社
風俗営業会社
資産管理会社

▼中小企業者に該当する業種分類

製造業…資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

卸売業 …資本金の額又は出資の総額が1億円以下、会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

小売業…資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

サービス業…資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

申請方法

事業承継税制を受けるためには以下の申請書類を作成して、都道府県や税務署に提出する必要があります。

▼必要な書類 
認定申請書

▼添付する書類
定款及び株主名簿の写し
登記事項証明書
従業員数証明書
貸借対照表、損益計算書等
上場会社または風俗営業会社でない旨の誓約書
被相続人、相続人及び株式を保有している親族の戸籍謄本または抄本
遺言書または遺産分割協議書の写し及び相続税の見込み額を記載した書類
贈与契約書の写し等

事業承継補助金とは?

事業承継補助金とは?
事業承継の際に使うことのできる補助金を「事業承継補助金」といいます。

事業承継補助金は「経営者交代タイプ(Ⅰ型)」と「M&Aタイプ(Ⅱ型)」の2種類あります。

補助金の内容や対象者

補助金は、後継者を対象に、中小企業の代表者の交代をきっかけに新しい取組にかかる経費の補助です。

新規出店、新規設備投資、従業員の給与などの人件費、テナント代などの賃料といった事業にかかるお金が補助金の対象です。

申請方法

経済産業省より認定を受けている税理士(認定支援機関)に依頼して確認書を添付する必要があります。

注意点

事業承継補助金を募集する期間は毎年変わるため注意が必要です。

一から事業を始める場合と事業を引き継ぐ場合では
事業承継の方が補助金を受けやすい傾向にあります。

まとめ

事業承継のまとめ
事業継承は、引き継がせる会社の現状に応じて、後継者に知識や素養をする期間も必要です。

教育をする上で後継者に向かないと判断されることもあるため、

事業承継の方法は早めに検討することが